小鬼退治編

第4話 モンスター狩りに行こうよ

桃太郎とキジコはとある建物へと向かう。


『前回のあらすじ、桃太郎のバカのせいで一文無しになったのじゃ』


『誰にしゃべってんだ女神』


桃太郎がツッコむ。


『というか女神、俺そろそろモンスター戦いたいんだが。この力をモンスターに試したい』


『戦闘狂かよお主は、だから今からワシらはギルドに行くんじゃ』


『なるほどギルドか、とすると冒険者登録って奴だな、ラノベで読んだことがある』


『そうじゃ。モンスターを狩ってお金も手に入れられる、これほどお主とワシの需要にマッチしたものはないぞ。それにお主は強いからあっちゅー間にランクを上げて高額クエスト受けてガッポガッポうへへ』


『顔も身体もいいのにウザさと性格が全てを台無しにしてるな女神様』


そのうち風俗とかしてそう



『着いたぞ、ここがギルドじゃ』


『おぉ...』


街の曲がり角にギルドの建物がある。かなりデカい。いくつか扉があり、1番奥の扉にモンスターの死骸と思われる巨大な生き物が運ばれていた。


『おぉ!モンスターだ、初めて見た。でかい強そう死んでる、そして生臭い!』


桃太郎が突然鼻息を荒げた。


『そんなはしゃぐことかの』


『早くモンスターと戦いたいぜぇ、女神さっさと登録終わらせようぜ』


そういうと桃太郎はギルドの中へと走る


『ちょ、ちょっと待つのじゃ!』


慌てて追いかけるキジコ。途中一回転ぶ。



  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



中に入ると野蛮で屈強そうな男だったり鎧に身を包んだ人、あるいは魔法を使ってそうな人など多種多様な人たちが机に座って酒を嗜んだり依頼内容を確認したりしていた。


『改めて見るとギルドってちょいと怖いの〜、それより桃寺はどこ行ったんじゃ』


『もう登録は済ませた。』


キジコの目の前に桃太郎が現れた


『ううううわぁ!』


いきなり現れるもんだからキジコはびっくりする。


『ビックリしたぁ、というかもうしたんか?』


『アーハッハァ!これでようやくモンスターと戦える』


桃太郎はなんだか嬉しそうだ。


『それはちょっと気が早いんじゃなーい』


すると突然奇妙な男が現れた。全裸かつ股間に葉っぱを付けたイケメン。独特なポーズをとって桃太郎に立ち塞がる。


『うわぁああ』


キジコは手で顔を隠す。眼前に歩く公然猥褻罪がいるんだから。


『おまえ誰だ』


桃太郎がその男に問う。


『僕は神、アダム・トイブー神だ』


そう名乗る男は海老反りを披露する。



『神か、知ってるかおまえ』


桃太郎がキジコに尋ねると


『あんなフルチン神知らんわ。神のふりをした偽物の人間じゃろ。』


コソコソ話で聞こえないように会話する2人。桃太郎とキジコは冷めた様子だが、周りは違った。


『アダム様ぁ』『よ、神ぃ』『今日もかがやいてるねぇ』『アダム神きたコレ』『よ、Sランク冒険者ぁ!』


『なんじゃなんじゃあ』


この全裸男、周りから相当人気があるらしい。それにSランク冒険者だという事実が発覚


『え、Sランク、』


『Sランク、強いということだなつまり』


桃太郎がアダムを見つめる


『おやそこのお嬢さん、なんか照れ臭そうに顔を隠してるね。』


『近寄るなヘンタイ、臭そうはおまえじゃ』


『貴様ぁ、アダム様になんてことを言うんだ!』


アダムのファンたちがキジコに激怒する。


『まぁまぁ落ち着いて皆んなぁ』


アダムがファンたちを静める。アダムの一声で周りの人たちは一斉に静かになった


『ふふふ、それにしてもかわいいねお嬢さん、神に向かって“臭い“だなんて...君じゃなきゃ許されないよ』


変なポーズをとりながらキジコに顎クイするアダム。


『ヒ、ヒィイィィ』


全裸に顎クイされた恐ろしさにキジコは恐れて一歩後ろに下がる。


(うびゃあ、イケメンだからって葉っぱ一丁で顎クイはキモいぃ)


『何を恐れることがあるんだい?神であり至高の芸術である僕を怖がらなくてもいいんだよ』


白鳥をイメージしたポーズをとるアダブ。なぜかは知らないが輝きを放っている。皆んなが彼にひれ伏すそのとき



は人間であって、神ではないだろ』


桃太郎が呟く。


『おや、君は何を言っているんだい?』


アダムはそう桃太郎に問うと


『俺のいた世界というか地域ではアダムは原初の人間、神の子であって、神ではないぞ』


その言葉にアダムは一瞬黙る。


『だ、だからどうしたというのかね。あー言い忘れていたが、聞くに君はモンスターを倒したいそうだがそれはまだ早いと思う、否早い』


アダムが桃太郎を指差す。


『どういうことだ』


『君の冒険者ランクはE、1番下。入りたての新人は神である僕の、Sランクである僕の雑用から始まる。当然モンスターと戦うなんていう雑用じゃない、僕への肩叩きからマッサージ、おつかいにかけてなんでも御座れの雑用さ』


『断る、俺はモンスターと戦いたい。』


『断れないよ、それがこのギルドでのしきたりさ。神であるこの僕への拒否権はあり得ない』


神々しい光が桃太郎らに向く。


『面倒くさいなおまえ、何度も言うが俺はモンスターと戦いたい。自称神と付き合っている暇はない』


『てめぇ、アダム様を侮辱しやがって』


ファンがブチ切れその場にある物を桃太郎に投げつけた


(うわぁあ悲惨じゃ悲惨じゃ、というかこんないかにも小物そうな全裸になぜ皆んな崇拝しとるんじゃ!?)


酒瓶やコップ、丸めた新聞紙を投げつけられる桃太郎、キジコにも被害が被る。


『やめろ皆んな、こんなことしても意味はない』


アダムが皆んなを止める。そして桃太郎を見て


『まるで戦闘狂だね君、Eランクとは思えない自信満々な顔している。いいだろう、今は特別に雑用は見逃してやる。』


『おお!よかったな桃寺』


キジコが叫ぶ。


『ただし僕と勝負しろ。Eランクの君に合わせて内容はゴブリン退治だ。どちらがより多くのゴブリンを倒せるか、その勝負でいこう。』


『アーハッハァ!ゴブリンか、面白い。』


『ただし勝負に負けたら僕の雑用だ。もし勝ったならばぁ好きにするがいい。ゴブリンのクエストは僕が申請しておく』


エキセントリックなポーズを決めるアダム。そして彼はクエスト申請に行った。


『いいのか桃寺、お主は強いがモンスターと対峙するのははじめてじゃろ』


『何を今更。モンスターと戦いたいってくどいほど言ってるだろ。それに俺はSランク冒険者と語るアダムの実力が見たい』


桃太郎の口調には好奇心が混じる。はじめてのモンスター狩りと、早すぎると言っていいほどのSランク冒険者の登場に。


『ゴブリンかぁ、お主より狡猾で野蛮なモンスターじゃなぁ、ちょっと嫌じゃな』


『おまえも着いてこい女神、女神も俺の仲間ならば戦力になる必要がある。でもまずは物騒な奴を見ても物怖じしない心だ。』


『はぁ、ワシ戦いたくないんじゃが。身の安全は保障するんじゃなかったのかお主、それにワシが誰にビビってるって?』


『結構ビビってるぞおまえ。だからまずはその心が必要だと俺は思っている』


『ほげぇ、神に向かってそんなことぉ』


女神ちょっとキレる


『事実だ。そんなことより行くぞ女神、まぁ死なない程度には教育してやる』


『ちょ、待つのじゃぁあ』


桃太郎はギルドを去った。

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