第20話 医療施設

「兄ちゃん、とりあえず涼子さんを布団に転がしておいて。」

「おう」

家に到着するとすぐに太郎に言われて涼子さんを横抱きして部屋に連れて行って布団に転がした。

「さてと、熱さまシートを買ってきたとこの前太郎が言っていたはずだから取りに行かな。」

というわけで探しているのだけれど解熱剤や鎮痛剤、シップは大量に出てくるのに熱さまシートは出てこない。仕方がないので熱中症対策用の首に巻くひんやりタオルを首に巻いて保冷剤をタオルで巻いて涼子さんの頭の下に置いておいた。

「兄ちゃん、どう?」

太郎が荷物をすべておろしてダイニングにやってきた。

「とりあえず、冷やしているよ。今、ポイントで交換できるもので役立つものがないか確認中。」

「そう、何かあった?」

太郎が食い気味で聞いてきた。

「ものに関してはいろいろあるんだけど、明らかに専門知識が必要そうなものが大量に出てきた。」

さっきからどれを使おうかと悩んでいる本当の理由はこれである。

「うん?例えばどんなの?」

「アスピリン、ロキソプロフェンサン、ジクロフェナックって書いてあるんだけどはっきり言って何が何か全く分からないの。ほかにも点滴針とブドウ糖のセットパックや点滴針とアミノ酸のセットパック。素人の僕たちが点滴針を刺せる気がしないから使うことはほぼ不可能だと思うよ。」

真顔で言うと太郎もうなずいてくれた。

「ねえ、兄ちゃん。家レベル上がっているんだよね。それならさ、他にも何かないの?」

「そうだね。」

言われるまで忘れていたけど遠征の準備や1日当たり貯められるポイントの増加、購入時に必要となるpの削減をするために70pほど使用したがまだ、200pはある。ちなみに今の家レベルは50である。ここまでレベルがあがった理由は太郎が毎日愛犬の散歩を兼ねて遠くまで行っていたことと今回の遠征でそれなりの距離を探索できたからである。

というわけで、新規購入可能になったものと検索するといいものが出てきた。


地下医療施設(初期) 210p

≪説明≫

最先端の技術と魔法の融合した施設。初期であるため大けがをすると直すのに時間がかかる。また、一部医療を行うことができない。


「これだ。」

思わず叫んでしまった。しかし、あと10p足りない。

「兄ちゃんどうしたの?」

「太郎、あと300ポイントほど必要なんだけど、手伝ってくれる?」

「もちろんいいよ。兄ちゃん僕は中学校の時に言ったでしょ。将来兄ちゃんの家に居候させてほしい。その代わりに、車の運転でも兄ちゃんの子供の子守でもなんでも僕にできる範囲でしてあげるって。忘れたの?」

母親が30歳になるまでに結婚して家を出なさいと僕たちに小さいころから言っており、太郎は結婚したくない。というか、女子怖い。だけどこのままだと家を30歳になったら追い出されてしまう。と悩み、そうだ。僕よりも先に兄ちゃんが家を出ているはずだから兄ちゃんの家に住ませてもらおうと考えて提案してきたことである。実際には僕は30歳になっても追い出されることはなく実家に住んでおり、太郎も大学から今に至るまで寮生活だったので太郎が僕の家にあちらで居候することはなかったんだけどね。

「いや、覚えているよ。」

「それじゃあ、話は早いね。兄ちゃんは涼子さんについておいてあげてね。体調不良の時に一人は心細いからさ。それに兄ちゃんが探索に出ても僕が同じ時間1人で探索する方が早く広範囲を探索できるからさ。というわけで僕はトラックで2時間ほど走り回ってくるから。行ってきます。」

そういって太郎は出て行った。よし、僕も涼子さんが起きた時にすぐに食べられそうなものを作るとしようかな。

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