第22話 佐々木家への訪問

「さきは明日休み取るの?」ランチ後歯磨きも終わってが各職場へ戻る際に真澄に訊かれた「ええ。私用でね。色々しなくてはいけないことが多くて」「さきってさぁ結構秘密主義だよね?」「そうかなぁ?誰にでも秘密はあるでしょう?でも私はやらなくちゃいけないのよ❗」「大丈夫なの?独りで抱えて悩んでいない?」「イイエ。もうすぐ答えが見つかりそうなのよ。私の一生を掛けて捜していた宿題なの。いつか真澄さんにも話せたら良いんだけど」「無理には聞かないわよ?ずっと何かを捜しているさきを見ていて心配になるのよ。最近特に忙しそうでさ、心の安定取れてる?」「ありがとう。幼馴染み達とも一緒に動いているから大丈夫よ。」「こりゃ良い男が寄ってきても相手にされないわけだねぇ…幼馴染みって前に声を掛けてきたあの二人でしょう?さきは最初違うって言ってたでしょう?でもよく聞いたらそうだったって…本物なの?って心配になるよさきは騙されていないだろうかって。もしかしたら他にも男性で、会ってる人がいてさ…」「何それ?」「結婚詐欺とか地味に事件があるでしょう?」「はぁ…。心配してくれてありがとう。でもそんな手の込んだ結婚詐欺ってあるのかしらね」「もう本当に大丈夫なの?」「ええ。両親も協力してくれてるのよ。」「良い男に会ってない?1人先に結婚相手見つけちゃってない?」「今のところ無いわ。断言する」

「そう。足立君は今でもさきの事が好きよ。」「その話は…」「ずっと独りで生きていくつもりなの?いずれ誰かと思うなら今足立くんの事も考え直してみてよ。」「真澄さん。」「あの幼馴染みの人と出会ってからさきが柔らかくなった気がするのよ」「そうかしら?」「雰囲気が変わったよ?足立は前の方が良かったって言ってたけどね」「それって不評じゃない?」「でもさきは確実になにかが変わったわ。具体的に何かは説明できないけれど」「そうなの?」「無意識なんだね。あんなにしっかりしているのに自分の事は分かってないものよね」いつか事の顛末を話せるチャンスがあれば真澄は安心してくれるだろうか。さきは心配性の友人に心のなかで詫びるのであった「さぁて、明日の分も頑張るよ。私」

翌朝、清水家の3人は揃って車に乗り込む。ドライバーの梅原は、先に聞いた佐々木家の住所を確認してナビを設定してある。「便利なものですね?ナビって言うのは…」「本当だな。でも今日は休みにしてくれて良かったんだよ。」「無理に付き合わせるようで申し訳ないわぁ」「何を言ってるんですか、お出かに置いていかれたら私の立つ瀬がないです」「そんなこと無いのに。いつも充分お勤めされてますよ」「夕べ妻にもしっかりお勤めを果たすようにと言われましたよ」「夕子さんも一緒にお休み取れば良かったのに。働きすぎですよ。」「ありがとうございます。では出発します」車はスムーズに発進した

「あえて10時にずらして良かったね。道も空いてきた」「そうですね。正解だと思います。これなら1時間掛からずに海ほたるに行けますから…」「近くなりましたねぇ」「私はいつも電車で、移動しているので変な感じです。お父さんとお母さんと一緒と言うのが凄く久し振りですもの」「そうね。さきが大学に入ってから遠出する機会も減ったから」「私はご一緒できて嬉しいですよ。運転手冥利につきます」「ありがとうございます。梅原さん」「それはこちらの台詞ですよ?さきさん」運転手の梅原はしっかり前を向いたまま答えるのであった。

海ほたるに到着して30分程度休憩していよいよ佐々木家へと向かう

絵理子の父雄二から連絡が入ったのが10日前、「出来たらご両親も一緒にお出でいただきたいと」さきは言われたので、すぐに両親に確認を取り今日の同行をお願いした。雄二は何度か清水家を訪ねていて清水の両親とは見知った間柄である

「何があったんでしょうか?佐枝子の事が分かったんでしょうか?」不安そうな真理子だ「私達が呼ばれたのだからきっとそうだろう。」宏も少し表情が固い「なんだか怖いわね」「お母さん…」さきは記憶分西寺夫妻の事を冷静に受け止めているのだが清水の両親は姉佐枝子の実の親だ。さきとは想いが全く違うと言って良いだろう。「大丈夫よ。何があっても驚かないわ」「私も少し不安です」「さき、大丈夫だよ。その為に私達も呼ばれたのだからな」「お父さん。何か知っているんですか?」「いや何も聞いていないよ。佐々木さんは3人で来た方が良いからって事しか言わなかった」(実際、宏は雄二に連絡を取った時に覚悟が必要ですとも言われたが真理子にはあえて伝えていない)「事件に巻き込まれたのではないか」(佐枝子が?それとも西寺と言う佐枝子のパートナーが問題を抱えていたのだろうか?)「そろそろ佐々木様のお宅ですよ」梅原は明るい声で後部座席の3人に伝えた。既に家の前には佐々木夫妻と思われる二人が待っていてくれた。「梅原さんはこの後どうしますか?」「近くの駐車場で待機します」さきの心配をよそに梅原は駐車場を確保していたようだ

「初めまして、いつもさきがお世話になりまして、清水の両親が頭を下げて挨拶している」「いいえ、とんでもないことです。よく出来たお嬢さんで感心しているんです」「さぁどうぞなかへ」と雄二が声を掛けて招き入れた「お邪魔します」清水家の3人は応接間へ案内された「さきちゃんはお休みを貰ったの?」「はい。」「改めてご挨拶をさせていただきます。清水宏です。こちらは妻の真理子です」「初めましてお会いできて良かったです」「ええ。私共は佐々木雄二に妻の久美子です」「やっとお会いすることができて本当に嬉しいです」「私達もです。さきから話は訊いておりましたが、お訪ねして良いものか迷っておりました」

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