大学で学ぶ意味

一つ前では、学校というものを義務教育と高校での学びと想定して話している。大学での学びは高校までと違って多様性がある。誰一人同じ学びをする人はいない中で、社会で生きていくためのアイデンティティーをつくる作業だと思っている。自分の得意なこと、やりがいがあることを見つけて、社会に還元する方法を探していく。高校生とは違う広がった世界で、何を手に入れ、どう生かすのか。答えのない問いにどう向き合っていくのか。それを学ぶのが大学だと思っている。

そして、違う分野を専攻した人、違うバックグラウンドを持った人と仕事をする。たくさんのアイデアが飛び交い、社会にとってよりよいものが生み出されていく。

また、政治でも同じだ。多様な知識を持つ人々の意見が社会に存在すれば、否定的な意見もでる。それを受け止め改善することでよりよい政策や社会実現につながっていく。


でも、大学に行かなかったからといって、アイデンティティーが確立できないのかといえば少し違う。就職した人だって、職について学んだことはたくさんあるだろう。早く社会に出ることで見えてくる景色は、大学に進学した人とはひと味もふた味も違うだろう。職種によっても違う。大学の間に大学生がみられなかったものをみている。


結局大学で学ぶということはオプションの一つであって、そこには必ず機会費用が発生する。でも価値がないとは思わない。大学で学ぶという選択肢があること、それは社会に多様性を生み出し、より強くしてくれる。多様性のない集団は淘汰に弱い。一つの障害に対して皆が脆弱性を示し、滅んでしまう。多様性を保障すること、その一環として大学の学びが経済的な事情などによって阻まれず、その選択をしなかった人も自立した市民として生きていく環境ができればと願っている。

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