いざ、本屋さんへ! 後日談

雲母あお

いざ、本屋さんへ!の後日談です

今日は、待ちに待ったあのラノベの第2巻の発売日。

堂々と大好きなラノベを買うんだ!


「いらっしゃいませ。」


店内に入ると、いつもの店員さんが挨拶してくれる。

私はいつものように軽く会釈をすると、

「いざ!」

小さい声でつぶやき、自分に発破をかけ、真っ直ぐラノベコーナーと向かった。


「あった!」

1巻の時と同じ場所に、お目当てのラノベが平積みされていた。

「本屋さん、ありがと〜う!アゲイン!」

と、心の中で喜びの声をあげ、慌てて口を押さえた。

「あっ、も、もしかして今の声に出てなかったわよね?」

あたりをキョロキョロと見る。こちらを見ている人は誰もいなかった。

「ふう、よかった。」

1番上からサッと一冊手に取って、まっすぐ確かな足取りで、レジへと向かう。


「もう、あの変装までした3ヶ月前の私とは違うのよ!」


と言いつつ、いつもより歩くのは遅い。やっぱりどうしても緊張しちゃうわね。

それでも、いつもの仕事帰りに、いつものように、いつもの本屋に立ち寄って、いつもの店員さんに挨拶をして、大好きなラノベを買う。

この行動が実行に移せたのは、3ヶ月前の頑張りのおかげだろう。

勇気を出して行動すれば、できることもあるんだ。

「いざ!レジへ!」


いつもより遠く感じたけど、無事レジに着いた。

「これ、ください。」

レジにそっと丁寧にラノベを置く。


「いらっしゃいませ!いつもありがとうございます。あっ、僕もこの本大好きなんです!おもしろいですよね!1巻どうでした?」

いつもの店員さんが、嬉しそうにそう言った。


まさかのファンに遭遇!?

しかもこんなに身近なところに!?

びっくりして、それから、私はとても嬉しくなった。

「はい!とっても面白かったです!2巻読むの楽しみです!」



堂々とラノベを買ったら、今までずっと挨拶しか交わしたことのなかった店員さんに、この日初めて話しかけられたのだ。


自分の好きを大事にすると、同じ好きに出会えるのかもしれない。

帰り道、幸せな気持ちで家路につけたのは、言うまでもない。


あ、あれ?さっき1巻どうでしたって聞かれたような……?

こないだ変装したやつバレてたー!?


まあいっか。終わりよければすべてよしっていうしね!

次は、私から推しの話をしてみようかなあ〜。

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