第50話 配信後

配信を切り急いで義姉さんのもとに向かう。


さっきまで配信していた部屋にいたのに、もう他の部屋に行ってしまっていた。

リビングに向かうと、義姉さんは来夢と一緒に東京のテレビ番組を見ていた。


「義姉さん。さっきの話って本当?」

「さっきの話って、新衣装の話?」

「そうそう。僕何も聞いてないよ!」

「言ってなかったからね~。……因みにヤマトがデビューした時には既にとりかかってたんだよ。気づかなかったでしょ~」


全然気づかなかった。

そもそも義姉さんの家に行くこと自体少ないから気づけるわけもない。


「本当は5月半ばに完成予定だったんだけど、思った以上に筆が進んでね~。保仁くんたちが東京に来る前に完成したんだ~」

「早すぎますね」

「でしょでしょ」

「お兄ちゃんの新衣装ってどんな感じなの?」


やっぱり来夢も気になるみたい。

当然と言えば当然だよね。


僕も気になるし、多分、視聴者さんたちも気になっていると思う。


「うーん。そうだね~。今すぐ見せるとお楽しみが減っちゃうから教えないけど、今までのヤマトとは見た目も雰囲気もだいぶ変わるかな」

「見た目って、お兄ちゃんが女の子になっちゃうとか?」

「さ~、どうだろう。トリッターに新衣装のシルエットを載せてるからそれで確認してみるといいよ。それにしても、東京のチャンネルって多いな~」


義姉さんはこれ以上答えてくれそうにない。


まぁ、シルエットを見ればどんな感じかはわかるから、そこから見ればいいか。


その日は、ご飯を食べて明日も予定があるため、早めに眠りについた。



——————————

とある掲示板


神無月ヤマトについて語ろう。



502:名無し

来たよ来たよ! 来ちゃったよ!


503:名無し

>>502

少し落ち着け


504:名無し

>>502

気持ちはわかる


505:名無し

>>502

一体何が来たんだ? 今回は情報が多すぎてどれも来てる気がする


506:名無し

>>505

一番はお待ちかねの妹登場だよ!


507:名無し

>>506

前回の動画以降声を聞けないかと思ったもんね


508:名無し

>>507

俺なんてすでに100回くらい見直したよ


509:名無し

>>508

甘いな。俺は200回くらい見直した


510:妹ちゃんラブ!

>>508

>>509

どんぐりの背比べw。僕は寝るとき聞きながら毎日寝てるよ。


511:名無し

>>510

いや、流石に引くわ……


512:名無し

>>508

>>509

>>510

男子サイテー。ヤマトきゅんしか勝たん!


513:名無し

>>512

同意です


514:ヤマト様親衛隊007598

>>510

ヤマト様の妹様を汚すものは、我々が処理します。


515:名無し

>>514

ついに親衛隊が動き出すのか……。


516:妹ちゃんラブ!

>>511

>>512

>>513

>>514

良いだろう。相手してやろう!


517:管理人

>>511

>>512

>>513

>>514

>>516

喧嘩はやめてください。

ヤマトさんが悲しんでしまいます。


518:名無し

>>517

それはそうだな。


519:名無し

>>517

ヤマトが悲しむのはちょっと。


520:名無し

>>517

ヤマトきゅんを悲しませたくないのでやめます。


521:ヤマト様親衛隊007598

>>517

ヤマト様が悲しまれるのなら手を引きます。


522:管理人

これ以上妹ちゃんの話をすると、喧嘩が勃発しそうなので他の話題に行きましょう。新衣装の話とかはどうですか?


523:名無し

>>522

話題作り助かる


524:名無し

>>522

新衣装ね~。

誰かシルエット見た人いる?


525:名無し

>>524

私見たよ。


526:名無し

>>525

どうだった?


527:名無し

>>526

なんていえばいいんだろう。通常衣装のヤマトきゅんの衣装がすらっとした体形だったら、新衣装は少しフリフリがついた感じかな。あと、髪がまとめられてたかな。


528:名無し

>>527

長髪ってこと?


529:名無し

>>528

多分。あと、身長が少しだけ縮んでいた気がする。


530:名無し

>>529

ロリってこと?


531:名無し

>>530

いやいやいや、長髪ショタでしょ


532:名無し

>>531

ロリになるのか、ショタになるのか……


533:名無し

>>532

ロリだったら、僕っ子ロリ……ドキドキが止まらない。


534:名無し

>>532

ショタだったらミニヤマトきゅん……尊すぎる


535:名無し

>>533

>>534

両方好きな私に取ったらご褒美でしかないね。


536:名無し

>>535

何のマウント?


537:名無し

>>533

>>534

答え合わせは5月20日の土曜日にしようじゃないか!


538:名無し

その前の週にはヤマトのホラー案件配信があるけどね。


539:名無し

>>538

何かと、妹の登場と新衣装のインパクトが強くて、少し薄れてたけど『宝命生』の社長と親戚ってのもヤバくね?


540:名無し

>>539

そもそも、妹のことだしてたのに案件のことが出ない俺らもヤバいけどね


541:名無し

>>539

『宝命生』の社長って、ゲーム業界の時間を10年進めたって言われているあの『宝命役』よね?


542:名無し

>>541

その人で会ってる。


543:名無し

まずどこから突っ込めばいいのかわからない。


544:名無し

>>543

ヤマトの叔母っていうのもだし、撫子さんの姉妹っていうのも驚き。


545:名無し

>>544

ついでに言うと、1ヶ月とちょっとでアプリを作成した妹ちゃんの叔母さんでもある。


546:名無し

>>545

叔母さんの才能が妹ちゃんの血にも流れてたのかな。撫子さんも演技の天才だし。


547:妹ちゃんラブ!

>>546

妹ちゃんとあんな四十路ババァを一緒にするな!


548:名無し

>>547

ちょ、呼び方気をつけろ!


549:名無し

>>547

そうだぞ! 『宝命』の社長はまだ三十路のババァだぞ!


550:名無し

>>549

いや、お前も呼び方気をつけろ!?


551:名無し

ここに宝命役がいたらと思うとぞっとする


552:宝命役

やっとすれっていうのにはいれた。551の人呼んだ?


553:名無し

>>552

……え?


554:名無し

>>552

本物?


555:宝命役

本物だけど。

初めてだったから、会話はいるのに少し緊張したよ。

そんなことよりも……おい、547と549お前らニックネームか何か名乗れ。あと、547、お前にうちの姪っ子はやらんぞ


556:名無し

>>555

俺は悪くない! 全部547が悪い!


557:妹ちゃんラブ!

>>555

ちょ、管理人さん! この人名前強要してますよ! ルール違反じゃないですか!?


558:管理人

>>557

流石に自業自得なので今回だけは許容します。

547さんと549さんは早くニックネームに名前変えてください。


559:名無し

>>556

>>557

>>558

なんか普通にチャットしてるけど、相手が世界一のゲーム会社の社長ってわかってるのかな


560:名無し

>>559

同じ気持ちです。私驚きのあまりしりもち着きましたよ。


561:ナカムラ

>>559

549です。自分も普通にチャットしてましたけど、今になって手が震えてます。


562:ナカイ

>>559

547です。僕も妹ちゃんのことで熱くなってたけど、よくよく考えてみたら僕も驚きました。いつもゲーム楽しませてもらってます!


563:管理人

>>559

僕も驚きです。流れでなんとかなりましたけど、文字を打つ手が震えちゃいってます。


564:宝命役

そんな緊張しなくてもいいのに。今は一人の人間としてチャットしてるわけだから


565:ナカムラ

>>564

無理無理!


566:ナカイ

>>564

住む世界が違い過ぎる!


567:名無し

>>564

天才の考えてることが理解できない。


567:宝命役

私はやりたいようにやってるだけだよ。今後もヤマトといちろー、お義兄さんの義明をよろしくね。……ついでに姉さんのことも。仕事があるので失礼します。


568:名無し

>>567

荒らすだけ荒らして帰っていったよ


569:名無し

絶対に今後このことを忘れないと言い切れる。


570:管理人

宝命さんがいい感じで絞めてくれたので、今日はこれまでにしましょうか。ナカムラさん、ナカイさん今後は気を付けるように


571:ナカムラ

>>570

マジで気を付けます


572:ナカイ

>>570

会っていないのに、怖かった。



まさかの人物の登場で、その日は解散となった


——————————


宝命役side


いやー面白かった。

掲示板っていうものが存在するのは知っていたけど、使ったことはなかったから、思ったよりも時間がかかってしまった。


「社長、何やら楽しそうでしたね」

「うん。いろんな人と触れ合うのは新しい発見があるからね。……そんなことよりさ、そろそろ帰らない? もう外も暗いよ」


なぜか私たちは勤務時間が終わったのに、未だに会社で仕事をしていた。


うちはクリーンがうりのはずなのにどうして残業してるんだろう……。


「私だって帰れるなら帰りたいです。ですが、満さまたちと別れた後、社長が2時間も寄り道したのが原因で残業してるんですよ」

「だから言ってるよね。あれは企画のアイディアを浮かべるためのルーティンだって」

「買い食いすることがですか?」

「そ、そうだよ」


本当はただただ寄り道がしたかっただけだけど。


「社長自ら現場に乗り込もうとするのは感心しますが、自分の仕事を終わらせてからにしてください」

「だから今やってるじゃん、残業して」

「それは本来なら今日の勤務時間に終わってる仕事です。それに、先程までヤマト様の配信を見てましたよね」

「それはまぁ、一応気になるからね」


配信は約束をちゃんと守ってくれてたから問題なかった。

まさか義姉さんとの関係をばらされるとは思ってなかったけど。ネットニュースにも取り上げられてるし。


隠してるつもりはなかったから問題ないんだけどね。


「でしたら、後は仕事をするだけですね。社長。今日は逃がしませんよ」

「……仕方ないか。甥っ子も頑張っているわけだし、私も頑張りますか!」


こうして、私の長い夜は始まった。

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