第60話 オフコラボ feat.レベッカ・カタストロフィー #2
『レベッカさま。このゲームって2人プレイできるんですか? コントローラーが1つしかないんですけど』
『できないよ』
『……どうするんですか? これ』
『大丈夫、ゲームオーバーで交代しながら解いていくから!』
『大丈夫かなぁ?』
主に僕の方が。
レベッカさんはこのゲームやり込んでいるから問題が出てくる傾向とかはわかるかもしれないけど、僕の場合傾向が分かったところで解けない。
……ヤマトが絶対に足引っ張るな。
ヤマト様が申し訳ございません。
ヤマトリスナー、諦め早すぎじゃない?
ヤマトさえいなければ、数時間で終わった。ヤマトがいたから数日かかったよ……
予知者いて草!
『さすがに日をまたぐころには終わります。……よね?』
『え、終わらないけど。耐久配信だよ!』
『マジですか……』
もし終わらなかったら、明日は来夢と兄さんの2人きり。
……絶対にそれだけは阻止しないといけない!
兄さんと来夢の2人きりって喧嘩する未来しか見えないよ!
『それじゃあ最初は高校入試レベルから行こうか!』
『ぼ、僕歴史系ならいけると思います!』
『私は1番の得意科目が国語、2番目に英語だよ』
『……レベッカさんって一応アメリカ出身ですよね?』
『そうだけど……』
『英語より国語の方が得意なんですか?』
『アメリカ人全員が英語得意ってわけじゃないからね!』
『あれって二次元だけの話じゃなかったんですね』
え、そうなんだ。
日本語がうますぎて普通に日本人かと思った!?
レベッカは変わり者だからなw
レベッカがおかしいだけだよ……
『それじゃあさっそくゲームスタートしていこうか!』
『はい、それじゃあ最初はレベッカさまからお願いします』
レベッカさまがスタートボタンを押すと、画面は一気にスタート画面へと切り替わる。
チュートリアルを垂れ流しに見ていき、そしてゲームスタート!
『やっぱり最初はレベル1からなんですね』
『ゲームだからね。一応難易度は高校入試レベルにしてるけど、ストーリー途中から下げることもできるし、何ならたまに小学生レベルの問題もあるから安心していいよ』
普通ならそうかもしれませんが、僕の場合あんしんがまったくできないんですよね~。
『最初の問題は数学。ヤマト、再序盤は簡単な問題だからやってみる?』
『そうですね。皆さんに僕の学力を見せたいので肩慣らしにやりたいと思います』
このゲームは勉強がメインのRPG。出てきた問題を敵モンスターよりも早く解いて、相手のHPがなくなれば、プレイヤーの勝利となる。
レベッカさまから、コントローラーを受け取り問題スタート!
【問題 -5+2の答えは?】
『これは簡単だね! あ、言っておくけど問題見てるときはコメント見れないようにしてるからね!』
『カンニングはできない、ということですね』
画面の右下に数字のボタンが現れる。
数字は0~9に―と+だったり、見たことあるような内容な記号がたくさん。
でも今はそんなことどうでもいいよね。
問題は目の前!
-5+2……うん。合ってる自身がない!
『なんで-(ひく)が前に来てるんですか?』
『……そこから!?』
『冗談ですよ。さすがに僕でも-(マイナス)は分かります。でも合ってる自身がないだけです』
『大丈夫だよ。一問間違えただけだHPはなくならないから』
『分かりました』
とりあえず、コントローラーを使い【-3】と入力する。
すると僕の答えに赤丸がつき、相手キャラにダメージが入った。
『なるほど、行動するたびに問題が出て、正解すれば行動が成功するという感じなんですね』
『うん。それと間違えた場合はペナルティーとして自信を攻撃しちゃうから気を付けてね』
『問題が出てないときはコメント見れないんですか?』
『あー、問題が出てないときはコメント表示しようか……』
『その方がいいですね。そっちの方が盛り上がると思います』
僕の案を呑んでくれたレベッカさんはすぐに、コメントを表示してくれた。
おお、いいぞヤマト!
俺たちの気持ちをよくわかってる!
流石ヤマト様!
新人なのにリスナーに対しての気遣いできすぎ!
『みんなは今のコメント解けたかな?』
解けた!
簡単。
小学生レベル
これ解けないやつおる?
コメント欄がもし上がってるし次に行こ。
それにしてもあのレベルの問題が続いたら、簡単に攻略できそうなんだけど。
これって耐久配信する意味あるのかな?
しばらく歩いていると、今度は野生のモンスターとぶつかる。
レベルは全然低い。
さっきみたいに倒してすすも!
……は?
『本当だよね! レベルが低い問題解けない人いないよね!』
『……レベッカさま。解けません』
『え?』
【問題 √2+√2を求めよ】
意味がまったく分からない。
そう言えば高校受験の数学でもこれに似た問題出てきたんだよね~。
全く分からなかったから適当に解いたけど。
『と、とりあえず解いてみようか……』
『は、はい』
右下のボタンから『√』の記号を選んで『4』のボタンを押す。
するとさっきとは違いバツが出てしまい、僕にダメージが入る。
そして、相手モンスターの行動。
相手モンスターの問題も僕と同じ問題。
相手モンスターは『2√2』と書くと赤丸がされ、僕にダメージが入る。
残り僅かで耐えることができた。
『レベッカさま、これもし死んでしまったらどうなるんですか?』
『うーん、秘密かな。やっぱりゲームは体験してみないと面白くないからね!』
つまり一回死のうね! ってことね。
分かりました。できるだけやってみますか!
【問題 5√3+2√3を求めよ】
さっきと似たような問題。
あの問題はおんなじ数字を足しあったらなぜか『2』が出てきた。
つまり、この問題には1が前につけられているって言うこと。
ということは……!
『答えは2と7√3です!』
『え?』
ボタンを押して回答!
そしてついたのは青いバツ印。
それにより僕は自分自身にダメージが入ってしまい倒れてしまった。
……え?
どうしてそうなる!
平方根習ってないのか!
数学苦手だけど、これなら私でも解けるよ!
ヤマトの頭の中一回見てみたい……
『ヤマト、ゲームオーバーです』
『……なんで7√3になるんですか!?』
『えーとね√って外に見えないけど1があるんだよ。そしてルートの中身はたしても変わらないの』
『でも最後の問題は数字が出てましたよ! 2と7√3であってますよね!?』
『最後のやつは前にあった1が5と2に変わったわけね。つまりあの問題は【5+2】をすればよかっただけ』
『そんなの習ってませんよ! ですよね、リスナーの皆様!』
これって中学の範囲じゃなかったっけ?
俺の中学は出たな。
私の中学でも出た……
僕今年受験生だったんだけど、平方根は出たよ。
もしかしてだけど、ヤマトって相当馬鹿?
これ今日中に終わるか?
ヤマト様、どれだけ時間が経とうと親衛隊はどこまでもついていきます!
『やっぱりどこの中学校でも出てるみたいだよ。諦めようヤマト、自分の現実から目を背けるのは』
『……あは』
『ん?』
『あはは。……あはははは、あははははははは!!』
『ヤマト?』
あ、
壊れた。
しっかりするんだ! いいじゃないか頭がちょっとあれでも
安心しろ、頭がちょっとあれなヤマト。頭があれだからって俺たちは見捨てたりしない!
頭がちょっとあれでも私たちはヤマト様と一緒です!
もうやめてあげて!
最初見た時、欠点のない天才新人かと思ったけど、こんな弱点があったとは……
お馬鹿Vtuber現る!
Vtuberお馬鹿軍団にヤマトが入るのか~
『レベッカさま、Mytubeって最大何時間まで配信できるんでしたっけ?』
『た、確か12時間だったと思う』
『分かりました。今のうちに新たな枠を建てといてください』
『え、それって……』
『やってやりますよ! ご主人様諸君! 今日はオールナイトで頑張りましょう!』
ヤマト復活!
何処までもついていくぞ!
完全に吹っ切れてる!
チャンネル主よりも盛り上がってる……
オールナイトってまだ午前の11時だぞ。気が早すぎ!
ヤマトの頭だと12時間で終わらないだろ。
あー、笑ったらだいぶ吹っ切れた。
そうだよ。
僕はなんで甘い考えでこのゲームしてたんだろ。
たったの半日でクリアできるわけないじゃん。
せっかくの機会、ここで受験で果たせなかった鬱憤を晴らしてやろう!
そうと決まれば……。
『レベッカさま、少しお腹空いたので近くのコンビニでお昼ごはん買ってきますね!』
時間的にもうすぐ12時、お昼タイム!
ここ最近は外食だったけど、たまにはお弁当もいいよね。
『あ、ヤマト待って!』
バッグの中から財布を取り出そうとしたらレベッカさまに止められた。
何か買ってきてほしいものでもあるのかな?
『はいこれ』
渡されたのはスマホ。それも何かのサイトを開いた・
『……なんですか、これ』
『何って、出前アプリだけど……知らない?』
『……知りません』
初めて見た。
なんかいろんな弁当が載ってる。
レベッカ、配達アプリは都会にしかないよ。
『え、そうなの?』
宮崎に都会ってないっけ?
宮崎市はわりと都会だったはず……
ヤマト様の住んでるところは日向市。
日向市って都会?
分かんない。
ひょっとこあるから都会じゃないの?
俺、ヤマトが日向在住って言ってたから調べたことあるけど、全然都会じゃなかった。
そもそも、都会だったら、ヤマト様が東京を嫌うわけない!
……つまり田舎ってことね。
『みんな、そんなこと言っちゃ『メッ!』 だよ。田舎はとても静かでいいところなんだからね!』
レベッカさまが何か言っていたけど、今は全く気にならない。
今僕が思っていることはただ一つ。
『都会ってスッゲーですね』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます