第3話出逢い
「さっきからあの人、連れの人にさきって呼んでる」「そりゃあさきって名前はあるでしょう?」さきと真澄の席から斜め奥の席の二人連れがチラチラ見ている「止めなよ枝里子」男の方が席を立った女の手を捕まえて呼び止める「確認したいの。まさかってことがあるでしょう?」「くれぐれも失礼になら無いようにな」「なったこと無いでしょう?」「なりそうになったことはあるけどな」「大丈夫よ‼️」女は、手を振りほどいて斜め奥の席に立つ「あっ。さきちゃんママ」「えっ?何ですか」「この人未だ独身ですよ。人違いですよ?」「さき。さき。何処に居たのよぉ❗」「えっどこかでご一緒しましたか?」「枝里子。よせ。人違いじゃないのか?」「保。さきちゃんママだよ。」「さきちゃんママ?」男は慌てて枝里子を止めようとしたがさきちゃんママの声に女性を見つめる。「本当だ。さきちゃんママだ」「だから人違いですよ。この人独身ですから」真澄が間に入って説明している。「失礼しました。そちらの方が知ってる人に良く似てるんです。」「さきちゃんなの?本当に‥」保と呼ばれた男は、枝里子の代わりに声をかける「確かに私の名前はさきです」「さきでしょう?ねぇ保、さきだよねぇ」枝里子が保の手を強く握って尋ねる「あのぅ知り合いなんですか?」真澄がぽかんとして尋ねた「私は、‥」「西寺さきさんですか?」保が尋ねる「彼女は清水です。やはり人違いですよ」真澄が代わって答えた「そうですか。ずっと捜している人のお母さんに良く似てるんです。」「お母さんに?そうですか。」「あのぅ僕は遠藤保と言います」そう言って名刺を2枚差し出した「私は佐々木よ。佐々木枝里子です。」女性も名刺を2枚差し出した「私達は、ほら、さき名刺出しなよ。」真澄から促されさきも名刺を慌てて差し出す「お二人はお医者様と警察官なんですか?」「そう。先程は失礼しました。怪しい訳じゃないのよ。いつも何処かにさきが居ないかなって思ってるだけなのよ」
結局4人でテーブルを囲むことになり今は、一緒に飲んでいる。
「そんなに似てるんですか?」真澄は、興味津々である「人違いじゃあどうしようも無いだろう?枝里子」「でもあんまり似てたから興奮しちゃって。ごめんね」枝里子は頭を下げる。「気にしないでください。いつか捜しているさきさんに会えると良いですね」さきは声を掛ける「ありがとう」枝里子は頷く「ねぇところでいくつなの?」「おい、枝里子もう‥」「25です」「誕生日は7月7日じゃない?」枝里子は矢継ぎ早に尋ねる「ええ、そうです」さきは、驚いて答える。「本当にさきじゃないの?」「枝里子。清水さんなんだから違うだろう?もう止めろって」「そう言う偶然て有るのねぇ」真澄が感心して聞いている「もう帰ろう。急にお邪魔してごめんね。失礼しました」保が立ち上がって未だ何か言いたげな枝里子の腕をつかむ。枝里子も仕方なく立ち上がった。「じゃあ」二人は手を振って見送った「なかなか興味深い話だったわね」「ええ、驚いたわ」「人って7人、似てる人が居るって言うじゃない?」「真澄さん、そんな事信じるの?」「だって実際、不思議な偶然が目の前に起こったでしょう?」「もっと現実的な女性だと思ってたから意外だわ」「えーとイメージを崩して申し訳ないけど私は奇跡を信じるタイプよ。だからいつか奇跡がおきてかっこいい人が私の前に現れるのを待っているの」「奇跡じゃなくても現れるわよ。その内に、案外もう現れているかもね、真澄さんが気づかないだけで」「そうかな?何処に私の王子様がいるのかしら?待ち遠しいわぁ」
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