4話目 謎の死
バーチャルヌイアイドルうみの配信が終わって早々、召集の電話が鳴りだす。ネットもリアルも行方不明どころか、最初から存在してなかったうみ。だが恐らく、今の配信で見つけたのだろう。ハンズフリーイヤホンのボタンをタップし、通話を開始した。
「はい、葵です」
『葵君、今から私が言うことをどうか落ち着いて聞いてくれ……』
上司がやけに重苦しい雰囲気で切り出した。この口調からして恐らく良い知らせではないのだろう。バーチャルヌイアイドルうみは見つかったが既に殺されていた──なのだろうか?しかしそれにしては不自然だった。上司は俺がうみのファンであるのを知らない。仮に捜査線上で知ったとしても、このように切り出したりはしない。
つまりは、そう──つまりは……
『バーチャルヌイアイドルうみのライブ配信を見ながらサイバー捜査をしていた捜査員十名、全員殉職した……』
「全員殉職……?」
身内の死だ。瞬間、心臓が早鐘を打つ。全員、死んだだと……?
「光、店を出るぞ。あとタクシーを呼べ」
「了解っす!」
さっと会計を済ませてbarから退室し、再び上司との通話を再開した。
「全員殉職って、一体全体、どういう状況で捜査してたんですか?」
『
直後、そこに偶々居合わせた交通課の子の話によると全員頭を両手で押さえ、踠き苦しみだし、床にバタバタと倒れたと……』
「では突発的な脳梗塞を発症し、亡くなったと?」
『ああ、そうだ。全員その場で脳梗塞を発症し、死亡が確認された』
そんな馬鹿な話があるのだろうか。アニメや漫画のデスノートの世界ならありそうな話だが、リアルでそんなことが起きるとは。捜査員達は脳のシナプスに、何か特殊な電磁波を流されたのかもしれない。
「次の策はあるんですか?」
『今上はごたついてる。こんな前例、今までなかったし初めてだからね。それで今、動けるのは君たちだけなんだが、もう一人協力をあおぐことにしてね。少し変わっているが切れ者で、今回の事件に彼は役立つと思う。その彼と一緒に捜査を担当してほしい。葵君と光君が例のアイドルのファンなら、きっと解決に導けるだろう。期待してるよ』
「はい」
新しい捜査員の補充と協力の話に即答するも、少し気になった。上司の話からして、頭は切れるが何か問題を抱えていそうだからだ。素行や普段の生活態度が物凄く悪いのだろうか──
「葵先輩!タクシー着きましたよ!」
そう巡らす中、光がタクシーを無事に確保した。一旦思考は置き、タクシーのところまで走り、光と共にタクシーに乗り込んでから再び上司との通話を再開した。
「どんな方なんですか?」
『彼は、スピリチュアル専門の刑事だ』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます