閑話 松本涼子視点3
史郎さんが研究棟に籠ってから数日が経過しました。太郎さんは探索に行って帰って来ては、車や重機をいじって再び探索へと出ていくということを繰り返しています。それでも前ほどひどい状態ではありません。前は、史郎さんと太郎さんは2、3日の徹夜は当たり前のようにしていましたし、食事もろくにとっていませんでした。時々、このままでは死んでしまうのではと思いご飯を準備して2人を席に座らせてご飯を食べさせていましたが、2人とも10分足らずで食べて作業へと戻っていってました。まるで何かにとりつかれたかのように没頭する2人のことが怖くなりましたが、2人とも話しかければ返事をしてくれていましたし、話もしてくれました。まあ、太郎さんと話すとひたすら車や機械についての話になりましたし、史郎さんと話せば分子構造や微生物の話になり高校で文系クラスを選択し、そのまま専門学校に入った私では理解しきれないことも多かったです。私は理解することはできませんでしたが史郎さんと太郎さんはお互いの話が理解できたようで2人で会話が盛り上がっているのを何度か見ました。史郎さんは理系の大学を卒業したらしいのでいいのですが、太郎さんはスポ―ツで大学に進学して、文系の学部を卒業してそのまま実業団に入ったと聞いていたのですがなんで、太郎さんの話を理解できたのでしょうか?もしかして、太郎さんって賢かったのでしょうか?今までの言動や行動を見ていた限りそんな風には感じなかったのですが……。さて、そんなことはどちらでもよくってあまりにも見ていられなくて私が史郎さんと太郎さんを怒ってから1週間が経過しました。何が見ていられなかったかというと、どんどんと目に見えて2人が痩せてきてこのままだと1年足らずで死んでしまうと医療知識のない素人の私が見て分かる状態になってまで、何かにとりつかれたかのように作業する姿です。そんなわけで2人を怒って(文句を言って)しっかりと食事を食べさせて寝るのを確認してから1週間です。2人は少なくとも1週間現状維持をしています。現状維持がいいのかというとよくはないけれども、日を追うことに目に見えてわかる程に痩せていっていくよりはいいのだと信じてます。
さて、そんな私の目の前で現在史郎さんと太郎さんが何かを準備している。何をしているのかを聞いてももう少し待ってと言われるだけで、何をしているのかは分からない。だけれども、研究棟と整備・製造工場から色々と運び出してきて組み立てている。いったい何を始めるつもりなのだろうか?
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