天才のマネをしてはいけない

あきかん

天才のマネをしてはいけない

 天才のマネをしてはいけない。これがツイッターで得た教訓だ。

 というのも、この度書籍化が決定した『不能共』の作者である草森さんのマネをした結果、小説らしき物すらろくに書けなくなったからだ。

 『不能共』を読めばわかる通り、性癖に忠実な作者である草森さん。他の作品でも独自の感性を見事に文章に起こしているこの人に、身の程知らずにも私は憧れてしまった。

 性癖か。性癖を極めれば小説が上手くなるのか。と間違った目標設定をした結果、小説脳とも言うべき私の器官が性癖をただむさぼり食うだけの何かに変わってしまった。

 偶にみかける、読みたい物がないから自分で書いている、という人の気持ちがわからない。性癖を歪めた結果、もはや少しの情報で自動的に妄想が膨らむ自分の脳に性癖を文章としてアップデートする余裕はなかった。

 

 彼の柔らかな肌の弾力が包丁から伝わってきた。それがプチっと突き抜けて肉が裂ける。切り口から血が溢れて溜まり、直ぐに血の滴が涙の様に流れ出した。


 彼を生きたまま解体した。


 小説としてなら前段の方が良いだろう。しかし、私は後段の一文で満足してしまう。いや、もっと省略してもいい。もはや文章や絵すらいらない。推しがツイートしているだけで妄想が膨らむのだ。病気である。

 現在、私はリハビリ中である。まともな感性に、少なくとも小説などの娯楽作品で萌られるような人間に戻る必要をひしひしと感じている。

 ならばこそ、『不能共』の書籍はうってつけの作品ではないかと思う。

 始めに戻ろう。リセットしよう。かつての自分を取り戻すために。新たな小説脳を築くために、天才の草森さんの力を借りようかと思っている。

 『不能共』で私の不能を治せる日を心待ちにしている。

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天才のマネをしてはいけない あきかん @Gomibako

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