第114話 案件配信コラボ feat.雨猫ハリン 『育成! 後編』

【神無月ヤマト  学力:199 歌唱力:351 運動神経:204 根性:255 トーク力:302 メンタル:311 ファン数:450,598人】

【デビリット魔怜 学力:220 歌唱力:195 運動神経:150 根性:398 トーク力:145 メンタル:245 ファン数:310,589人】



こう、ステータスを見るだけでお互いの育成の仕方が浮き彫りになってくる。


僕の育成の仕方はステータスに万遍に振るオールラウンドのような育成法。

対するハリンさんはゲームをメインに育てていく1点ぶり型。


同じ日に育成を始めたのにこうも違いが出るものなんだ。


『いやいや、何が70万人は難しいだよ。これなら2年以内で行けるだろ。てか、ヤマトのトータルヤバくない?』

「僕の最終目標は100万人以上なので今のままだと、厳しくなってきます。ステータスは確かに初期状態にしては少し伸びすぎてる感じはしますけど、ハリンさんの育成論もなかなかですよ」


もともと高い【根性】を育てるのは納得できるけど、【根性】を育てるために【ゲーム】を選択し続けているせいで、おまけでステータスが伸びる【学力】が【歌唱力】を超えちゃってる。


『いや、私も万遍にステータス振らないとって思ってるんだけどさ、なぜか指がゲームのところに行っちゃうんだよ』

「ゲーマーですね」

『だからこのステータスになったのは仕方ない!』

「まぁ、育成は自由にして良いことですからね。全体に万遍に振ったからと言って成功するわけでもありませんし」

『だよな! というわけで私はこのままこの育成で続けるわ』

「僕も今のところ育成方法を変えるつもりはありませんね。それじゃあ経過報告はここまでにして続きをやりましょうか」

『おけ!』


ゲームを進めていくうちに分かったけど、このゲーム【レッスン】の時にどの項目を選ぶかがかなり重要になってくる。


メモリーにもタイプというものがあるみたいで、得意なタイプになればステータスの伸びはかなり高く、逆に苦手なタイプになれば、ステータスの伸びは低くなる。


そのタイプを見ながらの編成もこのゲーム攻略の鍵だと思う。


あと、ライバー選びもかなり気を付けた方がいい。


今回僕のライバーは【夢見サクラ様】【綺羅めくる様】【真魔キュア様】の3名だけど、1年目の育成の時に【サクラ様】と【キュア様】との絡みは多かったけど、【めくる様】との絡みだけが少ししかなかった。


思い出してみると、セリフの時に一番絡みが多かったのはサクラ様、次にガーデンランドの皆様、ごろろっくの皆様、最後にその他の方と言う風に分かれていたところを見ると、おそらくライバーの実際の絡みが反映されていると思う。


現に当時はサクラ様とレベッカさまとしかかかわってなかった分、サクラ様とのやり取りが一番多かったから。


「このゲーム、ライバーさんたちの絡みが多いですけど、ご主人様たちは僕と誰との絡みが見たいですか?」


ふと気になったことをご主人様たちに聞いてみた。


今後のコラボの参考になればいいかなとおもって。



急に?

コラボの話?

ライバーのみですか?

凛音!

芸能人可?



「できれば今回はVtuberのみでお願いします」



……めっちゃ悩む!

ヤマトならどの人とも面白そう。

レベッカと!

やっぱりラノちゃんでしょ!

ラノ虐!

ママに甘えるヤマト様見てみたい!

ウルフちゃんとのてぇてぇコラボ!



「あー、やっぱりガーデンランドの方が多いですね」


まぁ分かってはいたよ。


僕がこれまで関わってきたライバーさんはガーデンランドが5人で、ごろろっくは1人だから。


「ガーデンランドさん以外に誰かいますか?」



……考えつかん。

ヤマト=ガーデンランドのイメージが強すぎる!

お馬鹿同士で綺羅めくるちゃん!

ごろろっくの不二ふじコロモくん!



「不二コロモさま? ハリンさん、どなたか知ってますか?」


ごろろっくさんは所属するライバーさんが多いから全員は覚えきれないんだよね。


僕が覚えているのはごろろっくの企画に多く参加している人のみだから、あまり参加していない人を言われても正直ピンとこない。


『不二コロモ? 知ってる、と言うよりも私たちとデビュー時期ほぼ一緒だよ』

「え、そうなんですか?」

『ああ、私が4、5月あたりでヤマトが4月前半。同時期にガーデンランドの5期生。で、その1、2ヶ月前にごろろっくから5人デビューしてる。その中の一人が不二コロモだったはず』

「よく知ってますね……」

『この間私の同期気になって調べて覚えた。因みに不二コロモはヤマトと似ていて男の娘だよ。まぁヤマトは性別不明だけど、見た目は男の娘っぽいし。気になるなら見てみれば、ヤマトは好きな方だと思うよ』



なんとなくわかる。

ヤマトは絶対に好きな方!

むしろヤマト様との絡みを見てみたい!



「ハリンさんがそこまで言うなら見てみますね。僕もごろろっくの方々とは仲良くなりたいですし」


ご主人様たちもなぜか推してるし、なおのこと気になってきた。


でも今は目の前の案件に集中しないと!


『それじゃあさっそく、2年目に入ろうか!』

「ですね。あ、2年目に入るとボーナスでステータス値がもらえるみたいです!」

『おお!』


このタイミングで出てくるのは我らが校長先生。

つまり、僕のセリフが出てくるというわけ。


育成を始めてから7ターン目に入ったとき、ヤマトに異変が起こり始めた。


【あれ、今日はなんだか調子がいいみたいです】


このセリフは確かにあった。

けどこの後のことを僕は知らない。


しばらくセリフが進んでいくのを見ていると、いきなりヤマトの『LIVE』が始まった。


「え、えっ! なんですか、これ!?」


『LIVE』で流れた曲は僕のオリジナル曲で現在も人気が上がってる最初の曲。


『どうした? なんか映像が流れてるけど』

「いや、よくわかりません! なんか急に流れてきて……」



あ、確定演出

勝ち確だ~

え、この演出何パーセントの確率だっけ?

確か0.1パーセント



「か、勝ち確って何ですか?」

『アタリって事らしいぞ。とりあえず全部見ればわかるんじゃね』

「そ、そうですね。せっかくなので静かに見てましょうか」


『LIVE』の映像は約5分で終わった。

この時間は僕のオリジナル曲よりも少し長いくらい。


『LIVE』が終わると、僕の育成しているヤマトのステータスが一気に急上昇した。



【神無月ヤマト  学力:199→401 歌唱力:351→769 運動神経:204→512 根性:255→601 トーク力:302→610 メンタル:311→451 ファン数:742,852人】


全てのステータスが倍以上伸びてる。更にファンの人数も目標まで残り35万人!


「す、すごい伸びですね……」

『チートすぎじゃね? 私の育ててる魔怜さんの倍以上はあるんだけど』

「これってどのタイミングで起こるんですかね?」

『こっちが聞きたいわ!』



不確定

ランダム!

運!

規則性なんてものはない!

噂程度には聞いてたけど、初めて見た……。



僕よりもプレイしているご主人様たちでも知らないということは、本当に不確定の運要素なんだ。


それをたまたま引き当てるなんて、僕ってかなりついてる!


「ハリンさん。僕これから夏合宿モードに入ります」

『え、まだ入ってなかったのか!?』


夏合宿モード。


このゲームで夏の期間にはいれるモードで、このタイミングの時にステータスが大幅に伸びるため、簡単には見逃すことができないモード。


1年の時にも2ターンほどあったけれど、2年目では4ターンも設けられている。


ハリンさんは1年目の時にこのモードの存在を知らず、レッスンするための体力を全部使い切って夏合宿モードに入ってしまったせいで、1年目の時は合宿の恩恵を受けられなかった。


実際に夏合宿モードをやってみると思うことがある。


「夏休み全部使って合宿なんて、凄いですねー」


僕なら絶対に耐えきれない!

夏休みにはゴロゴロと羽を伸ばしたいし、やったことのないことにも挑戦したい。


何より、中学最後の夏休み、勉強漬けだったせいで何かをやらされるというのにものすごく抵抗がある!


『夏休み全部って言っても、これゲームだから。さすがにリアルで夏合宿があったとしても1週間くらいだからな!』

「え! 高校ではアニメでよくある夏期講習ってないんですか!?」

『それ塾の話だからな!?』



www

草!

高校で夏期講習はないってw

補講の間違いじゃね?

ヤマトの声がよろこんで聞こえるのは気のせいか?

夏期講習あっても俺は行かんな



コメント欄にも夏期講習がないって書かれている。


……いや!

だから何? って話なんだけど。

そもそも高校行ってない僕には関係ない話だよね!


でも夏期講習ないんだ……。

みんなが学校に行っているところを家から眺めるの案外好きだったんだけどね~。


夏休みはそれができないなんて……。


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