地獄人形 エンマちゃん!

朝霞まひろ

第1話

 昔々、とーっても頭のいい人がとーっても高性能な人工知能を作りました。その人工知能のスゴいところは、人の感情も理解できたのです。頭のいい人は、それを見て、人間みたいで怖いと思いました。長い間、悩んだあと、「そうだ、かわいいぬいぐるみにしちゃえばいいじゃん。」と思いつきました。ぬいぐるみの姿は、人間たちに難なく受け入れられました。そして、ぬいぐるみたちは人間の仲間になりました。そして、ぬいぐるみたちは、人間の仕事をするようになりました。


「主文、ポコ太を3日間の町内掃除に処す。反省なさい!」

 幼児の声、裁判官のコスプレをしたちっちゃいぬいぐるみが声をはる。

「そんなーー。エンマちゃん、あんまりだよ。」 

「そんなーー、じゃありません。マキとの喧嘩の原因は、あなたがマキのプリンを勝手に食べたからでしょ。あなたが悪いです。それと、ここでは、裁判長と呼びなさい。」

「「そうだ!そうだ!」」

 傍聴席からは、観客?たちの声援がきこえる。

「皆さん、静粛に。これにて、裁判は閉廷します!」

 エンマちゃんが裁判を締めくくる。ポコ太は肩を落とし、観客たちは法廷を後にした。

 

「エンマちゃん、おつかれー。」

 ビシッとスーツを着た凛々しいぬいぐるみが、エンマちゃんに声をかけた。

「あー、サン?疲れたよー。」

「毎日、喧嘩の仲裁とか飽きない?」

「飽きなくはないけど、しょうがないわよ。田舎町の裁判プラッシャーの定めよ。そっちは?」

「ずっと書類仕事なの知ってるでしょ。警察プラッシャーと言っても、捜査とかしないわ。」

「そっかー。お互い大変ね。」

「さっきのはポコ太?」

「そうよ。今月もう3回目。」

「1回くらい、牢屋に入れてやろうかしら。」

「そんなことしたら、次は私が牢屋行きよ。何か、面白いことないかしらねー。」

「退屈なのね。そう言えば…。」

 こうして、エンマちゃんの日常が変わっていくのであった?

 

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