見た目はとっつきにくいけれど、話してみると意外と面白いひと。そう思ったり、思われたりしたことのあるかたも多いのではないでしょうか。
けれど話をするどころか、見た目、それも髪の色や瞳の色で最初からみんなに忌み嫌われてしまったとしたら、一体どうすればいいのでしょう。
国守りの魔法使いであるハインツベルティッヒは、自分の姿が大嫌い。さんざん疎まれてきたこともあり、姿を変える魔法を使って、黒い髪、黒い瞳を隠しています。
あるときハインツベルティッヒは、国守りの魔法使いに憧れる男に襲われて、命を落としかけます。慌てた彼は姿を変えようとしますが、魔法の力を奪われたせいで黒羊のぬいぐるみ(ハインリヒ)になってしまいました。
そんな彼を拾ったのは、貧しいお針子のエリーゼ。見返りを求めることのない彼女と過ごすうちに、凍りついていた彼の心は少しずつ変わり始めるのです。
ところがハインリヒを襲った男がエリーゼをさらってしまいます。彼はふりかざされたナイフを自身の身体で受け止め……。
人間嫌いの魔法使いが、エリーゼの優しさに触れて少しずつ変化していく姿にときめいてしまうこと間違いなし。
ドキドキしつつ、もちろん物語はハッピーエンド。王道の童話をお楽しみください。