第22話

「兄ちゃん、まさか、医療施設があんなのだとは思わなかったね。」

リビングでお茶を飲んでいると太郎が話しかけてきた。

「そうだね。でも、ただの風邪みたいでよかったよ。」

地下医療施設はとても進んだ技術が用いられている施設のようで、備え付けられているベットに凉子さんを転がして診察開始のボタンを押すと勝手に診察が始まり、30秒ほどで結果が表示された。それと同時に処方箋が出てきたのだけど、残念ながら薬局は備え付けられていなかったため太郎が買ってきた風邪薬を服用してもらうことにした。とはいえ、今後買ってきた市販薬の在庫が尽きる可能性が高いのでできる限り早く対策をする必要がある。

「とりあえず、次は薬局を手に入れる必要があるね。」

「そうだね。また明日から探索の方はお願いね。」

「任せておいて!」

「「ウァン!」」

太郎とポチとトラが返事をしてくれた。

凉子さんは診察のためにベットに移動させたタイミングで目覚めた。なので、診察終了後にとりあえず食べられそうなものを食べてもらって再び凉子さんの部屋で寝ている。おそらくしばらくは起きてこないと思う。

「兄ちゃん、ポチとトラが散歩に行きたいみたいだから少し行ってくるね。何かあったら連絡して!」

「分かった。気をつけてね。」

これも最近知ったことだけど、なぜか僕たちの携帯電話や固定電話はお互いに連絡を取り合うことが可能である。だけど、実家や両親の携帯電話には繋がらなかった。繋がったら育ててくれたことに対する感謝を伝えたかったのにな…。と太郎と分かったときに話した。

僕に関しては完全に向こうで死んでから来ているけど、太郎はどうやら凉子さんを最寄りの駅に送りに行ったまま実家に帰らずにこっちに来ているので絶対に心配されていると思うと嘆いていた。凉子さんはもう大分長いこと両親や兄弟と顔を会わせてはいないと言っていた。どうやら仲が悪いわけではないけど実家が遠いので基本的に何かあっても電話済ませていたらしい。こんなことになるなら最後にもう一度会っておいた方が良かった気がすると嘆いていたのが少し印象的だった。

出きることなら家のレベルアップで直接会うことができなくても最後に感謝を伝えられるようになりますように…。

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