第29話 暇つぶし?

「史郎さん、今日はこれで勝負です。」

朝ごはんを食べ、家事を終わらせたタイミングで涼子さんは将棋盤を持ってやってきた。

「いいですよ。」

あれからチェスや囲碁、ジェンガ、人生ゲーム、ドンジャラなど家にあったものは一通りやったが全て僕の勝ちで終わっていた。なので、毎回終わる度に涼子さんが悲しそうな顔をしていた。しかし、翌日には復活して別のゲームを持ってきた。

「今日こそ勝ちます!」

「頑張ってください。」


2時間後


悲しそうな顔をする涼子さんが目の前にいた。

理由はよく分かっている。最初は何もハンデを無しにしていたのだけれど、あっという間に勝ってしまったので、少しずつスタートの持ち駒を減らしていって最終的に裸王の状態でスタートしたのだけれど、それでも勝ってしまった。ここまでいくと僕が強いとか以前の問題で涼子さんが弱すぎる気がする。どうしたら涼子さんが勝てるようになるのだろうか?やはり、運要素が強いゲームで勝負するべきな気がする。だけど、運要素が強いであろう人生ゲームで大差をつけて負けていたのに涼子さんが他のゲームで勝てるのだろうか?少々厳しい気がする。


「涼子さん、とりあえずお昼にしませんか?」

「そうですね。」

というわけでお昼にすることにした。

ちなみにお昼ごはんは昨日の晩御飯の余り物の野菜炒めに中華麺と肉を入れて作る焼きそばだ。太郎がいるとさらに追加で何か作らないといけないが、太郎もいないのでこれで十分である。

「史郎さん、何か手伝いましょうか?」

「いえ、大丈夫です。」

「そうですか。」

涼子さんが少し悲しそうな声で答えた。

「ああ、それじゃあ卵を2個取ってください。」

「はい!」

涼子さんは元気よく返事をして取ってくれた。

僕は卵を受け取って焼きそばを作り終えたフライパンに卵を割りいれた。後はある程度火が通れば完成である。

「さて、できたので食べましょうか。」

「はい!」

涼子さんは相変わらず僕の横に座った。もう毎度のことなので特に気にしないことにしている。

「「いただきます。」」

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