第36話 あれから

真澄とのランチから約3ヵ月経った

「あら足立君じゃない。君も研修参加者?」「はぁ。そうです。山根さんもですか?」「ええ。奇遇ねぇ。隣座って良い?」「ええ。いっぱい他にも空いてますよ」「良いのよ。足立君の隣が良いの」「…」「あら足立君っと山根さんも?」「お疲れ様、高橋さん。あなたも研修参加者?」「ええ。でも私達は,他薦です。というか半強制です」「私達って?」「お疲れ様です。」「清水さん…あなたも?」「はい参加者です。皆さんもですね。宜しくお願いします」「頑張りましょうね」「ところで1期?2期」「私達は1期です。」「そうなのね。私は2期よ。」「何が違うの?」「期間が違うのよ。2期からは1年間なのよ」「ええ。まるで転勤みたいね」「そうね、1期は3ヶ月だもの」「足立君も1年?」「僕は1期なので3ヶ月です。」「でも1期は所属長からの推薦なのよね。皆期待されてるわね。」「先輩達が辞退されたんだと思いますよ。」「それで私達に廻ってきたと?」「希望者以外は実施しなくても良いと思うんだけどなぁ」「足立君でもそう思うの?」「だって3ヶ月で何が出来ると思う?」「誰かの補助位しか出来ないでしょう?それより自分の業務に集中したいですよ」「だから時期が7月から9月なんじゃない?」「大なり小なり6月までは前年度の業務引きずってルじゃない?」「そうですねぇ。山根さんは、いつからですか?10月開始です。」「やりにくくないですか?4月からの業務を前倒しするのと担当を調整するのよ。」「4月から…」「地域は?」「私は千葉県」とさき「僕は茨城県」とは足立「私は福島県」と真澄「私は岩手県よ」と山根「一人づつなんですね?」「1期はね。」「2期は二人派遣するんだって」「一人だと不安だなぁ」真澄が呟く「そうね。知らない地域だものね。毎日美味しい店探して歩くかなぁ?」「あら意外ねぇ。清水さんって真っ直ぐ帰りそうなのに」「面白見なさそうですか?」さきが微笑む「そう言う意味で言ったんじゃないわよ」慌てて否定する山根「結構散策するの好きなんですよ。ずっと住むところじゃないならなおさらアチコチ歩いてみたいです」「意外だわ。おとなしいイメージだったものだから」「おとなしい方だと思いますよ。でも行動力は、ある方だと思います」「うんそれはわかる」ずっと黙って聞いていた足立が口を挟む

「足立君居たんだね。」真澄が呟くと「今までに俺が口を挟むところあった?」クスクス笑うさきと山根「ごめんね。足立君」「まぁ良いですけど…」「足立君は茨城なのね、私は千葉だからお休みには伯母の家を訪ねる予定なの。向こうで会えると良いわね」「うん。そうだね。」「私も福島だから会いに行くよ。」「うん向こうでも会えると良いね。」「良いなぁ。私も同期とか一緒の人がいると良いけどなぁ…」「誰か居ないんですか?同期」「今のところ座っている人には見当たらないなぁ。私の同期ってもう結婚した人も居て、1年も家を離れるなんて考えないのかもねぇ」「子供が小さいとまず無理ですもんねぇ。」「そうね。子育てをワンオペでって言うのもきついわ」「だからあなた達が羨ましいわぁ」山根は3人の顔を見渡して微笑む「私も1年は無理だなぁ」真澄は首を横に振って呟く。「いきなりはきついよね。準備期間が必要だわ」「だから10月開始なんですね」「きっとそうね。」「説明が始まるわよ」「あっ山根さん。良かった。一緒の子が居て~」「鈴木さんも参加するのね。良かったわ」ほっとした表情の女性が山根に声をかけてきた「知っている子が居なくてちょっと不安だったのよ。向こうにあと一人同期居るわよ一緒に行かない?」ニッコリ笑って「じゃあ私はこれで、お話しできて良かったわ。ありがとう」山根は席を立って行ってしまった。「嬉しそうだったわね」真澄は離れた山根を目で追いながら「本当にね。きっと寂しかったのよ。同期って大事ねぇ。つくづく感じたわ」「仕事は一人で成すものではないからね」「何で足立君はそう侍っぽいのよ」「侍?何だか的を得てるような…」さきが吹き出す「侍?武士じゃなくて?」足立は不思議そうに頭を捻っている「侍…足立君ポイでしょ?」「うんうん」さきは頷いた

説明が始まった。3人は真面目に説明会に取り組むのだった

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