第3話
やってきたのではない、奉公先から帰ってきたのだ。女の家から漏れてくるのは、半年ぶりに帰ってきたダンナさんの奉公先の
帰ってきた男は、女たちにとって持ち帰った稼ぎが一番なのはわかっていても、今こうして座ってるこの囲炉裏に昨日までは別の男があぐらをかいていたとしても、こんな風に家のものに着替えさせてもらえる間は、つくづくこの家のダンナさんの幸せを甘受していられる。
そうしたことにエコ
ー わしらの幸せが、あの
その一言一言が、
うっ・・・うぅうーん・・・ふぅーふぅー・・・うんうん、うーん・・・・
潜っていく
仄暗いアブクに
そろそろかと、尻に隠した乳白色のお守りをそっとひねり出し、掌に握る。南の島で見つけた親指の先のひとはらほどの大きさの丸まった石だ。
今夜でモグラの身体半分の色に染まった。昨夜の肩までが腹まで降りて、あと三日もすれば、足の先の爪までモグラ色に染まっていく。背中にかたちづくられるのを受け入れながらも、オレは千手の女の腕をかわして、気づかれないよう掌に握って汗ばんでるその乳白色の
それは、女の方が、顕著だった。
地色の黒さは変わらなくても、漆喰で固まった蔵の中にも柔らかで湿った高ぶりは沁み渡ってくる。夜を待った女の声に炭団を連想させる匂いは感じない。
二人の半年ぶりの
「ヤマモトさんは、フジコさんがどうしてもといってダンナさんになったおひとやから」
己れらの終えた後の温かさを抱いてまま、耳を
「ダンナさんは、やっぱりはじめての男という
うちは違うといった声は消え入るようにかぼそかったが、ふたたび握ってきた
愛しさが増してきた。転がしてた石ころを尻の穴に戻して、ふたたび繋げた。アヤはそれを促したわけではなかったが、ふたたび求めたことを
オレが奉公に出るまでは、こうしていられる。
だれか奉公から帰ってくるまでは、こうしていられる。
一家のダンナさんたちが顔を合わせることはないのだという。山仕事で顔を合わせる男たちは皆んな
それに
ー
ー きのうやっと奉公に行ってくれたフジコさん
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