第23話 涼子さん復活

「ご迷惑をおかけしました。」

涼子さんが体調を崩してから10日経ち、涼子さんは完全復活したようだ。

「大丈夫ですよ。気にしないでください。」

「いえ、でも…私のせいで探索を途中で切り上げることになりましたし…」

「えっと…それは大丈夫です。どのみち、そんなに長期間探索ができるだけの準備ができていなかったので1日、2日早く切り上げることになっただけですので。」

元々、荒地がいくら広くても車で走るなら5日程度で荒地の外に出ることができるか砂漠のオアシスのように食料や水の調達可能な場所にたどり着けるだろうと考えていたので食料や水は11日分程度しか準備をしていなかった。なので涼子さんが体調を崩さなくても5日経って何も見つけることができなかったとしても引き返そうと太郎とは話してから出発している。

「そうですか…。」

涼子さんは申し訳なさそうに答えた。

「ああ、それに緊急事態とはいえ、特に確認せずに医療施設を使った結果、色々と

見てしまったのでこちらこそすみません。」

医療施設は結果と処方箋以外にも血中酸素濃度やヘモグロビンの量も表示されていたが、それ以外のも身長や体重、バスト、ウエスト、ヒップ、腕の長さ、足の長さなど身体中の至るところのサイズも表示されていたのだ。

「えっと、何を見たんですか?」

涼子さんは真顔で聞いてきた。

「見ますか?処方箋などと一緒に印刷されてきたので、そのまま医療施設に備え付けられていた棚にファイリングして置いていますけど。」

「はい。」

「ついてきて下さい。」

涼子さんはトコトコと僕の後を着いてきた。

「これです。」

「っ!」

涼子さんにファイリングした資料を渡すとすぐに開いて、そのまま固まった。

「あの…。」

声をかけたが反応がなく、目の前で手を振っても反応がなかった。

しばらくすると頬を赤らめながらもこちらを見て

「忘れてくださいね。」

と言った。

「はい。」

「絶対に忘れてくださいね。」

「大丈夫です。」

念押しされたので正確に数字はすべて覚えているが忘れたことにしておこう。僕は昔から人の名前と顔は覚えられないけどそれ以外なら基本的に見れば覚えられてほぼ忘れることがなかったんだよね。おかげで教科書を忘れたときも先生に問題文を読めと言われたらすらすらと暗記した問題文を朗読してやり過ごしたなぁ。先生も読んでいると思ったみたいで忘れたことにすら気が付かれなかったので非常に役に立つなと思っていて1度も困ったことはなかったんだけどまさか、こんな弊害が出るとは。

とりあえず、ばれるまでは忘れたことにしておこう。

涼子さんはファイルを持って自分の部屋へと帰っていった。

僕も部屋に戻るとしようかな。

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