10cmのあーちゃん
一色 サラ
心の支え
雑貨屋の店内で、10㎝のぬいぐるみのリスのあーちゃんを見つけた時、運命を感じてしまって、すぐにレジで即購入してしまった。その愛らしい笑顔に心の支えができたことを実感することができたよ。あーちゃんが傍にいてくれて、どんな辛い時も、応援してくれたから、高校の試験勉強を頑張ってこれたよ。絶対合格しようね。胸に”You can do it.” と服に刺繡されていているから、それを見るたびにやればできると実感することができたよ。
そして、無事に高校に無事に合格できたね。あーちゃんに居てくれて本当によかったよ。
でも、離れることができなくて一緒に高校に通うようになったね。不安な高校生活もあーちゃんのおかげで、問題なく過ごすことができるようになったよ。
「岸谷くん、そのぬいぐるみは授業中に胸ポケットに入れてとダメなのか?」
「何がダメですか?」
「いや、ダメではないけどさ‥‥目が合うんだよ。。。」
廊下ですれ違った国語の田原先生に声をかけられて、また言われた。でも、あーちゃんを制服のポケットに入れていると安心する。だから、やめるつもりはない。
「本当に、無理なのか?」
「無理です。あーちゃんは心の支えなので、ポケットに居てもらいます。」
「そうか...何を言っても無駄か...」
田原先生は、話が終わったのか、職員室の方へと歩き始めた。あーちゃんをポケットに入れていることが、なんでそんなにダメなのか本当に分からなかった。誰にも迷惑をかけていないはずだ。
「ねぇ、夏菜。そのぬいぐるみはいつまで、そのポケットにいるつもりなの?」
教室に戻って、席に座ると、友人の四葉にやって来た。
「いつまでなんて、考えてないことないけど」
「まあ、いいんだけど。でも目が合うんだよね」
「じゃあ、ポケットの方を見ないで。」
「そうなんだけど、でも目が胸の方にいくんだよね…」
「そんなにあーちゃんが気になるの?」
「まあ、いいわ。」
四葉が自分の席へと戻っていった。卒業までずっとあーちゃんと学校に通うつもりだ。心の支えを家に置いて、学校に通うことはできない。
10cmのあーちゃん 一色 サラ @Saku89make
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます