閑話 松本涼子視点2
太郎さんに連れられて史郎さんの遺体のある実家にお邪魔し、そこで史郎さんに会った。史郎さんが死んだと太郎さんに聞いた時はあまり実感がなく嘘であってほしいと願っていたが、実際に史郎さんの遺体と対面し本当に死んでしまったのだと実感しその場で固まってしまった。その後、史郎さんの母親が私を駅まで送るようにと太郎さんに言い送ってもらうまでの間にどんな会話をしたのか記憶にないが「史郎を大切に思ってくれてありがとね。」という言葉をかけられたのは覚えている。その後、駅で太郎さんがいきなり「松本さん待ってください。」と言われたときは何かあったのかと思いながら聞き返したが、その後すごい怒気を放ちながら駅から出てきた男の人(?)に問いかけている姿は正直とんでもない恐怖心に駆られるものがあった。そんな中で史郎に会わせてやると言われたときにたとえそれが嘘であったとしても会える可能性が1%でもあるならもう一度会って思いを伝えたいという衝動に駆られて私は
「分かりました。私は従います。私は史郎さんに会えるのなら全てを投げ捨てでも会いたいので。」と言ってしまった。その後、太郎さんが何か諦めた雰囲気を漂わせながら了承すると同時に交渉(恐喝)している姿を見て私は考えなしに同意しすぎてしまったと後悔をした。その後、ATMで引き出せる限界まで貯金を引き出し、まだ営業している店をすべてピックアップし必要であろうと思われるものを買って回った。
買い物を終えた後に史郎さんの自宅の駐車場に車を停め、男の人が「では行くぞ!ほれ!」と掛け声をかけた次の瞬間には住宅街から荒地に移動しておりそれなりに驚いたことは内緒である。その後、史郎さんと再会し職場では見たことのない笑顔で太郎さんと話している姿はとても印象的だった。
その後少し私は役立たずになっているのではないかと自己嫌悪感に苛まれたり、太郎さんに嫉妬してしまったりしたが、太郎さんが気にかけてくれたおかげで少しマシになった。そして、現在私が作った昼食をみんなで食べている。ここに来た当日は何もさせてもらえなかったので少しは信頼されたのだと信じたい。できれば史郎さんに私の気持ちにも気が付いてほしいと思うのは私のわがままなのだろうか?
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