第26話

リビングに行くとすでに涼子さんが席についていた。

「おはようございます。」

「あ、おはようございます」

声をかけると声が裏返っていたが、返事はしてもらえた。

「朝ごはんはもう食べましたか?」

「いえ、まだです。」

「それじゃあ、準備しますね。」

「あ、はい。」

やはり緊張しているようだが、気にしないことにした。

朝ごはんを準備して席に着いた。

「あの…」

「うん?」

涼子さんは何かを聞こうとしているようだけれど、何を聞こうとしているのかは答えてはくれなかった。

「何か聞きたいことでもありましたか?」

「いえ、あ、いや、はい。」

「?」

しばらく待ってみたが、涼子さんは答えてくれそうにはなかった。

「まあ、今すぐでなくてもいいのでそのうち聞いてください。」

「はい。」

「あ、そういえば。僕の寝室に落ちていたオレンジ色の服は洗濯機に放り込んでおきました。」

「ゴホゴホ、分かりました。ありがとうございます。」

念のため、僕の寝室に落ちていた服はほぼ確実に涼子さんのものだと思われるので伝えるだけ伝えておいた方がいいと思って伝えたのだが、むせたみたいだ。もしかして伝えない方がよかったかな。

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