使い魔はぬいぐるみ
文月 和奏
ぬいぐるみとの休日
「レオ、おはよう。今日もいい天気だね」
「おはよう、紡。元気そうで僕も嬉しいよ」
私の名前は「
魔法学園に通っている6年生、12歳である。
自分で言うのもあれだけど、かなりの美少女だと思っている。
あっ……魔法学園って一般的じゃないよね?
私が住む大都市「
魔法と言っても……この世界には特殊な糸があって、自身の魔力を込めることで意思を持たせた使い魔を作る事が出来るんだ。
これは使い魔を作る一つの手段で、他にも色々あるのだけれど、今回は省く!
私の使い魔はぬいぐるみで、本来、使い魔とは主従関係を作るのだけれど。
「レオ」とは友達って感じだね。
彼の体毛は真っ黒、瞳は黄金色の黒猫を連想させる容姿にしたんだ。
カッコいいでしょう???
そんな私が妄想に耽っていると……
「紡? 今日は学校はお休みでしたね? 本日は何をしましょう?」
「う~ん。今日はレオのお洋服でも作ってみようか~って思ってた」
残念なことに学校はお休みの日なので、紹介は出来ない。
裁縫の腕を上げる為にも、レオの洋服を作っておこうかなって思っていたわけである。
「紡、お洋服は必要ないと前にも言ったはずですが……僕は暑さや寒さを感じないのですから、必要ないんです」
レオは困ったようにそう言い返してくる。
実際は表情などは変わらないので、私の中の勝手な妄想であるんだけど。
「ここは、私の裁縫の上達の為に免じて・・・・・! ね? いいでしょう!?」
「……わかりました。ですが、可愛い洋服は辞めて下さいね。僕は男の子なのですから」
くっ……先に条件を付けられてしまった。
可愛い服を作ろうと思ったのに!
そんな他愛のないやり取りをしている間であっても私の手は忙しく動いていて、彼の服を編み込んでいく。
途中、レオが人の歩行と同じ二足歩行で昼食を運んで来てくれて、忙しくも友達と過ごしていく。
合間にしっかりと……おやつも食べておく。
♦
「完成! さっそくレオに合わせよう。ほら、こっちに来て」
「わかった。—―うん、これは執事服ですね」
男の子の正装って言ったら、やはりスーツだよね!
いつも執事ばりに身のまりの世話をしてくれるので、ピッタリだよね。
「うん! 似合ってる。今日からその服で過ごす様に!」
「……わかったよ。どのみち反対しても従うしかないんだけどね」
少しだけ狡いけど、こういった時だけは主の権威を見せるのである。
こうして私とぬいぐるみのレオとの一日は和やかに過ぎていくのであった。
魔法学園での出来事は、また別の話である。
使い魔はぬいぐるみ 文月 和奏 @fumitukiwakana
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