愛されるりんりんちゃん

空沢 来

第1話 今日も可愛いりんりんちゃん

 銀河太陽系から200000000億光年程離れたある惑星に。

 可愛いパンダのぬいぐるみが住んでいました。

 ふわふわの白い毛皮。漆黒より深い闇夜のような黒模様。

 竹林の中にある秘密基地が住処。

 鈴のような声で喋るのでりんりんちゃんと呼ばれていました。


 友達のくまのぬいぐるみ、ラグちゃんと一緒に『〈ぬいぐるみじゃない〉パンダと友達になる宇宙旅行』に当選したので、行ってきました。

 ねずみのぬいぐるみ、もーふ博士が発明した新作「宇宙戦艦テレポート号」に乗り、いざ出発。


 200000000億光年の長い月日、目的惑星〈蒼い星〉に到着するまでかなり暇だったので、乗客のぬいぐるみたちは新しいぬいぐるみをたくさん作る時間がありました。それで船体は出発時よりもかなり重くなりました。


 待ち遠しく、ようやく〈蒼い星〉に到着したとき、そこは荒廃したビル群に草木が安らぐ大地で〈ぬいぐるみじゃない〉パンダは一匹残らず絶滅していました。

 宇宙旅行の主催者のぬいぐるみー株式会社の担当者は冷や汗を流し、もーふ博士は首を傾げつつ新たな生態系に興味津々でした。


 しかし、りんりんちゃんは初めて降り立った別惑星に大はしゃぎ。くまのラグちゃんと一緒に木々の間を走り回りました。


「ラグちゃん!」

「りんりんちゃんっ」


 移ろう木漏れ日は眩しく、愛しく、りんりんちゃんは神様が創造された愛の光を感じました。


「今日が台風じゃなくてよかったね!」

「ね!」

「墜落しなくてよかったね!」

「よかったね!」

「神様が200000000億光年も愛して、守ってくれて、無事にここまで連れてきてくれた!」

「よかったね!」


 りんりんちゃんとラグちゃんは喜びのダンスを踊りました。

 初めは焦っていたぬいぐるみー株式会社の担当者は一部の旅行客だけでも喜んでたのでホッと安心しました。もーふ博士は単純なのでいつの間にか一緒にダンスを踊っていました。



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