第36話 殲滅戦作戦1

火をつけてから1時間以上が経過した。

「兄ちゃん、出てきてる?」

「いや、出てきてないね。」

下で構えている太郎に言われて、双眼鏡を覗き込んだが、全く出てきていない。黒い煙がもくもくとあがっていて、赤い火も遠目で確認できるのだけれど、アリは出てきていない。あんなに巨大なのだから出てきたら分かると思ったんだけれどなぁ~。

「おかしいね?どうしたんだろう?」

太郎は首を傾げながら言った。

「あの、アリは1つの巣にいくつも出入り口があると聞いたことがあるのですが、どこか別の出入り口から出ていったとかはないですか?もしくは巣がとても深くまであって、みんな下の方へと潜ったとか……」

涼子さんが申し訳なさそうに言われた。

「「あ!確かに!!」」

僕たちは2人揃ってすっかりその事を忘れていた。

「兄ちゃん、どうする?」

「第2作戦へ変更しようか!」

「分かった!すぐに準備に取りかかるね!」

太郎は僕の変更の指示を聞いてすぐに整備▪製造工場へと走って行った。

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