第37話 殲滅作戦2準備中?
太郎がトラックの荷台に工具とシャベルカーを載せて戻って来た。
「兄ちゃん。トラック運転できるっけ?」
トラックから降りてきた太郎は真顔で聞いてきた。
「えっと、兄ちゃんは車の運転免許を取ったこともなければ教習所に通ったこともないんだけれど……運転できるかな?」
これから開始する作戦のことを考えると僕が運転をした方がいいのは分かるのだけれども……どうだろう?
「うん。兄ちゃんは涼子さんと見張っておいて。僕が1人で準備する方が早いし楽な気がしてきたから。」
太郎は少し疲れた顔をしながら言ってきた。
「分かった。それじゃあ、お願い。」
太郎に頼まれた通りに見張りをしに戻ったが、煙で全く巣の近くを確認できず。だいぶ接近されないと気が付かない状態になっている。何なら太郎の方が先に気が付くのではないか?と思わなくもないが…まあ、いいか。
昼間は見張りを涼子さんと交代でしながらご飯を作ったり、洗濯をしたりと言った家事をして夜は太郎と交代で望遠鏡とモニターを使って見張りをするという生活を1ヶ月ほど続けた。
火が消えて10日ほど過ぎると巨大アリは夜間に出てきては戻っていくという行為を続けてはいたが、こちらに向かっては来ていない。
さらに1ヶ月が経過した。太郎が作戦実行のための土木工事の第一段階を終了させたようだ。この調子なら後1~2ヶ月の間に作戦を実行できるだろう。
さらに2ヶ月が経過した。作戦はまだ実行できていない。
さらに1ヶ月が経過した。僕が知らない間に作戦に変更があったのだろうか?巨大アリの巣の入り口まで溝を掘って、整備・製造工場に付属されているいくら使っても減らない貯水槽の水を流し込んでアリを溺死させ、死体を回収する作戦だったと思うのだが、現在家の前には水路ではない何かが作られている。
さらに1ヶ月が経過した。次第に太郎が作っているものが何なのか分かってきた。どうやらダムを作っているようだ。少し気になることがあるとすればここは平地なのにどこに放水するつもりなのだろうか。
さらに1ヶ月が経過した。最近太郎がすっごくいい笑顔で帰ってくるようになった。おそらく作戦内容するら忘れてしまっている気がするがまあいいか。なんとなく今作戦はどうなったの?と聞いてはいけない気がする。というかもう僕たちも見張りをしてはいないんだけれどね。今は太郎に小型のシャベルカーの操作方法を聞いて家の横の荒野を掘り返して、そこに研究棟で化学合成で作成した窒素肥料を散布し、バイオ苗のサツマイモを植え付けた。バイオ苗の理由は食料として何気に食べているこのサツマイモの細胞から苗を作れたらいいなぁ~と思いながら研究棟の資料を読んでいると細胞レベルから植物体を作る方法について詳しく書かれたものを見つけて実際にやってみたらうまくできたので実際に植え付けたくなったからだ。まあ、念のために通常の苗も後で交換して植え付けるとしよう。もしうまくいけば100日から120日前後でおいしいお芋にありつけるはずだ。
そうしたらきっと涼子さんの怒りもおさまるだろう。よく分からないけど最近毎日怒られている。なんでだろうか?
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