第17話 手記その2



 手記、その二

 証言者 ミドル・ライゼフ元教員


 彼女の名前は出さないでいただけますでしょうか。

 過るだけで、脳とか心臓が痛くなるんですよ。あの日々を嫌でも思い出す。


 まあ、応えられる範囲で答えますけどね。


 あの時、クラスは彼女のものだった。

 全員が、彼女をその瞳に映して、狂っていた。

 俺だって、そうだったのかもしれません。

 気にしないと思っていても、それがすでに気になっている、といった具合の話です。起こりうる物事のすべての中心が、彼女だった。


 ともかく彼女は人の目を、心を引いた。

 だから、あんな出来事が起こったんでしょう。

 それが良いことか悪いことか、俺は何も言いませんからね。 


 ただ、まあ。

 彼女は所謂、怪物、だったんでしょう。

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