第18話 探索2日目1

「兄ちゃん、朝だよ。起きろ!」

「お、おう。太郎、今何時だ?」

運転席に座っていたはずの太郎の顔が目の前にあることに驚きながらも時間を聞いた。まだ周囲が薄暗く窓から外を覗いてみても少し離れたところにある岩の輪郭がぼんやり見えるかどうかといったところだ。

「今?今はね。5時30分だよ。そろそろお腹がすいたからご飯出して。僕はもう2時間以上前に起きて常識的な時間になるまで待っていたんだからね。」

「そうか。それじゃあ、あと30分は待っておいてくれ。それじゃあ、おやすみ。」

「ちょっと!僕の朝ごはんは?」

「まだ、涼子さんも寝ているんだし、もう少し静かにしておきなさい。」

「あーい。分かったよ。」

そういいながら太郎は静かに前を向いたのを確認して、再び眠りについた。


「兄ちゃん、30分経ったよ。ごはん!」

再び、太郎の声で目覚めると視界いっぱいに太郎の顔があり、思わず突き飛ばしそうになったが何とか耐えた。

「おう、分かった。今用意するから少し待ってろ。ところで、1つ確認したいのだが、なんで外はまだ真っ暗なんだ?」

「さあ~。分からない。でも少しずつだけど明るくはなってきているよ」

「そうか。ところで太郎はココアとコーヒーどっちがいい?」

「ココアで」

「分かった。」

太郎が買ってきていた車の電源でも利用可能なケトルに持ってきていた水を入れ沸かしている間に、保冷ボックスに入れてきた野菜とパンを使ってサンドイッチを準備し始めた。

「太郎、今日は朝ご飯を食べたらすぐに出発する?」

「うん?そのつもりだけど、何か用事があった?もしあるならそれが終わってから出発でいいよ。」

「いや、特に何もないよ。ただ、荷台に積んであるペットボトルを数本こっちに持ってきておきたいと考えていただけ。」

「ああ、そういえば狭くなるからと言って持ってきた飲み物の大半を後ろの荷台に積んでたね。分かった。とってくるから少し待ってて。あと、何か必要なものある?」

「おやつ類も後ろに積んでたと思うからそれもお願い。」

「おう、分かった。それじゃあ、兄ちゃん僕が取りに行っている間に横で寝ている涼子さんを起こしておいてね。」

そういうと太郎は運転席のドアを開けて降りて行った。

「涼子さん、涼子さん、朝ですよ。起きてください。」

僕は太郎に言われた通りに涼子さんを起こすことにしたのだが、声を掛けても全く起きる気配がない。さて、どうしたものかな?いい匂いがしたらおなかをすかせて起きてくるかな?

というわけで、太郎のココアを準備し、さらにドリップコーヒーを入れてみたが全く起きてこない。とはいえ、あといい匂いがしそうなものはないので、諦めて再びサンドイッチを作ることにした。


「兄ちゃん、とってきたよ。」

無事、全員分の朝ごはん用のサンドイッチが完成したタイミングで、水1箱(2ℓ×6本)とお茶1箱(2ℓ×6本)、おやつの小袋の詰め合わせを持ってきた。

「おう、ありがと。サンドイッチできてるよ。ほい、これ。」

「ありがとう。」

そういいながら、太郎はサンドイッチを受け取ると運転席に座って食べ始めた。

「兄ちゃん、ところで涼子さんは起きた?」

「いや、寝てる。疲れてるんだろうしこのまま寝かせておこうか。」

「そうだね。それじゃあ、朝ごはん食べたら出発しようか。」

「おう。」

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