6話目 マイクと共に駆け抜ける
上司に紹介された新宿二丁目──もとい、スピリュアルの力を備え、うみのファンクラブを立ち上げた刑事、マイクと共に捜査をすることになり、俺と光はマイクに連れられ、車に押し込まれ、行き先も分からないままマイクの指示で走行していた。マイク曰く、うみはメタバースの第二世界からライブ配信をさせられているという。つまりそれが事実ならば、殉職したサイバー捜査員達はバーチャルヌイアイドルうみではなく、別の者の何らかの力により殺されたことになるが、俺も光もスピリチュアルに関しては専門外どころか、テレビの占いすら信じない層だ。
「マイクさん、メタバースの第二世界にいるうみをどうやって救いだすんですか?」
気になった疑問をマイクにぶつけた。ネットの仮想空間でうみのライブ配信を見ていたサイバー捜査員達が簡単に殺されたのだ。命のリスクがあるのは勿論、体にも何らかの負担が掛かるだろう。だがうみの為に命を懸けるのはファンとしても、刑事としても当然で、うみを安全圏まで助けだすまでは死ねない──。刹那、マイクはふっと笑う。
「やだ葵君、考えが超イケメン!うみ様の次に推せるし好きになっちゃいそう♡」
「すんません。俺同姓は無理です……つーか、俺の心読めるんですか!?」
「そうよぉ~読めるし読むのは朝飯前よ?さっきは信じてなかったみたいだど、今は信じてるわね。さて、うみ様をどう救助するかだったわね。すごく危険な方法だけど、うみ様が囚われてる第二世界に本体とリンクして飛ばして助けるしかないの。方法はそれだけよ。それにうみ様は私達にとって唯一の希望なの。あの子を死なせたら、この第一世界の地球が乗っ取られて滅びてしまうわ」
「え、それどういうことですか。うみが死んだら、俺達も死ぬ運命なんですか?」
眉唾臭い話だが、マイクは真剣に頷いた。どうやら本当らしい。しかし本体とリンクして第二世界に飛ばす──謎どころか最早意味不明だ。
「詳しい事情はここで説明するわ」
辿り着いた場所は研究施設だった。ゲート手前に守衛小屋があったが、マイクは顔パスで通過し、軽く敬礼されていた。マイクはこの施設の重要な役員でもあるのだろう。車をおり、マイクの後に続いて施設内に入れば、デバイス装置、宇宙空間にある衛生画像、そして巨大なモニターには──
「うみ……?」
バーチャルヌイアイドルうみの姿が巨大なモニターに映し出されていた。だが彼女の姿はライブ配信していた時と異なり、ホログラムが散り散りになり分裂しかけていた。
「うみ様は第一世界で私達に楽しいライブ配信をしながら、第二世界で一人で戦ってたの」
又もや衝撃が走るが、うみの姿を見る限り長くは持たないのが窺えた。
「さぁ!助けるわよ!」
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