第95話 新衣装お披露目配信 後編 『新衣装お披露目』
『今回はこの8枚を紹介させていただきましたけど、まだまだたくさんあって全部見させていただきました! イラストを送っていただいたご主人様、ありがとうございます。ではお待ちかねの新衣装公開に移りたいと思います!』
待ってました!
ついに来たか!
どんな衣装だ!?
『少し待っててくださいね』
8枚目のイラストと僕のモデルを画面から消して、新衣装の準備をする。
他のVtuberさまの新衣装お披露目配信を参考に見てみたけど、皆さま一気に画面に登場させずに少しずつ見せていく感じだったから、今回はそれを参考にさせてもらうことにした。
というわけで、新衣装に着替えてあとは載せるだけ!
『ご主人様、大変長らくお待たせいたしました。新しい僕の登場です!』
ゆっくりと、足元から画面に映していく。
最初に移ったのは黒くて赤いリボンがついた靴に白いタイツ。
タイツはひざ元あたりまで伸びていて、それが途切れたら肌が映ってからすぐに青いフリフリが映る。
『お、何か見えてきましたね』
フリフリ?
これスカートじゃね?
いや、多分ドレスですね。
ということは女の子!?
いや、女装だろ!
『さぁ、どうなんでしょう。もう少し映してみましょうか』
更にモデルを下に移動すると、胸元までなのに完全に原型が映ってしまいもう来ている服が何なのかわかってしまう。
『これは見たままですね』
画面に映ったのは水色と白を主体とした、可愛らしいドレス。
他にもいくつか色は使われているけど、何色かと聞かれると水色と白と答えてしまうほどにこの2色がメインになっている。
特別な模様みたいなのはない。
むしろない方が断然かわいい!
おお!
可愛い!
ドレスだ!
女の子だ!
『横の方にも白い何かが見えていますね。ではもう少し進めていきましょうか』
今度は首辺りまで移すと、ドレスの横にあったものの正体もある程度分かってしまう。
髪の毛?
銀髪!?
しかも両サイドだから銀髪ツインテールじゃね?
完全に女の子じゃん!?
『それじゃあ全体図を一気に映しますね!』
最後にモデルを下に移動させて、全体図を画面に映す。
見た目は執事服とはあまり変わらないかな。
しいて言えば髪色が黒髪から銀髪に変わっていて、頭の上には花で作られたカチューシャがついているくらいで、それ以外に変わったところは見られない。
片目も執事の時と同じように隠されているし、目の形も一緒。
『皆様、これが僕の新衣装です! 可愛いドレスに銀髪姿、因みにしっかり手袋はつけてます。姿替われど、僕は執事ですからね』
最初は声やしゃべり方を変えようかなと思ったけど、それだとアテレコしている感じだか素の僕で行くことにした。
他のライバーさんも新衣装になったからと言って、配信内容ややり方を大きく変えるようなことしてないしね。
たまには声を変えてみてもいいかもしれないけど。
『カナママ、最高の新衣装です! 皆様もそう思いませんか?』
思う!
最高の新衣装!
ロリコンにはたまらない!!
ありがとうカナママ!
さて、ご主人様たちは新衣装お披露目もこれで終わりかと思ってるかもしれないけど、この新衣装にはまだ仕掛けが残っている。
僕の初新衣装お披露目配信はこれだけじゃ終わりません!
『あ、あれ? なんだか風が強くなって……きゃっ!?』
何々?
どうした?
トラブルか!?
ヤマト大丈夫!?
配信画面にはサクラの花吹雪が舞い始め、新衣装になった僕の姿は完全に見えなくなってしまった。
しばらくたつと花吹雪は少しずつ晴れていき、そこにはドレス姿の僕のモデル……ではなく、執事服でもない僕が立っていた。
靴とタイツは何も変わりないけど、衣装はドレスではなく水色と白の短パンに水色と白の制服。
短パンと制服にはドレスにはなかった花柄がついている。
髪に関しても黒色に戻っていて長さも肩のあたりまで短くなっていて片目がしっかり隠れている。
花のカチューシャもなくなっているけど、代りに眼鏡が付属されていた。
身長も縮んでいるから、ヤマトではあるけど執事っぽさは感じられない。
所謂眼鏡ショタって言うやつかな?
多分身長も150あるかないかくらいまで縮んでいると思う。
……なにこれ?
あれ? さっきまでのロリヤマトは?
おぉぉぉぉ! ショタヤマトだ!
ちょっ! なにこれ!?
説明求む!
ご主人様たちはコメント欄に良い反応をしてくれている。
これならやったかいがあったよ!
『ということで、今回用された新衣装はドレスヤマトと短パン姿のヤマトの2つでした! 驚きましたか?』
普通に驚いたわ!
新衣装が2つもあるとか想像できんかった……。
ヤマトがデビューしてまだ1ヶ月とちょっとだよね。
カナママの気合が感じ取られる。
『僕も最初に見た時は驚きました。まさか新衣装が2つもあるなんて』
まぁ、本当は一番最初に見せてもらったドレスロリの姿を見た後に2枚目があるって知ったから、そこまでは驚かなかったんだけどね。
でも、それを1ヶ月ちょっとで仕上げたカナママに関しては純粋にすごいと思った。
『今後の配信はこちらの……ドレス姿をメインとして活動していきますね! そしてたまにこちらの……ショタっぽい見た目の衣装で配信活動していきたいと思います』
くっ、ドレス姿が最高だから嬉しいけど、ショタ姿もなかなかなだけに少し残念……。
ドレスヤマト、最高です!
執事姿が好きだっただけに少し残念だけど、ドレスもショタ風もなかなかにイケてるから嬉しい!
もう執事服は着ないの?
『執事服ですか? もちろん着ますよ。今後の動画では今まで通り執事服ですし、配信でも執事服やショタ服を着ることはありますからね。それに僕、こっちの……執事服好きですし。まぁ配信ではしばらく切ることはなくなると思うかもしれませんので、スクショしたいご主人様は今のうちにお願いします!』
顔をガチ恋距離? というもの辺りまで近づけて笑顔を作る。
しっかりと口や顔が見えるように。
おお!
かわゆい!?
最キュート!
ガチ恋距離助かる
なかなかにいい反応。
雨猫ハリンさんがよくしていたけど、あまり何も感じなかったから心配だったけどいいコメントがもらえるってことは、やっぱりイラストの問題かな?
『さて、そろそろお別れの時間が来ましたね』
もうそんな時間か……。
楽しい時間は過ぎるのが早い!
もっと一緒に居たいよ~!
最高の配信でした!
『ありがとうございます。では最後に1つ発表させていただきましょうかね』
お、何だ?
告知か?
ヤマトってこういうことを前触れなくやるから最後まで見逃せないんだよな~。
まさかのコラボか?
『あはは、そこまでたいしたことではないんですけどね。まぁ簡潔に言うと、来週から平日のお昼に週何回かゲリラ配信を行います。時間的に12時あたりからになりますね。配信を行う日はトリッターで告知しますのでお見逃しなく。配信内容は基本的に雑談で配信時間は30分~60分ですね』
急だな!
お昼休みにやさしい時間……。
ゲリラって言うのがヤマトらしい!
マジか! 学校スマホ禁止なんだけど……。
なぜお昼?
『この時間に来れない人は、空いてる時間にぜひアーカイブ見てください。この時間な理由は正直に言うと暇、だからですね。夜は家事とかがあって忙しいんですけど、昼は動画の撮影が終わったりすると、あまりやることがないので、お昼の時間にも僕と会える機会を増やそうかな、と思いましてすることになりました』
最近暇すぎてゲリラ配信しようと思ってしまった事が何回もあるんだよね。
流石に何の告知もなしにそれをするのはいつも見てくれているご主人様たちに申し訳ないからしなかったけど。
するならしっかりとみんなに伝えないと!
っと、そろそろいい時間かな。
『ではそろそろお別れのお時間ですね。執事姿でこの挨拶をするのはしばらくありませんので、ぜひ心に焼き付けてくださいね』
『本日は僕と楽しい時間を過ごしていただきありがとうございます。行ってらっしゃいませ、ご主人様。またお会いできる日を楽しみにしております』
行ってきまーす!
昼配信楽しみにしてるね!
また来るねー!!
行ってきますっ!
またねー
***
「ふぅ、何とか終わったー!!」
流石に配信で初めて衣装チェンジシステム使ったから、緊張で疲れちゃったかな。
配信はしっかり切った、アプリも落としてパソコンの電源もしっかり切ってる。
これでのんびりできるね。
それにしても今回の僕の演出、かなり良かったんじゃないかな?
ドレスヤマトからショタヤマトに衣装チェンジするときの花吹雪!
最初は何をしようか迷ってたけど、暇な時間使って作ったかいがあったよ!
セリフもしっかり台本通り読むことができたし、ご主人様たちの反応もなかなか良かった。
最初はあの演出を使って執事服からドレス衣装に着替えようと思ってたけど、他のVtuberの配信で予習してて本当によかった。
僕の演出は、インパクトはあってもどんな衣装かを楽しむ時間とドキドキがないもんね。
その点、ドレス姿からショタ風衣装にチェンジしてご主人様たちを驚かすにはうってつけの演出だった!
この演出に関しては義姉さんの手を借りずに僕一人で考えたもの。
義姉さんに教えてもらったのは衣装チェンジの仕方とどうして衣装が二つもあるかだけ。
それ以外は教えてもらっていない。
因みに、衣装が二つある理由は最初に作ったドレス衣装の方だけど、作り終えて元のヤマト感が片目が隠れていることと顔の輪郭だけで、髪の色が大きく変わって衣装もヤマト感がなくなっているから、急いでショタ風を作って黒髪要素を残した衣装を作ったとのこと。
確かに他のライバーさんを見ても服の形や色は変わっていても、髪色が大きく変わっているライバーさんはあまりいないもんね。
ごくまれに少し変わる人がいるくらい?
でもそのせいで義姉さん相当苦労したみたいで、宮崎に帰ってきてからずーっとショタ風衣装を作ってたみたい。
今回遅れたのもそれが原因らしいし。
一先ず、何事も問題がなくてよかったー!
「さてと、今日はもうすることもなくなったし、歯磨いて寝ようかな。っと、来夢に早く寝るように言っとかないと」
部屋から出て来夢の部屋に行くといまだに電気がついていて、眼鏡をかけながらパソコンをいじっていた。
なんだか大変そうだけど、ここ最近夜遅くまでして早起きしてるからね。
お兄ちゃんとしてここはびしっと言わないとね!
「来夢、そろそろ寝ないと体に悪いよ」
「……お兄ちゃん。分かってるけど今面白い感じだからもう少しだけ」
「だーめ! ここ最近夜遅くて朝早いんだからしっかり寝ないと! 体壊すよ」
「私は大丈夫、最近この生活が癖になってきてるから」
「なおさらダメじゃん! いい、遅寝早起きが癖になっても体は回復しないの。しっかりと寝てしっかりと起きる。そしてご飯を食べるから健康でいられるの」
「私みたいな生活してる人なんてたくさんいるよ」
「例えば?」
「……ブラック企業の人とか?」
「ダメじゃん!」
でもブラック企業に勤める人は年中休みがなくてサービス残業は当たり前。寝る時間も少ないって言うし、来夢よりかも酷い気がする。
……けど、それでもダメだよ!
「今日はもう寝る! わかった?」
「……お兄ちゃんが言うなら」
言うことを聞いてくれたみたいで来夢はパソコンを切ってそのまま布団に入った。
「歯磨きは?」
「したよ」
「トイレ」
「行っ、た……」
「お休み」
「おや……み」
相当疲れてみたいで布団に入ってからすぐに眠りについた。
歯磨いた後に少し部屋を覗いてみたけど、その時にはもうぐっすり。
相当疲れてたみたい。
僕も部屋に戻って布団に入る。
「やっぱり配信があった日はいつもより眠い」
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