5話目 スピリチュアル刑事マイク登場
上司が口にしたスピリチュアル専門の刑事。切れ者と言ったが、恐らく違う意味で切れてい気がした。何せバーチャルヌイアイドルうみのライブ配信を捜査していたサイバー捜査員全員が殉職するという、前代未聞の不審死が起きたのだ。バーチャルヌイアイドルうみがリアルにいない、ネットのAIでもない、何もかもが不明──とあれば、普通の捜査対応では当然不可能で、捜査しても無意味になる。だからスピリチュアル専門の刑事なのだろう。だが正直不安だった。どんな奴と組むことになるのか──不安で不安だ。
「スピリチュアル専門の刑事ってガチでいるんすね。初めて聞きましたよ。葵先輩は会ったことあるんすか?」
「俺も会ったことがない。今日が初だ」
タクシーで警視庁に直行し、上司に呼び出された応接室に入れば早速、スピリチュアル専門の刑事とやらが手厚く俺達を出迎えてくれた。
「おこんばんわぁ!どうも初めましてぇ石田マイクと申します。マイクって呼んでね?えっとぉ、貴方が葵君で、この子が光君かしら?よろしくね♪」
マイクはオネェ口調で穏やかに話す筋骨粒々の大男で、髪は
俺の上司は悲しみの余り気がふれて、別の者を寄越したのだろうか?マイクの横にいる上司に視線を移せば、
「葵君、そういうことだからよろしくね」と言われた。
そういうことだからよろしくね──。一体全体どいうことだよと胸中で派手に突っ込むが、上司はそれだけ言い部屋を退室した。あとは俺と光とマイクとで捜査せよという話なのだろう。こんなよく分からないぽっと出、即死フラグ漂う生体と打ち解けれるのだろうか?又もや不安が過ったのは言うまでもない。
「さぁ貴方達!ぽやっとしてる暇はないわよ!さっさとこの難事件を解決して、うみ様を救いだすわよ!」
だがその不安は一瞬で吹き飛び、次には訊いていた。
「え、うみ様って……もしかしてファン?」
「そうよ!それにあたしがうみ様のファンクラブを立ち上げたんだから!」
「マジすか!会えて嬉しいっす!」
光はマイクに握手を求めだす。捜査の話から脱線し、暫しファン同士の交流会のような空気になったが、直ぐに捜査の話に戻った。
「昨晩殉職したサイバー捜査員達だけどね、その動画を見て殉職した無念と、うみの場所をしかと聞き取ったわ。うみは現実でも仮想空間でもない世界──メタバースの第二世界であの子はライブ配信をさせられてたのよ!」
いきなりとんでも話が繰り広げられた為、俺も光も目が点になった。それどういうことですかと訊く前にマイクは俺と光の腕を取り、
「さぁ!行くわよ!」
力強く駆け出した──
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