第94話 新衣装お披露目配信 前編 『募集イラスト』
***
『お帰りなさいませ、ご主人様。本日は僕の配信に来てくださりありがとうございます。あなたの執事、神無月ヤマトです』
ただいま!
帰ってきたぞ!
私のヤマト様!
いや、僕のヤマトちゃんだ!
違う、みんなのヤマト様よ!
そうだそうだ!!
『今日は前々から言っていた新衣装のお披露目をします』
来た来た!
待ってました!
楽しみ!
『因みに今の僕の衣装がデビューの時から来ているこちらの執事服です。普通の執事服に見えますけど、ところどころにアクセサリーがついていたりしているのが特徴ですね。因みに手には白い手袋をつけてます』
体の全体を見せる。
こうして全体図を見せたのは初めてかもしれない。
『では早速お披露目! と行きたいところですがその前に皆様から募集した新衣装の予想イラスト、いくつか公開してからお披露目に入りますので楽しみにしていてください。ではさっそく1枚目こちらです』
ファイルから取り出し、配信画面に乗せる。
僕が1枚目に選んだのはいたって普通のイラスト。
執事服が黒から白に変わって僕の髪色も白に変わり、髪の長さが腰辺りまで伸びた長髪の執事服。
因みに腰辺りにはなぜか武器が……。
武器を覗くと、普通に見てもかっこかわいい。
おお!
いいじゃん!!
王子様女子って感じ?
武装少女……萌える!
『普通にかっこかわいいですね。腰にある武器はご主人様たちを守るための武器でしょうか? でも僕は戦いを好まない執事ですので、あまり使う機会がないといいですね。あと、白って言うのが前との違いが大きく、長髪の僕って考えるとかわいいです! もしこの子に声を宿すとしたら「こんな感じかな? ちょっと年上のイケメン風の声があっているかもね」』
キュン!?
ドキドキが収まらない!?
何今の……普通にヤバい
声だけで耳が壊れたんだけど……
お、なかなかに好評!
せっかく書いてくれたんだし、声を宿してあげないとね。
『さて2枚目ですが……これは少し問題作でしたね。正直言って一瞬ときめきそうになったくらいです』
ヤマトがときめくほどっていったい……!?
あ……
察し……
もしかしてあれか?
『昔から僕のことを見てくれている人は気づいてくれたみたいですね。2枚目はこれです』
1枚目を画面から消し2枚目を公開する。
2枚目の新衣装予想のイラストは、スキンヘッド姿の僕。
因みに衣装はメイド服。
何ともいびつなイラストが載っている。
正直メイド服、というよりも女の子が着るような服じゃなかったらガチときめきしていたかも……。
シルエットでは髪となる部分も描かれていたのに、そこはアクセサリーを描いてごまかしていた。
『これ、メイド服じゃなかったらヤバかったですね。綺麗に描かれたスキンヘッドです』
やっぱりか!
メイド服以外だったら行けたんだ……。
スキンヘッドガチ勢!?
流石にこれはあまりわからん!
『これを見た時、いつもならすぐに宿す声を思いつくのに、このイラストだけは全然思いつきませんでしたね』
これを見た瞬間、頭が完全にショートしてしまった。
そのせいか、このイラストだけはどうしても当てはまる声を思いつけない。
改めて実力不足を実感した感じかな。
『このイラストを描いてくれた人ごめんなさい。あまりの衝撃にどの声を当てればいいのか思いつきませんでした。でも、僕はこの子好きですよ。素敵なイラストありがとうございます!』
スキンヘッドはいくつかあったけど、1番インパクトがあったのはこのイラストだったからね。
多分簡単に忘れられない。
『では3枚目ですね。こちらです』
2枚目を画面から消して3枚目を出す。
3枚目は私服姿の僕。
黒いジャケットは腕に通さずに肩にかけ、腰にはアクセサリーがたくさん。
いつも隠れている右目はヘアピンで髪を止めてしっかりと表れている。
ズボンは穴の開いたジーンズ? ってやつをはいていて、ちらほらと素肌が写っている。
何よりもTシャツには『I LOVE 日向』とプリントされていた。
まさしく、僕が着るべき様な服。
あえて『宮崎』ではなく『日向』と書かれているのがいい!
『見た目もですけど、僕が一番評価できるところはTシャツですね。『宮崎』ではなく『日向』と書いているのはしっかりと僕のことを知ってくれている証拠ですね。最高です!』
え、そこなんだ……
流石ヤマト、地元愛が半端ない!
これ描いた人はヤマトのこと分かってんな!
『見た目もいつも隠れている右目が出ていることで、少しセクシーさが出ていますね。あと私服は少し素肌見せすぎな気もしますけど、皆様、僕の生足好きなんですか?』
好きです!?
大好き!!
この足でご飯5杯はいける!
ヤマトあまり肌出さないからな、レアすぎてみていたい!
お、思った以上に好評。
これを描いた人は鼻が高いんだろうな~。
僕はあまり何とも思わないけど。
『「ねぇ、せっかくだから君たちも僕と同じ日向T着てみない? お揃いになるよ」』
声のイメージは少し乗りの軽い男子高校生。
あまり男子高校生を知らないけど、ドラマでは何度も見たことあるから少し明るくノリのいい声を宿してみる。
陽キャだ!
ヤマトには会わないよ!
いや、これはこれでなかなか……。
別のヤマトが見えた。
うーん、少し違ったかな。
このTシャツ、なかなかいかしてると思ったんだけどなー。
『では次に行きましょうか。4枚目はこれまた問題作ですね』
3枚目を画面から消し、4枚目を表示する。
これは2枚目とはまた別な意味で問題すぎた。
一番はやっぱりこれかな。
『完全にシルエットに収まり切ってないんですよねー』
シルエットでは普通の人だったのに、4枚目はシルエットを完全に無視した獣耳に尻尾と人ではなく獣人になっていた。
耳の長さからして多分ネコ科。
黒の毛に白の毛が入っているから多分普通の猫。
衣装はこれまた面白いことに制服姿。
つまり学生猫。
髪の毛もそこそこ長く、猫っぽさも相まって普通に可愛い。
おお!
可愛いじゃん!
これのどこが問題作なんだ!
問題なんてなくね?
『これだけなら問題ないんですよ。いえ、シルエットを完全に無視している時点で問題なんですけどね。問題なのはこのイラストの説明文。【万年発情猫だけど天性の演技力で悟られないようにしている】……僕万年発情なんてしてませんよ!』
確かにそれは問題だな。
ああ、女の子と寝たことあるからと言って発情しているわけじゃないからな。
女の子と寝たのはあくまで事故だから。
ヤマト様が発情猫とは……少し見てみたいかも
『最初は可愛いと思ったんですけど、この説明文を見た瞬間そんな考えが吹き飛びましたね。この説明文さえなければ、カナママに頼んで次の新衣装はケモミミ少女・ケモミミ少年にしてもらおうと思ったんですけどね!』
発情猫とはけしからん!?
ヤマトは清純だ! 発情なんてしていない!
あくまで事故なんだ! ヤマトが発情したわけじゃ人だよ!
ヤマト様のケモミミ見たかった!
うん。
気持ちいほどの掌返し!
やっぱりみんなもケモミミ好きなんだ。
『「もうみんな、調子いいにゃ~。でもそんな君たち見ていると……ジュルリッ。おっと、何でもないにゃよ。別に君たち見ていると食べてみたいとか思ってないからにゃ!?」』
小悪魔や
ドジっ子もついとる!
子供は見ちゃいけない!?
これ性癖ゆがむやつ出てくるぞ……。
発情猫がどんな感じか知らないけど、性欲に飢えている感じを出せばそれっぽくなるのかな、と思ってよだれを演出してみたけどそんなにダメだったかな?
『語尾に「ニャ」をつけるのなんか変な感じがしますね。室内でやる分にはいいんですけど外では絶対にできないです』
そもそも外でする人自体あまりいないと思うけど……。
『では5枚目行きましょうか。5枚目はこちらになります!』
4枚目を画面から消し5枚目を乗せる。
5枚目は3枚目と同じ私服バージョン。
3枚目と違うのは私服の種類と髪型かな。
5枚目のイラストは純白のワンピースに頭にはカチューシャ付き。
髪型に関しては片目を隠した黒髪だけど隠しているのは右目ではなく左目。
何より黒髪ロングではあるけど、右の髪は三つ編みされている。
どこからどう見ても女の子。
説明分も描かれていて女の子とちゃんと表記されていた。
不覚にも普通に可愛いと思ってしまったから、紹介させてもらった。
『普通に可愛いですよね。特に純白ワンピースと黒髪のマッチがなんとも!!』
分かる~!
普通に可愛い!
何処から度見ても女の子だろ!? 男の子派としては見過ごせない!
これこそ至高のヤマト様!
思った以上に意見が割れてる。
やっぱり性別がはっきりしているからかな。
でも、男の子派だけど見とれたって言うコメントもあるし、人それぞれだよね。
『でも、やっぱり女の子の部分を強調しすぎですね。このワンピース姿もいいんですけど、これだと女の子だという主張が強すぎるので、ここにズボンがあれば最高でした! まぁワンピース姿ってだけでもあまり問題ないし、カチューシャもなかなか似合っていて最高に可愛いんですけど!』
そしてこの子に当てはまる声と性格はこれしかいない。
『「僕くんってよく胸の大きい人ばかり見てるよね。分かるよそれくらい、幼馴染だもん! でもさ、胸はあまりないけど見るんだったら私のこと見てくれないと、嫌だよぉ」』
設定としては幼馴染の女の子で僕くんに気がある感じの子。
更に、今回は最近素直になり始めた感じの恥ずかしさも出してみた。
かっわ!?
え、破壊力半端ないって!
ヤマトちゃん、結局男は胸なんだよ! 何言っても無駄なんだよ!
こんな幼馴染ほしいわ……。
最近素直になり始めたような恥じらいがいいよね!
なかなかに好評。
この子を見た瞬間一瞬でセリフと声、この子の背景が思いついたんだよね!
いい感じでよかった!
『次に6枚目ですね』
傾向からしてボケた絵か?
1、3、5でなかなかいい絵。2、4でふざけた絵と来てるから6はふざけた絵か。
どんなものが来る!?
楽しみでしかない!
すでにご主人様たちも出てくる絵の傾向が分かったみたい。
当然次はおふざけで選んだイラストを出すつもり!
『6枚目はこれです!』
5枚目を画面から消し、6枚目のイラストを載せる。
6枚目は……いたって普通のイラスト。
普通に本体はシルエット通りに描かれているし、男の子か女の子かわからないぎりぎりのラインのイラスト。
まぁ執事服とメイド服を合わせて2で割ったようなイラストではあるけど。
髪型に関してはちゃんとひねられていて、今の僕の髪の毛は片目隠しでショートボブみたいな髪型だけど、このイラストに関してはポニーテール姿になっている。
表情に関してもかわいくて何も言うことなし!
そう、いたって普通のイラスト。
……ここまでは。
問題はその後ろ、なぜか僕の後ろにオーラがあってたくさんの人がいる。
正直ホラー屋敷にいると言われても違和感はない!
ていうか怖い!?
『僕の後ろにいるのは何なんですかね? 正直怖いんですけど……』
背後霊?
オーラが擬人化したか!?
ヤマトの才能
具現化したヤマトの才能たち
『僕の才能たちですか? それにしては多い気がするんですけど……。僕の才能ここまでないですよ!』
は?
何言ってんのこの人。
流石にそれは……
むしろ少なすぎます!
そんなに僕の才能って多いかな?
正直、僕が自信を持って言えるのは演技力と声真似くらいなんだけど……。
『皆様多いと言いますけど、なんでこんなに才能があるのに僕は高校受験に落ちたんですか!?』
それは……まぁ。
人には得意不得意がある
ヤマトは才能を手に入れた代りに学力を捨てた
天才にも欠点があって当然
僕の学力問題ってそんな風に扱われてるの!?
コメント欄見てびっくりしたんだけど……。
『このイラストに関していってしまえば、僕は最高にいいんですよ。メイド服と執事服を足して2で割ったものを着ていますし、何よりポニーテールって言うのがなかなかにいいです。でもこの後ろのオーラが! このオーラさえなければ……!? って言う思いでいっぱいでした』
ヤマト本体に関してはべた褒め
確かにヤマト本体は可愛い
それを上回る後ろのオーラの存在感!
なんかだんだんへんに見えてきた。
『でも「これが僕の才能なんですね。後ろにあるオーラ? 僕には見ませんけど皆様が驚くということは相当あるということですね」』
この子を見て最初に考えたのは後ろのオーラさんたちにも声当てしようかと思ったけど、オーラはオーラ。
喋るわけがないので今回は無しにした。
本体の声は女性越えの低いバージョン。
地声に近い感じの声で話すことで、今回は女の子っぽさを強めてみた。
『では7枚目行きますね。7枚目はこの子です!』
6枚目を配信画面から消し、7枚目を載せる。
7枚目は……えーっと、なんていえばいいのかな。
……え?
今回は奇数だからうまいのが来ると思ってたけど、これは。
幼稚園のお絵かきレベル
どうしたヤマト!
7枚目は園児が描くような、お絵かきの絵。
というよりも、色鉛筆かクレヨンで描かれていると思う。
そう言えるのは写真の画質と色の配合。
写真には少し暗い影が入っていて、デジタルではなくアナログで書いたのが分かる。
次に絵に関してだけど、黒い部分がかなりにじんでいる。
特に薄橙色と接する部分に関しては黒いところを描いた後に、薄橙色を描いているというのが分かるほどににじんでいる。
あと目と顔のバランスもあっていないし、口もかなり大きい。
さらに言うと新衣装なのに服は真っ黒の執事服。ほとんど新衣装になっていない。
それでもどうしてこの絵を選んだのか、理由はただ一つ。
『えー皆様も驚かれているかもしれませんが、今回これを選んだ理由は一つです。これを描いたのは何と! あの偉大なる伝説の方!』
え、誰だ?
恋夢ちゃん!?
流石にこれはヤバい……。
伝説ぅ?
『現在ガーデンランドに所属する2期生の最恐(笑)生物の竜田ラノ先生です!』
あぁ!
確かに!
ラノのが描いたって聞いたら納得できるわ
下手過ぎて草
そう。
この絵を描いて送ってきたのはまさかのラノ様。
念のために配信で使ってもいいかと聞いたら、快く承諾してくれたのでありがたく使わせてもらった。
『因みにラノ様は自信作とおっしゃっていました』
それを聞いたとき、僕は何と答えていいかわからなかった。
『自信を持つのはいいことだと思いますよ。それにイラスト初心者が書いたら可愛く見え、ますし……。見えますよね?』
ヤマト、自信をもって!
可愛い? かはどうかは置いといて、努力してるって言うのは伝わってくる!
うん、可愛い……よ?
あまり無理しないで!?
『正直、今回は声真似できないですね。絵から声を連想できないというのもありますけど、多分この絵って現状の僕を忠実に再現してくれていると思うんです。なのでこの絵は皆様の心で声を浮かびあげてください。僕の声でね』
まぁ、一番はやっぱり声が浮かび上がってこないって言うのなんだけどね。
もう少し服装がしっかりしていたら楽にできるんだけど、流石にどんな服かわからないんじゃ難しいかな。
『では最後の1枚です! 今回送ってくれたイラストはどれも優秀賞ですが、最優秀賞を1つ決めろと言われてしまったら、僕はこのイラストを選びます! では、8枚目です!』
ラノ様のイラストを画面から消し、8枚目のイラストを載せる。
8枚目はこれまでと違って着物姿の僕。
黒に赤と少し大人っぽい色。
髪型は右目を隠していて、後ろ髪は髪先でしっかり結ばれている。
今回探したイラストの中でみんな私服やメイド服、執事服などがほとんどだったのに対し、和服はこのイラストのみ!
いろんな観点からこの1枚を最後に出すことにした。
『良いですよね、和服姿! 歩きづらそうですし、着るのも大変そうですけど憧れますね。特にこの色合い、黒と赤というのが大人っぽさを出してていいですよね』
和服姿のヤマト様最高!
ピンクじゃなくてよかった……。
なんか旅館の女将さんみたい。
美しぃ!?
『「本日は当配信旅館にお越しいただきありがとうござます。私、女将の神無月ヤマトと申します。ぜひ最高のひと時をお過ごしくださいませ」』
女将さんバージョンの挨拶!
マジモンの女将さんみたい……。
言葉遣いが綺麗すぎる!
何だろう。これも別のヤマトを見ている感じ。
このイラストの時はこのセリフを言おうと決めていた。
僕の今の挨拶は執事だから『お帰りなさいませ、ご主人様』にしているけど、この衣装になった場合僕の挨拶は旅館の女将さん風に変わるからね。
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