第203話 NG無しと重大発表


「残り時間5分やね。あと3つで質問終了するけん、たくさんコメントしてな」


質問を開始してから30分。

あの後たくさんの質問やお願いが書き込まれた。


特に多かったのは『敬語無しでお願い!』『方言で配信して!』などのお願いに、『夏休みどこ行ったの?』『ごろろっくクイズ大会で手に入れた温泉ランドの招待券は誰といったんですか?』などの夏休み期間に関する質問が多数。


NG無しといったからには敬語無しで話したし、後から来た方言もメン限配信でしかしないと言っていたのに、それを破って気を楽にして配信に移った。

夏休みの質問に関しても、遊びに向かった場所や【1234】のメンバーと一緒に温泉ランドに家族として言ったことも話した。


お願いの方にはあまり時間が掛からなかったが、質問の方に関しては東京にいる期間のことをもれなく話していたため思ったよりも時間がかかってしまった。

特に、一部分をオブラートに話すのはものすごく苦労した。


「それじゃあこの中から3つ選んでくわ。まずは……【好きな色は何色ですか?】急に普通の質も来たっちゃけんど、これでいいと?」



何その質問……

良いぞ!

ヤマトの好きな色、確かに気になる。

もっとほかに有意義な質問あっただろ……



コメント欄ではこの質問に対して賛否両論の声が上がっている、がこの質問を選んでしまった以上、残り3つのうちの1つとして答えなければならない。


「好きな色は赤やね。小学生に入学すっとき、ランドセルは赤色がいいちゅったくらいやから。あとなんか赤色ってかっこいいし」



分かる!

一緒!


¥10,000

その言葉を待ってました!


¥10,000

100……110万人突破おめでとう!


¥30,000

流石ヤマト! 分かってるぅw



コメント欄にたくさんの赤色のスパチャが飛んでくる。

それを見て今の質問の意図を完全に理解した。


と同時に「やられた~」と上を向く。


「うーわぁ、やってくれたやん。まさかこう来るとは思っちょらんかった」



よしっ!

成功!

さっきの質問はこのためか……

色の質問なんてと思ったけど……。



コメント欄は色質問に関して称賛の声が飛んでいるが、今の僕はそれどころではない。


「あー、スパチャ止めてー! 謝罪配信なのにお金貰うってなんか変やっちゃけど! 赤いの飛び過ぎ~!」


未だに赤色のスパチャは止まない。

いつもならお金が飛んでくるのことに喜びを魅せるが、今回ばかりはかなり申し訳なく感じてしまう。


「次、早く次に行くよ!」


いくら声掛けしてもやまないスパチャを見て、これ以上は意味がないと気づく。

スパチャを止めることを諦め、早く質問を終わらせる方に気を向ける。


「次のコメントは……【黒羊の名前は何ですか? また、ヤマトの相棒として登場することはありますか?】。えー、黒羊を知らない人に説明すると、僕のメンバーシップ限定スタンプで初登場した黒色の羊ことで、あ、メンバーの人がスタンプしてくれちょるこれ、これが黒羊ね」


画面のコメント欄の方に視線を向ける。

今、メン限の人が黒羊スタンプを連投してくれている。


「この羊、未だに名前ないっちゃわ。そんで今のところ黒羊を実装する予定は未定やから、もし実装することが決まったら、そん時はご主人さまのみんなに名前の応募しようとおもっちょる」



おお!

黒羊の名前を俺たちが決めてもいいのか!

カナママ、早く実装してくれ!

あれ? スタンプのイラストギャイ先生だからギャイ先生に頼むのか?



「今コメントにもあったちゃけん、流石にカナママには全部頼むことできんけん、頼むとしたらイラストギャイ先生、動かすためのあれやこれやはカナママやね。いつ登場するかわからんから、今のうちに黒羊の名前候補を投稿しちょってもいいよ。因みにハッシュタグは【黒羊命名権】で」


実際のところ黒羊の件は既に依頼済みである。

温泉ランドに行った時にギャイ先生に軽い気持ちで頼んだら一言返事でオッケー貰えた。

カナママの方は様態次第で、といわれているのでいつ黒羊が出てくるかはわからない。


「それじゃあ次が最後の質問ね。【ヤマト様は今後企業に所属する可能性はありますか? また、所属するならどの企業がいいか教えてほしいです】」


この質問は赤スパで飛んできたため、目に入り読み上げてしまったが、よく見ると1つのコメントで2つの質問をしている。


「まさか2つ投げられるとは思っちょらんかった。今回はNG無しやからどっちも答えちゃるわ」



太っ腹!

どっちも気になる質問だから嬉しい!

片方だけだったらもう片方が気になって眠れんかったかも



「まず最初の企業に所属する可能性はあるかについては、ないね。可能性で言ったら5パーセントくらい?」



低っ!?

そんなに少ないの?

え、なんで?

企業勢と関わり深いから、可能性は高いと思ってた



「理由は、1番はアクセスの悪さやね。ネットで一番近いVtuber事務所見たことあるちゃけど、それでも福岡に1つやったからね」



それはそうwww

流石に宮崎には事務所ないな

ヤマトの地元愛強いな

それじゃ仕方ないな



「で、2つ目の所属するならどの企業がいいか、に関してはガーデンランドとごろろっく以外で、なるべくフリーダムなところやね」



えっ、以外……

てっきりその2つのどっちかかと思ってた……

これには所属している親衛隊Vtuberはショックだろうな~

え、なんで?



「理由は、ちょっと大きすぎるからかな。僕、どっちかっちゅうと超大人数でわいわいするよりも、10人いくかいかないかの人数で楽しい配信する方が好きやっちゃわ」



あー、納得

それじゃあガーデンランドとごろろっくは無理やね

確かに少ない方がヤマトにはあってそう

少し意外かも



本当は、人数が少ない企業の方が基本フリーで配信できそうで、みんなで力を合わせて人気を集めることができそうだから、という理由もあるが、僕が言っても嫌味にしかならないので流石に今回は黙らせてもらった。


「今ので最後だったね。それじゃあこれでNG無し受け答えを終了します! またいつかやるかもしれないので、皆様新しい質問をいつでも出せるように考えてください」



……え、お願いも終わり?

敬語に戻ってる

方言は?

お願いは継続しないのかよ!



「お願いの継続が流れてますけど、流石に次の重大発表は今の状態で行かせてもらいますね。ものすごく大事なことなので」



なら仕方ないか。

重大発表が気になるので黙ります!

口チャック



「納得してもらったところで、重大発表に移ります。今回の重大発表は2つ!」


配信画面を切り替え、重大発表用に用意したスライドショーを画面に移す。

これで重大発表をする準備は整った。


「まず1つ目、神無月ヤマト初となる歌ってみた動画を近日公開します!」



おおっ!

ついに来たか!

そう言えばヤマト、オリ曲はあっても歌ってみたはなかったな

流石に歌ってみたも声真似、はないよな



「僕の声については聴いてから確認してください。出せる情報として、今回歌った曲は僕の母の神無月撫子さんの曲【終末世界ラグナロク】で、今回はデュエットとして女優の飛鷹凛音さんと一緒に歌いました」



…………は?

ちょっと待って、情報が多すぎて頭が追い付かん。

まさかの神無月撫子さんの中で一番人気のないラグナロクとはw

豪華すぎる歌ってみただな!



なかなかの好反応。

コメント欄は大盛り上がりで僕は嬉しい。

これで、歌ってみた動画はたくさん見てもらえるはず。


だけど、これで盛り上がりつかれては困る。

重大発表はこれだけではないのだから。


「盛り上がってるところすみませんが2つ目の発表に移ります」

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