エッセイ

桜

筆者にとって春はエネルギーを感じる時期であると同時に不安や焦りを強く感じる時期。新しい環境に戸惑い、身動きとれないままなんとなく所属するコミュニティを見失ってしまうことが多い。

そんなときに桜を見ると、力強く咲いていて感心する。3月末から四月上旬という短い期間のなかで力強く咲いて多くの人々の心に彩りを与えてくれる。

でも筆者は桜のように生きている必要はないと思う。人生100年といわれる時代では人生は長期戦、傷つけ合うことも疎遠になることもあるだろうし、出会える人も限られる。出会える人のうち、親しい関係になる人なんかほんの一握り。だからいろいろな人の心を動かす存在になんてなれない。

桜のような華やかな生き方でなくてもいいから、長く着実に穏やかに、出会えた人とのつながりを大切にする。そんな毎日積み重ねていくと、守りたい、支えたいと思うことにも出会えるのかな。家庭でもどこでもいい、この人を守りたい、この空間を支えたい、人生で一つでもそう思える場所やことがあれば幸せだと思う。

戸惑いの中手探りで進めていく新生活。不安や焦りもあるけれど、一緒の集団に属することになったというご縁を大切に少しずつ進んでいけたらいい。