第111話 案件配信コラボ feat.雨猫ハリン 『ガチャ』
「それじゃあハリンさん、最終確認しますね」
『うん』
配信日当日。
僕はハリンさんと最終打ち合わせに入った。
当然通話で。
今日のお昼にハリンさんはいつも通り僕の部屋にやってきたけど、その時に当日打ち合わせを済ませていたので、最終打ち合わせはそこまで時間がかからなかった。
「それで、太陽の方は育成終わったんですか?」
『うん。帰って来てからもずーっと育成やランクマッチ? って言うのやってたけど、配信が始まる前には終わったみたい』
やっぱりそっちでもそんな感じなんだ。
来夢も似たようなもので、昨日の夜からずーっとゲーム、ゲーム状態。
しかも朝に至っては歩きながら育成しようとしていたから、途中まで一緒についていった。
「育成が終わったら妹たちのスマホに繋げる、ですね」
『うん。……これで負けたらなんていわれるんだろうな』
「気にしたら終わりですよ。そろそろ時間なので配信開始しましょうか」
***
「お帰りなさいませ、ご主人様。本日は僕の配信に来てくださりありがとうございます。あなたの執事、神無月ヤマトです」
『みんな~、コンハリン! 今日は私の配信にありがとな。雨猫ハリンでーす!』
ただいま!
今帰ったぞ!?
あれ、初期衣装じゃん。
俺のヤマトー!
いや、私にヤマトです!
違うよ、みーんなのヤマトだよ!
なんかいさしぶりに初期衣装見た気がする。
ヤマトのために争わないで!
コメントでもちらちらあるように、今日の僕の衣装は初期の衣装になっている。
これは今回の案件動画の僕が初期衣装って言うのもあるけど、僕の前に配信していたサクラ様が初期衣装で配信していたから、それに倣うように僕も初期衣装にしてみた。
「今日はハリンさんと僕の2人でコラボ案件配信をしていきたいと思います! 雨猫ゲーマーズの皆様、よろしくお願いします」
『ご主人様たち、親衛隊員、よろしくな!』
よろしく!
雨猫家
ハリンちゃん、よろしくね!
雨猫家だ!
雨猫家と言うのは僕とハリンさんのコラボ名で、僕の神無月家は既に母さまと義姉さま、恋夢で組まれているため、ハリンさんの雨猫の方が使われている。
「今日の案件配信は『ガーデンランド』様発の現在人気の新作育成ゲーム『Vtuber育成学園』です」
『私たちの妹もこのゲームにはまってて、私の妹が確か8万くらいだったか?』
「ですね。僕の妹に関しては10万円課金してました」
え、8万? 10万?
一桁違くない?
気持ちわかるわ~
自分も15万課金しました!
「それほどの人気があるこのゲーム、早速始めていきますね」
『私たち、ダウンロードだけは済ませているけど、そこまでで終わっててプレイはしてないから、私の配信ではいつも許可してるけど今回だけは指示厨はNGな。』
「ですね。僕たちは僕たちのペースで楽しみます」
アプリを開くとタイトル画面にはVtuberが楽しそうに遊んだり配信したりするアニメーションが流れる。
その中には僕の姿も映っていて、かっこいい姿で流れていた。
ゲームにログインするとチュートリアルに沿ってゲームが進んでいく。
数分ほどでチュートリアルは終了し、ついに普通にゲームで遊ぶことができる。
と思った瞬間、いきなり画面が暗くなり次の瞬間、神無月ヤマトのアニメーションが流れる。
【初めましてご主人様、今日から身の回りのお世話をさせていただく神無月ヤマトです。よろしくお願いします】
アニメーションが終わるとポーズを決めるヤマトが画面に移り、顔の下あたりに
【『大型新人』神無月ヤマト ☆3】
という風に出てきた。
配信画面に映っているハリンさんの画面でも同じことが起きている。
『これが事前ダウンロード100万人突破記念ってやつか』
「ん? ガチャとは何か違うんですか?」
『主に性能が違う感じか? ☆3だから低くはないと思うけど……』
「ご主人様、何か違うんですか?」
あまり違いが判らないので、おそらくやっているであろうご主人様に聞いてみると、ものすごいスピードでコメントが帰ってきた。
かなり違う!
ガチャの方が性能はいい
ガチャで出なかった人にはかなり救済になった
ガチャの方が強い感じかな?
別にこっちの性能でも悪くない。
確か現在13位の人のヤマトは『大型新人』の方だったと思う
「かなり違うみたいですね」
『だな。少なくともガチャでヤマトが当たらなくても、配布でヤマトはもらえる仕組みにはなってたんだな。……だったら、うちらの妹たちが課金した理由って』
「深く考えるのはやめましょう」
『そうだな』
当初予定していた通り、ホーム画面にあるファンレターボックスからアイテムを受けとってガチャの画面に移動する。
「えー、リリース記念で【ライバーガチャ】【アーカイブガチャ】初回10連無料って出てますね」
『ということは、私たちはガチャを回すのに必要な意思を600個持っていて、10連300個で回すことができるから、合計でそれぞれ20連回すことができるな』
「あと、初回のみ☆3確定って出てますね」
『それじゃあ次の育成はお互いに☆3のキャラで出来るな!』
「ですね。それじゃ、早速回していきましょうか」
10連のボタンをタップすると、ゲーム画面には10枚の紙が映し出され、白色の紙が7枚、金色の紙が2枚、虹色の紙が1枚あった。
ハリンさんの方は白色が6枚で金色が3枚と、僕とは少し違う。
1枚ずつ紙は捲れていき、捲れるたびにキャラクターが映る。
金色の紙は白色と違い少し豪華に。
9枚捲れたところでついに虹の紙が来た。
おそらくここが☆3の枠。
狙い目は特にないけど、できることなら僕が来てほしい。
「ハリンさんはどのライバーが当たると嬉しいですか?」
『あー、……ごろろっくのリューティーさんかな? 男性ライバーでめちゃくちゃゲームがうまいんだよねー。ヤマトは?』
「できることなら僕自身です」
『まぁ、そりゃそうか。ここは自分の運を信じるしかないな』
「ですね」
虹の紙が捲れると画面が暗くなる。
そして、今回のガチャのあたりのライバーのアニメーションが流れる。
【はーい! 子供たちー、みんなのママが来ましたよー!】
どうやら今回、僕は当たらなかったみたい。
【『世界のママ』 真魔キュア ☆3】
まさかの真魔キュア様。
凸待ち配信で1回絡んだことがあるくらいだけど、ガチャで引き当てるなんて思いもしなかった。
僕のあたりが真魔キュアさまと分かったすぐ後に、ハリンさんの方から、
【か、風知る、波知る、大地知る! 我を知らぬものはもはや人間のみ! ふぇ~ん、恥ずかしいよ~!】
僕が真魔キュア様を出した後にこの人が出てくるって、凄くない?
【『悪魔侯爵』 デビリット魔怜 ☆3】
「『でびる♡がーるず』ですね」
『お互いねらい目は出なかったけどすごいな! でも、この二人って最高レアリティのキャラとしてはどんな感じなんだ?』
「能力とかですか?」
『そうそう。このゲームはライバーによってステータスに違いがあるからな』
☆3としてはよくもなく、悪くもない感じ
単体だとそこまで……
順位をつけるなら☆3の中でも真ん中あたりの能力だったはず
『でびる♡がーるず』ならリセマラしなくても問題ない
「ゲームの能力としては悪くないみたいですね」
『やっぱり能力とかあるからな。どうやって育成するかで強くすることもできるし弱くすることもできるってことだな』
「ですね。では、もう一度ライバーガチャ回しましょうか。今度は☆3確定じゃないので出るかどうかは完全に運になります」
『私、ガチャ運は高い方だけど?』
「……フラグにならないことを願います」
お互いにログインで手に入れた石で10連ガチャを回す。
ハリンさんの方は先ほどと同じように紙が10枚現れて色が変化していくのに対して、僕のにはなぜかアニメーションが入ってきた。
「これって、何かの演出ですか?」
『ほんとだ、私のと違う!』
アニメーションには会社のオフィスで作業をする校長先生の姿が。
え!?
確定じゃん!
確定演出きちゃー!
マジか……。
初めてみた!
「確定演出って何ですか?」
『あ、ヤマト知らないんだ。確定演出はそのガチャの中にアタリが入ってるときにおこる演出だのことだ』
「ということは……」
『絶対に☆3が入ってるな。せっかくだから何が出るか見てみないか? 先に私の方から見ていくな』
今回のハリンさんは白8の金2と先ほどよりも結果が悪かった。
『それじゃあ次はヤマトの番な!』
「それでは、行きます!」
画面をタップすると、そこには白6枚、金4枚現れる。
その中に虹の紙の姿は1枚も見当たらなかった。
「虹色ありませんね」
『いや、これは……』
昇格か!
確定だからな、どこかの紙が虹に変わる。
この瞬間が一番ドキドキする!
最初に来たら面白いw
最初の1枚目。
その紙から変化が起こった。
最初は白色だった紙が金色に、そしてそのまま虹色へと変化した。
「虹に変わりましたよ!」
『うん。☆3確定だね。さぁ、何が来る?』
画面は暗くなり、すぐに桜が舞い始める。
【どんな夢を見たいですか? え、私の夢? ふふ、ありがとうございます】
【『夢見る少女』 夢見サクラ ☆3】
「僕の2枚目の☆3ライバーは夢見サクラ様が当たりました!」
おお!
人気カード!
アタリじゃん!
夢見サクラ:
ヤマトくんのもとに行けて嬉しいです!
え、本人!?
まじ?
「あ、サクラ様いらっしゃいますね。サクラ様を引き当てましたよ~」
『私の配信の方でもサクラさんはアタリって声が多いね。因みに今回のあたりライバーは断然ヤマトらしい』
「僕がアタリって、どんな性能してるんですかね」
……
あれはヤバい。
チート
ランク上位は全員ヤマトを持ってる。
コメント欄でそこまで言われるなんて、本当に僕の性能ってどうなってるんだろう……。
「サクラ様も当たりましたし、ここからは軽く流していきましょうか」
『だな。アーカイブのガチャもあるし』
画面をタップしながら早送りでガチャの結果を見ていくと、8枚目のタイミングで金色の紙が虹色へと変化した。
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