童話

鬱病鬼面

ねんねこ と にんじん

ねんねこは、しょくぱんを食べながら、やっとのことであさぎりをきりました。

そうしたら、あさぎりの中から赤いかたまりが現れました。


「なんだろう」


よく見てみると、それはなんと、にんじんの塊でした。

ねんねこは、にんじんが大好きなので、うれしくて、そっとそれを手にとって、口にほうり込みました。


あまりにおいしくて、まるで、自分がにんじんになっているような気分でした。

周りの景色がぼやけて、にんじん畑の中に迷い込んでしまったように思えました。


それから、ねんねこは、毎日あさぎりをきっては、にんじんを食べつづけました。

すると、ある日、ねんねこの手が、にんじんと同じ、赤色になっていることに、気づきました。


「なんだろう」


手だけかと思ったら、足も、体も、どんどんにんじん化していき、最終的には完全ににんじんになってしまいました。


それを見ていたにんじんさんたちも言いました。


「なんだろう」


ねんねこは、にんじんさんたちと、すぐに仲良くなり、毎日楽しく過ごすことにしました。


しかし、ある日、にんじん畑の農家が収穫しにやってきました。

ねんねこは、自分が収穫されてしまうことに気づいて、絶望しました。

しかし、農家はねんねこを特別扱いしてくれて、他のにんじんたちとは別の場所に植え直してくれました。


それから、ねんねこはまた新しい友達と出会い、幸せな日々を過ごすのでした。


おしまい

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