第212話 ヤマト様親衛隊会議
「お兄ちゃん、配信お疲れさま」
「来夢もお疲れ。手伝ってくれてありがとね」
配信を終了し、水を飲んで一息つく。
計6時間半近くの配信は大成功で終えることができた。
最後は来夢に頼んでアンコールをすることができ、新曲2曲に歌ってみたで投稿する曲を一曲歌うことができた。
「そういえば気になったんだけど、来週の土曜日に投稿する新曲と歌ってみたのイラスト描く人って決まってるの? 【今を超えて行け】は私の知り合いに頼んだけど……」
「それなら大丈夫。歌ってみたの方は僕が描いた。【夏休み】はダメもとでミラクルスター先生に頼んだら二人とも快く引き受けてくれたよ。ミラクルスター先生から動画が送られてきてるから確認してみる?」
「え、早くない?」
「何でも、『連載がない中こんなに大きな仕事を貰えて嬉しすぎます! 命を懸けて最高の絵をお届けしますのでお待ちください!』って感じでものすごく気合入って、一睡もせずに3徹で仕上げたみたい」
メッセージ越しだったけどものすごく気合が入っているのが分かった。
今回ミラクルスター先生とはトリッターでやり取りをさせてもらったが、トリッター内だと外とは違いかなりハイテンションのようで、実際に会った時の性格からは予想できないほどのトリートがあって驚いた。
「それクオリティ大丈夫なの?」
「大丈夫だと思うよ。気になるなら今見ようか」
スマホを取り出し、送られてきたイラスト動画を表示する。
カラーイラストではなく、白黒の漫画になっていたけど、歌詞に合った漫画の内容だった。
動画は僕の送った音源も一緒に流れており、どの絵が歌詞のどの部分か分かりやすかった。
これなら来夢も喜んでくれるだろうと思ったが、なぜか頬を膨らませてご立腹だった。
「可愛らしく頬を膨らませてるけど何か気に入らないところでもあった?」
「…………はぁ。悪いところなんて何もないわよ。ただ、私の頭の中で考えていた映像よりも良いものだったから気に入らないだけ」
「そう、ならよかった」
これは来夢なりの誉め言葉なのだろう。
自分が最高と思っていたイメージを超えるものができてしまう。そのことは嬉しいけど、それと同時に悔しい。
本気で悔しいから、自分のイメージを超えてきたミラクルスター先生の動画が気に入らない。
「お兄ちゃん。次の新曲のイラスト、ミラクルスター先生に依頼してね。この人の絵を最大限に発揮できる最高の音楽を創るから!!」
「ミラクルスター先生が引き受けてくれたらね」
未だにスター先生の動画を見返している来夢をよそに、僕は汗を流すためにお風呂に入った。
この時、僕はとある集会である計画が進んでいることを知る由もなかった。
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ヤマト様親衛隊 集会場
025478
ヤマト様の3D最高だった!
032547
アンコールあるとか予想外過ぎでしょ。危うくお風呂に入りかけたよ!
000159
おいおい、親衛隊たるもの最後の最後まで配信は見ようぜ!
000098
アンコール見逃した人は自業自得だね。
008578
98さんの言う通り。配信が切れない時点で何かがあると疑うべき!
000682
そもそもヤマト様自信、前の配信で「16時に終わるかは皆様次第です」って言ってたからね
000055
うんうん
000002
みんな静かに、これより親衛隊会議を始めます。今回の参加者は25428人。親衛隊もかなりの人数になりました。いろいろ意見があるのは分かりますが、節度を守ってトークしていきましょう。では親衛隊長000001さん、今回の議題をお願いします。
000001
紹介に預かりました。ヤマト様親衛隊000001で実質隊長です。今回の議題は『ヤマト様お誕生日プレゼント』になります。
059856
おお!
000336
え、なになに!?
002588
気合入ってきたー!
000002
皆様、隊長がまだ話していますのでお静かに
000001
まず初めに言っておくことは、プレゼントの内容に関しては既に決まっています。8月の間にヤマト様の妹の恋夢さん、一ギャイ先生、レベッカ・カタストロフィー先輩、ヴィー・ナース先輩、小盾トカゲ先輩、夢見サクラ先輩、ごろろっくのコロコさん、熊猫パンダちゃんと私を含めた8名で集まり、すでにプレゼント作成がある程度終わりました
009145
え、じゃあ会議の必要なくない?
065847
何で今回集まったの?
033653
メンバーが凄すぎる!
000444
何を作ったの?
000002
みんな静かに。気になるのは分かる。私もギャイちゃんに詳しく話聞きたい! でも今は隊長の話を詳しく聞こう
000001
殆どの人がなんで集められたか疑問に思うでしょう。今回皆さんに集まってもらったのは他でもありません。私たちが作成したプレゼントを皆さんに評価してもらうためです
000998
期日はいつまでですか?
006898
評価というのは酷評もいいんですか?
000014
いつまでに評価すればいいんですか?
000001
評価は酷評も受け付けます。ぜひ改善すべき点も教えていただけると幸いです。期日に関しては12月の1週目までを期限にしたいと思っています。何かほかに意見はありますでしょうか?
000089
特になし!
055568
ありません!
005987
そのプレゼントとは何でしょうか?
100025
ないよー
000001
会議終了後にURLを貼りますので、ご自身で確認するまでお楽しみにしてください。後、初めてプレゼントを見た時の感想もいただけると幸いです。あと、今回のプレゼントは機密事項ですのでくれぐれも他言無用でお願いします! 他にないのであれば、会議はこれまでにしたいと思います。
000002
……何もないようなので今回の会議はこれにて終了します。お疲れさまでした。
000001
URL張りましたので是非楽しんでください
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100万人突破記念配信から一夜すぎた日曜日。
今日も休日のため、僕と来夢は家でゴロゴロしていた。
来夢に至っては、連日業務の疲れを完全になくすためにピアノを弾いては眠りを繰り返している。
対する僕はトリッターを見ながら、ここ数日見ることができなかった他のVtuberさんの配信アーカイブを見ていた。
まだやらないといけないことは多々あるものの、今日ばかりは何もやる気が起きない。
「うわぁ、あれから一夜経ったのにまだ僕の配信がトレンド入りしてるよ」
下位ではあるものの、僕の配信熱はトリートの方では未だに冷め止まない。
配信アーカイブをBGMにトリッターを確認していると、一件のダイレクトメッセージが届いているのに気づく。
差出人は…………園長先生。
アイコンを見てみると僕が昔通っており、去年まで何度も遊びに行った保育園の園長先生だった。
急いでメッセージの内容を確認すると、驚く内容が書かれていた。
『お久しぶりです。園長です。ヤマト君の活躍、毎日拝見させてもらっています。少し前まで小さかったあなたが、とても立派な子になっていつも嬉しく思っています。ただ、その分保育園に来れなくなってしまい少し寂しくも思います。子供たちも「声のお兄ちゃんに会いたい!」と言っております。そこで本題なのですが、我が保育園では数日後に地方のテレビ局が来ることになっているのですが、ぜひ一日先生として参加してもらえないでしょうか? 来週の金曜日までに返事を貰えると幸いです』
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