第2話魔王襲来!
「聖女様、自分が男であるなどという妄想は後にしてくださいませ。今は一刻の猶予もないのです。さあさあ、こちらへお越しください。」
うん?何か今これ以上進んではいけない気がする。こんなに時は停まっておくに限るな。なんせこの謎の直感により何度も大怪我をしそうなことを回避してきたんだからな。
「どうかされましたか?早く参りますよ。」
ドォぉぉン
うん?今ものすごい音がしたぞ?あれおっかしいな?さっきまで密閉された部屋だったと思うんだがなぜこんなにも風が当たるんだ?前も後ろもなにもないな。ただ、目の前に今さっきまでいなかった角の生えた生物がいるだけだな。
「ちっ、遅かったか。貴様が今しがた召喚された聖女だな。まったく最後の最後に恐ろしいものを準備しよってからに。これだからこの世界は嫌いなんだ。」
うん、よくわからんが滅茶苦茶怒っていることはよく分かる。というか、俺を誘拐(召喚)した奴らを勝手に消すなよ。これでは帰り方を聞けないではないか。
「すまぬが我にも元の生活があるのでな。死ねぇぇぇぇぇぇ。」
ちょっと、たまたま俺の体が勝手に動いて、俺に向かって振り下ろされて来る剣を横に弾いたから良かったもののこれ当たってたら即死亡だよ。まったく何を考えてるのかね?
「なぬ?さすがは聖女だな。荷物の1つ持てそうもない細腕で我が剣を弾くとはな。だが、次はないぞ。「胴ぉぉぉ!」って何をする?そこはおとなしく斬られるところであろうが。」
いや 、だってどう見ても隙があったんだもん。そりゃ、打つでしょ胴。
「痛いではないか。これだからこの世界は嫌いなんだ。」
え?今の関係ある?というかみんな揃って自分勝手すぎない。
「オオ~。さすがは聖女様だ。魔王の攻撃に耐えるどころか、反撃をするとは。」
あ、生きていたんだ。
「まだ生きておったか人間が、死ねぇぇぇぇぇぇ!」
え、ちょっと待ってぇぇ!それ殺されたら帰り方を教えてもらえなくなるではないか。
「何?剣で魔法も弾くというのか?やはり聖女は一筋縄ではいかないな。今、ここに聖女を倒せる手段がない以上一旦退くとするか。」
そういうと角の生えた生物は目の前から姿を消した。ついでに周囲から聞こえていた戦闘音も消えた。
「聖女様が魔王を退けたぞ!!勝鬨だ!」
「「「「うおぉぉぉぉ!!!!」」」」
さて、これでゆっくりと帰り方を聞くことができるな。
「おい!俺を元の場所に返せ!!」
「なぜでしょうか?」
「はぁ?」
「あなた様は我々の願いを聞き届けお越しになってくださいましたのでしょう。まだ、我々の願いは叶っておりませぬよ。それに、聖女様は自力で来られたのですから、自力で帰ることができますよ。」
あ、ダメだナコレ。さっさとここからおさらばしよう。
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