第27話
「こちら、史郎。こちら、史郎。」
探索に出ている太郎との定時連絡のために屋上に増築した小屋から連絡を飛ばしている。もともとアマチュア無線の存在は知っていたが、興味がなかったので受け答えの方法について決められているものがあるのかさえ分からない。なので、連絡を取るときは応答があるまで「こちら、○○。」といい続けると太郎が探索に出る前に約束をした。
「兄ちゃん!太郎です。どうぞ!」
「こちら異状なし?現在の探索結果の報告を求めます。」
「なぜ疑問型なの?」
「気にしなくてもいい。」
「そっか。」
朝の涼子さんの行動は問題がなかったといえば嘘になると思うが、太郎が求めている異常とは塀が壊されたとか、家に被害があったとかなので今回は報告しなくても大丈夫だろう。
「とりあえず、報告するね。前回の連絡から更に500kmほど移動して現在家から直線距離で2500km前方に砂漠があり、試しに歩いての侵入を試みたけど踏み込んだ瞬間にどんどんと足が沈んでしまうので危険と判断してこれ以上進むことを諦めたよ。今後は横移動をしながら移動可能な地点の捜索を開始する予定。もし見つけられなかったとしても5日後には家に向けて出発するね。何もなければ8日後には帰宅できる予定だよ。」
「了解。」
とりあえず、太郎は何事もなく無事なようで良かった。
「ところで兄ちゃん、涼子さんは復活した?」
「おう!元気になったよ。」
「それは良かった。」
そういえば、2日に1度ぐらいの頻度でしか連絡を取らないので結局、昨日は涼子さんの完全復活以外に変わったことはなかったので連絡をしなかったんだった。
「兄ちゃん心配していたもんね。」
「おう。そうだ、悪いんだけど砂漠の砂の他にも土の色が違ったり、物が違うと感じたところの砂や土をサンプリングしてきて!」
「分かった。」
太郎が出てから涼子さんが寝ている間することが無かったので交換できるものを探していると施設関連のページで薬局や車の整備工場、化学研究室、醸造所、鍛冶場、電子顕微鏡、牧場、養殖場、p交換所、実家1、実家2などが出てきた。
化学研究室と電子顕微鏡を使えば何か分かるかも知れないからサンプルがほしい。というか、実家1と実家2ってなんだろうか?いやおそらくそういうことなんだろうけど、これはオリジナル?それともコピー?もしオリジナルが来て住んでいた両親は向こうに居る状態になるといきなり両親は家を失うわけになるし…これはしばらく見なかったことにしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます