ゴールデンウィーク!!!!
第58話 大掃除!
「レベッカさん! どうしてここに、家にいるはずじゃ……」
「最初はそうしようと思ったんだけどね、サクラから迎えに行きなさいって怒られたから迎えに来たよ!」
サクラさん、ありがとうございます。
僕一人だったら、迷子になる自信しかありませんでした!
「それに、ヤマトには片付けた私の部屋を早く見てもらいたかったからね。今からヤマトの謝る姿が楽しみだよ!」
「本当に片付けてたら謝りますよ。でももし片付いていなかったらレベッカさんが謝ってくださいね?」
「もちろん! 謝るのは配信の最初、リスナーが見ているときでいいよね?」
「はい」
念のために謝る心構えはしておくとして、レベッカさんの家に行く前に、寄りたいところがある。
「レベッカさん。どこかコンビニありませんか?」
「私の家に行く途中にあるけど……」
「それなら途中で寄ってもいいですか?」
「どうしたの? 朝ごはん食べ忘れた?」
「いえ、絶対に必要になると思うので」
レベッカさん、というよりも掃除ができない人の共通点が一つある。それは片付けと掃除を全くの別物にしてしまうことがある、ということ。
散らかっている物は片付いたとしても、ほこりなどが溜まっていれば汚部屋に変わりはない。
レベッカさんお家に向かう途中にあるコンビニで、ドライシートとウエットシートの二つを購入する。
多分レベッカさんの家にはフローリングワイパーなんて便利なものないと思うから手で吹かないといけないかな。
買い物を済ませた後は、そのままレベッカさんの家に直行した。
レベッカさんの家は少し大きなマンションでオートロックの家だった。
ここ最近高級マンションや高級住宅街ばかりにいたせいで感覚がくるってたけど、こういう普通の家を見ると心が落ち着く感じがする。
それでも、10階建ての10階に住んでいるらしく移動にはエレベーターを使うことになった。
正直このマンションに汚部屋があるとは考えられないほどに、マンションの中は綺麗で見ているだけで心がすっきりする。
「ヤマト、ここが私の家です」
エレベーターを降りてすぐのところにレベッカさんの家があった。
さて、ちゃんと汚部屋は綺麗になっているのかな。
僕としては、今日買ったシート類が無駄にならないといいんだけど。
レベッカさんげ鍵を開けてドアを開くと、中にはしっかりと道ができていた。
ちゃんと床が見える。
見えるのはいいんだけど……。
「レベッカさん? 片付けたんじゃないんですか?」
「片付けてるよ! ちゃんと床が見えるでしょ?」
「じゃあ、隅っこに置かれているものは何ですか?」
「入りきらなかったから置いてるだけだよ」
レベッカさんの家は確かに片付いているかもしれない。
けれど、廊下の横わきには段ボールやごみがよけられていた。
うん。片付いてないね。
僕の想像なんて簡単に超えてきた。
これはほこりがどうこう言う以前の問題だよ。
これで『ガーデンランド』のママ枠なんて言われてるんだからびっくり!
「レベッカさん。掃除しますよ」
「え、片付いてるからよくない?」
「ダメです。こうなったら徹底的に片付けさせてもらいます。ひとまず、リビングはどこですか? 荷物を置きたいんですけど」
「それなら廊下の先の扉にあるから。安心して! ちゃんと片付けたよ!」
「……期待しないでおきます」
本当に期待せずに廊下を歩きリビングのドアを開ける。
やっぱりというべきかな。真ん中あたりは床が見えるのに、隅っこには段ボールや雑誌が散らかされていた。
まぁ、段ボールをしっかり畳んでいるあたり、ちゃんと片付けようとしたのは見えるかな。
でも、畳んだとしてもいろんなところに投げ捨てられてたら意味ないんだよね。
「レベッカさん。まず初めに片付けから始めますので段ボールをまとめてください」
「え、駄目だった?」
「当然です。さぁ、2時間しかないので急いでやりますよ。もし間に合いそうになかったら、片付けしながら打ち合わせしましょう」
正直、この汚さは2時間で終わるか微妙のライン。
急いで取り掛からないと!
レベッカさんには段ボールをまとめてもらうとして、僕が最初にやらないといけないのはゴミ出し。
驚くことにレベッカさんはゴミを外に出さず、玄関横に置いていた。
最近置いたものみたいで、臭いはそこまでしないけど時間の問題。
日向は指定のゴミ袋がないから普通のポリ袋でも問題ないけど、八王子には指定ゴミ袋があるみたいで面倒くさいなと思ったけど、その分握る場所があって、持ち運ぶのは楽。
「あ、ヤマト。ゴミ袋は私が持っていくね! じゃないとマンションにはいれないから」
「どうしてですか?」
「だってうち、オートロックだもん。ヤマトが出るたびに開けるのって面倒くさいよ」
「……それもそうですね。分かりました。でもさぼらないでくださいね」
「もちろんだよ!」
ゴミ出しはレベッカさんに任せて、僕は家の中にあるごみを袋の中に入れるとしますか。
レベッカさんの家にはどう見てもゴミなのに、ごみ箱の中に入っていないものがたくさんある。
例えばシュリンク。そこらへんにたくさん転がっている。
他にもぐちゃぐちゃにされたレシートやゴミ箱に入らなかったティッシュ。
全部ゴミ袋に入れたら、再びゴミ箱がパンパンになり取り出すことに。
そして上を閉じる。
これで、出さないといけないゴミがまた増えた。
「今戻ったよ~」
「ちょうどよかったです。レベッカさん。もう一回ゴミ出しお願いします」
「はーい」
レベッカさんは肩を落としてゴミ出しに言ってくれるが、文句を言ってくれないだけありがたい。
年始のたびにうちでは大掃除をするのだが、その時に帰ってきている兄さんにゴミ出しをお願いすると、そのたびに文句を言いながら出しに行って面倒くさい。
兄さんの家のゴミなのに。
その分、レベッカさんは文句を言わないから好感が持てる。
「よし、次は段ボールをまとめようか。幸い、段ボールは全部畳まれているからあとはまとめるだけだし、やりやすい!」
そのあとはトイレ掃除に、他の部屋の掃除。
……絶対に2時間では終わらないよね。
そこからは怒涛の勢いで片付けを済ませ、掃除をしていく。
段ボールはまとめて、紐がなかったので隅っこに放置。
あとで紐を買いに行くことになった。
他の部屋も、散らかっているには散らかっているけどリビングほどではなかったので、数十分で片付けることができた。
レベッカさんも熱心に片付けしてくれて、1時間と10分弱で部屋に余計なものがなくなった。
「ふぅ、ようやく終わったね」
「はい、レベッカさんが熱心に手伝ってくれたおかげです。ありがとうございます」
「お礼を言うのは私の方だよ! 改めてみると私の部屋ってきれいなんだな~って思えたし。これからも片付けはなるべくするようにするね」
「それは何よりです」
「それじゃあ打合せしようか」
「はい?」
レベッカさんはいったい何を言っているんだろう。
まさか、これで片付けが終わったなんて思ってないよね?
こんなのまだまだ序の口だよ。
「レベッカさん。打合せはまだですよ」
「え、どうして? もう片付けは終わったよね?」
「片付け(・・・)は、終わりました。でも僕は片付けだけをするとは言ってませんよ?」
片付けだけで終わってしまったら、僕が買ったシートたちが無駄になっちゃう。
「これからするのは掃除です。レベッカさんの家にフローリングワイパーがないのは片づけている間に確認しましたので手動で行います」
「う、打合せは?」
「そんなものなくても僕は大丈夫です。アドリブで行きましょう。安心してください。僕が引っ張りますので。僕としてはそんなことよりも、レベッカさんの汚部屋をどうにかしたいですから」
「ヤマト、もう十分うちは綺麗になりましたよ!」
「甘いですね。証拠をお見せします」
コンビニで買ったドライシートで廊下を拭き裏側を見せる。
当然裏側はほこりまみれ。
これでは裏表で使うことができない。
「レベッカさん、掃除と片付けは違います。急いでしないと配信に間に合いませんのでさっき僕がしたみたいに拭いてください。いいですね!」
「イエッサー!」
家の汚さに驚いたのか、レベッカさんは気合を入れて床をドライシートで吹き始めた。
これなら配信前には何とか終わりそう。
さてと、僕は少しトイレの様子でも見てこようかな。
レベッカさんの家に来てから一度もトイレは見てないし、家の中で一番便器が汚れやすい。
女性の家のトイレを掃除するのには抵抗があるけど、今日は僕も使うからしっかり清潔にしないと!
レベッカさんに教えてもらい、トイレのドアを開くと、そこには驚きの光景があった。
普通にきれいなのだ。
汚れ一つない。
トイレだけは他の部屋と別空間になっていた。
「レベッカさん。トイレは綺麗なんですけど、誰か掃除したんですか?」
「あ、私が毎日掃除してるよ。一番汚れやすい場所だからね」
「……」
言いたいことは山ほどある。
山ほどあるけど、一先ずはこれを言わせてもらおう。
「どうして、その心がけを他の部屋に使えないんですか!」
「ごめんなさい!」
はぁ、少し大きな声を出したらすっきりした。
でもトイレが掃除されているというのは嬉しい誤算。
これなら配信までに間に合いそう。
トイレがきれいだということに体が一気に軽くなり、そのあとの掃除ははかどり、配信15分前には掃除を終えることができた!
やっぱり、汚い部屋の人の片付けをするほど信用ならないものはないね。
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