第19話 探索2日目2
出発してから1時間ほど経った。周囲の景色に変化はない
さらに1時間経った。周囲の景色に変化はない。そろそろ涼子さんを起こした方がいいのだろうか?まあ、起きるまで待っておこう。
さらに3時間経った。
「兄ちゃん、まったく周囲の景色が変わらないけど、そろそろお昼の時間だよ。お昼は何?」
「お昼はカップ麺かな?」
「え~。なんで?」
太郎がとても不満そうな声で聞いてきた。
「だって、太郎。持ってきている食料で車内で食べられるものがそれぐらいしかないんだもん。飯ごうやバーベキューセットも持ってきたけど、これを使うには火を起こさないといけないじゃんか。そんでもって、太郎は薪や炭を買ってきていないでしょ!だから、火を起こすための燃料が必要なわけよ。そんでもってここら辺では調達できそうにないからさ。ここはお湯を沸かしてカップ麵かなと思ったのよ。」
「なるほど。・・・でも兄ちゃん確か僕、炭と薪は積んだよ。量は少なかったけど。それでも数時間はできると思うよ。」
まるで名案だと言うように言ってきた。
「太郎、周囲の風景は特に変化がないけど、時々大きなアリみたいなのが歩いてるじゃん。多分、外でバーベキューしたら匂いに釣られて何か来ると思うよ。そうしたらバーベキューどころじゃなくなると思うよ。」
「うっ、それは嫌だ。仕方がないからカップ麺で我慢するよ。何がある?」
「えっとね。ちょっと待ってよ。あるのはね・・・焼きそばとキツネうどん、餅うどん、キツネそば、カレーうどんぐらいかな。もしかしたら荷台に他のも積んであるかもしれないけど。分からん。」
「そっか。兄ちゃん、食パンはある?」
「あるよ。」
「それじゃあ、焼きそばと食パンでちょうだい。」
「おう、分かった。」
ケトルに太郎が出発前に荷台から持ってきた水を入れて沸かしている間に朝サンドイッチを作るときに余った5枚切りの食パンを出して用意を始めた。
太郎はご飯ができるまでトラックを走らせるつもりのようだ。
「ところで、兄ちゃん。涼子さん起きた?」
「うん?いや起きてないね。」
横の席で寝ている涼子さんを確認しながら答えた。
「そっか。ねえ、涼子さん調子悪いんじゃない?なんか呼吸音が荒い気がするんだけど。」
太郎が心配そうな声で言ってきた。確かに言われてみれば呼気が乱れている気もする。あと若干顔がいつもより赤い気がしたりしなかったりかな?僕の日焼けした腕の方が赤いから日焼けしているのだろうと思っていたんだけど・・・
「え、そう?」
「うん。兄ちゃんとりあえず、おでこに手を当てて熱がないかだけ確認してあげて。もしあったら今回はここで引き返そうか。」
「おう、分かった。」
太郎に言われた通りに涼子さんのおでこに手を当ててみた。
「少し熱いかもしれない。」
「そう。とりあえず涼子さんを起こしてあげて。そろそろ水分補給しないとなんやかんやで涼子さん12時間以上水分をとっていないと思うからさ。」
「おう。涼子さん、涼子さん」
肩をトントンと叩きながら声をかけたが全く起きる気配がない。
「兄ちゃん、戻るよ。周囲の確認を目的としていたから来るときは時速60キロ程度で走ってきたけど。今回は緊急事態だからアクセルべた踏みで飛ばすからしっかりと掴まっててね。」
太郎がとても焦った口調で言うとすぐに方向転換してアクセル全開で飛ばしだした。
慌ててケトルを止めて、開けていたカップ焼きそばのふたを閉め、涼子さんのシートベルトをしめた。
どうか無事に家に帰る付けますように!
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