第7話 魔王との謁見?

「さてと、おい聖女!」

「なんだ、魔王!」

「こっちに来い!ここでは話せぬ!」

魔王はこっちへ来いと言いながら玉座の後ろにある垂れ幕を捲った。

「あの、来いと言われても動けんのだが。」

「チッ、手間のかかる奴だ。転がってでも来いと言いたいところだけど仕方がないな。」

「うん?浮いてる。」

「これは集中せんとできぬのだ。少し黙れ。」

すまん。と言いたいんだけど今言うと文句言われそうだからしばらく黙っていよう。


時々、落とされそうになりながらも無事に玉座の後ろにあった部屋に入ることができた。


「そこに掛けとけと言いたいところなんだが仕方がないそのまま我の問いに答えよ!」

「ああ、分かったよ。」

「お主は我があの場に着く直前で召還されたようだな。」

「ああ。」

「召還される前の世界について教えろ!」

「なぜ、そんなことを聞く?」

「いいから答えよ。」

「俺が元いた世界は魔法が存在していない世界だ。ついでに言うと人以外に言葉を介して意思疎通がとれる生物は俺が知る限りではいない。逆に聞きたいのだが、お前俺を最初に襲ったときに我にも元の生活があると言っていたが元は魔王ではなかったのか?」

「ああ。我もお主と同じで召喚されてこちらに来たのだよ。今はこんななりだが元は女子大学生をしていた。」

「そうなのか。俺も男子大学生をしていたぞ。」

「男子大学生が聖女になったのか。笑えるな。なぜ性別まで変わっているのだ?話し方がとても女性ぽかったからてっきりどこかの女性がそのまま聖女として召喚されたのだと思っていたのだが。」

「俺が聞きたいよ!て言うか、俺の言葉はお前にどんな風に聞こえているのか気になるな?俺は話し方は変えてないぞ!」

「そうなのか。ならば何かしらの補正が働いているのやも知れぬな。」

「それはそうと人の国への進行をやめてはくれないか。」

「人の国が進攻して来ないなら構わぬぞ。こちらは、幾度となく攻めて来られたからしかたなしに徹底的に叩き潰してしまおうという判断で攻めているのだから。なんせ我が召喚された時に願われたのは人がこの先数千年にわたって攻めてこないようにしてほしいということだからな。」

「はぁ。ならなぜ攻めてるんだ?」

「一番手っ取り早くて楽な方法がヒト族の皆殺しだからだ。なんせあいつらは我ら魔族以外にも獣人や小人、巨人、魚人といった様々な種族の住む国やエルフの住む国、ドワ-フの住む国と四方に攻めているからな。ある程度弱れば他の攻められていたところからも攻められていた国としては完全に滅ぶだろう。」

「なるほど。だがそれだと俺が困るんだが。知るかと言いたいところだがお主も巻き込まれたものだからな、見捨てにくい。仕方があるまい、何か方法を模索するとしよう。そういえば名を聞いてなかったな。お主名をなんと言う?」

「俺は田中ゆうとだ。お前は?」

「田中ゆうとか。我は、今は言いたくない。」

「おい、ちょっと待てよ。なぜ言いたくないんだ!」

「お主は日本という言葉と澤田という言葉をしっているか?」

「ああ、しってるし、澤田という苗字にも覚えがあるぞ。」

「そうか。すまぬが先に玉座の間に戻っていてくれ。」

「え、ちょ!」

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