第25話 凸待ち配信 #Fin

まじで来たよ!

1番来る可能性があった!

噛んだ

テレビでも噛んだことないのに噛んだ凛音レアすぎ!



「は、初めまして。神無月ヤマトとというものです。本日はお日柄もよく……」

『これはご丁寧に……』



ヤマトも緊張しすぎw

カオス!

時間すぎてるんだろー!?

グタグタ話している暇はないぞー!



コメントに説教されてしまった。

でもまさか飛鷹凛音さんが来てくれるなんて夢に思っていなかったから、最初は行けると思ったけど……。

面と向かって話すのはこれが初めてだし……。


「えーっと、飛鷹凛音さんが来てくれました!」

『よろしくお願いしま~す』



何で来てくれたか聞け!

頼む、聞いてくれ!

俺たちは気になって明日の夜も眠れない!

少しだけでいいから!



「とりあえず、今日はどういった経緯で来てくれたんですか?」

『えーっと、金曜日に撫子さんに連絡先をもらったんですけど、その、私Vtuberが好きすぎて緊張のあまりなかなか連絡できなくて……』

「知ってます。朝の報道番組を拝見しましたので」

『え、あれ見られたんですか!? は、恥ずかしいな……。それで最後の最後にガーデンランドの夢見サクラさんが凸したのを見てやっと緊張がほぐれて、今のタイミングで凸したというわけです。早いうちに凸できなくてすみません』

「いえいえ、気にしないでください。来てくれただけでもうれしいので。でも配信時間を過ぎているのですみません。少し早めに行かせてもらいます」

『いえ、来るのが遅かった私にも責任があるので気にしないでください』



俺たちのことは気にするな!

配信時間は全然伸びてもいいぞ!

ようやく緊張がほぐれてきたな。

あの質問に、凛音が同緊張するのか楽しみで仕方ない!



「ご主人様たちが気にするなとおっしゃっていますので、時間を使いながら早くいきましょうか」

『そうですね!』

「それでは一つ目に、僕の第一印象をお願いします」

『イケメン天才美少年。抱き枕にしたい男の子ナンバー1』

「……はい?」



え、早っ!

なんて言った?

抱き枕って何?

凛音の意外な一面……



『あ、すみません。次の質問も一緒に答えちゃいました。イケメン天才美少年です!』

「え、イケメンって、ありがとうございます?」



ヤマトがひいてる!

落ち着け、凛音!

こんな凛音さん初めて見る。



う、嬉しいには嬉しいんだけど、凛音さんってこんなにぐいぐい来る人だったんだ……。


次の質問は知っているけど一応聞いておこう。


「えーっと、次に凛音さんにとってヤマトは男の子ですか? 女の子ですか?」

『普通に男の子です。ただ、抱き枕にしたいとは思っていますけど』

「だ、抱き枕ですか?」

『はい、撫子さんに抱き枕にして寝たら気持ちよく眠れるって聞いたので』

「母さま……」


知らぬところで僕の情報が勝手に漏洩している。



抱き枕……

確かに気持ちよさそうではあるな

アウトじゃね?

カナママの抱き枕……



「機会があったらしてみますか?」

『ぜひ!』

「そ、それじゃあ次の質問です。今後、コラボするとして何かやりたいことはありますか?」

『これについてはいろいろあったんですけど、いくつかに絞ってきました』

「ぜひ教えてください!」

『てぇてぇコラボ。オフコラボ。お泊りコラボ、この三つは絶対にやりたいですね』

「……」


どうしよう。なんか三つともヤバい気がするのは気のせい?

何はともあれ、だんだんと分かってきたことがある。



ヤマト黙っちゃったよ

ついに隠さなくなったな。

みんな覚えておけ。好きなものの前では歯止めが利かなくなるの図、だ!

流石にこれは……。



『あのー』

「あ、すみません。次の質問なんですけど……いや、今の凛音さんには聞くのやめておきましょう」

『ピンクのショーツです』

「あえて聞かなかったのに!」


答えちゃったよこの人!


『教えたくて、さっき着替えてきました』


しかも履きたてのやつ!



ヤバい系だ!

聞いてないのにw

ヤマトの配信はいつ見ても飽きないw

最高w!



僕の中の凛音さんイメージがだんだんと壊れていく!


「えーっと、最後の質問になります。何か宣伝したいことはありますか?」



ヤマトの進むスピードw

早く終わらせたいのが明らか……

まぁ、幻想がこんな人だと知ったらね……

可哀想



『では、現在私とヤマト様のお母さまである撫子さんが主演のドラマ『ラブ・ファミリー』が放送中です。二人の母娘が恋したのは一人の男の子。いったいどちらの恋が実るのか、はたまた実らないのか。母娘の関係はいかに!? ぜひ見てください』

「こうしていれば普通にかっこいい人なのに……」

『どうかしましたか?』

「いえ、何でもありません。それでは飛鷹凛音さんでしたー!」

『え、もう終わり? 楽しい時間がたつのって思ったよりも早いですね。ありがとうございましたー!』


そして凛音さんとの通話が切れる。


「皆様、もしかしてなんですけど『りんえ』さんって『凛音』さんですか?」



え、いまさら?

何をいまさら

今更気づいたの

俺らは初日に気づいてたよ。



やっぱり!


「うわぁ、推しのあんな姿見たくなかったー!」



ドンマイw

まぁ人生生きてりゃいろんなことがあるよ。

次の推しを見つけよう



「いや、別に嫌いになったとかではありませんよ。いつもの凛音さんは普通に尊敬してますし。でも僕の時もいつもの凛音さんでいてほしかったなー、っていう……」


まぁ楽しかったし別にいいかな。


……凛音さんって僕にガチ恋してたの?


「えーっと、それでは時間が来たので本日はこれまでに——」



え、またぁ?

今度は誰!?

これずーっと続くパターンか⁉

でてこいやぁ!



「あの、初めまして。挨拶お願いします」

『ヤマト、こんばんは~。そしてご主人様ども、先週はよくも私のことをいじってくれたな! 声優をしています三条ヶ原さんじょうがはらかえででーす!』


三条ヶ原楓


15歳のころに声優になった女性で、今年で芸歴10年目。声の低い女性役を多く演じており、いじられる女性として凄く人気。

確か、過去に父さんや兄さんと同じアニメで演じたことがあったはず。



おお、この低い声はラジオで聞いたことがある!

思い出した! 先週のツンデレ相談者!



『ツンデレじゃないですー!』

「ああ、先週身長が高くて声が低い女性ですね。僕は普通に三条ヶ原さんの声好きですよ。演じているアニメもよく見てますし」

『もう、て、照れるじゃないか! 恥ずかし!』

「にしても声や身長で悩んでたんですね」

『ちょっとだけな! ほんのちょっとだけ!』

「ちなみになんですけど、どうして僕の連絡先を?」

『ああ、ヤマトのお父さんに教えてもらった。電話で頼んだらすぐに教えてくれたよ。0人になってヤマトが落ち込んだらどうしようって思ってたらしくて、私が聞いたとき大喜びしてた』



凸0の現況!

ガチで子供思いのパパさんやん!

普通にいい親。

家族に恵まれすぎだろ!



「そうなんですか。すみません。できればもう少し話したいんですけど巻きで言ってもいいですか? 今週は少し忙しくて」

『全然いいよ。私の方も少ししか入れないし』

「では聞いていきます。僕の第一印象は?」

『普通にいい子。私いちろーは見てるから、似たような性格の子かと思ったんだけど、全然違うんだよね。いい子過ぎて本当の家族か疑わしくなる』

「兄さまは母さま似ですから」

『ああ、確かに! ヤマトはどちらかというと落ち着きようから親父さんにだね』

「そうですか? あまり言われたことないので実感ありません。では次に行きます」



ぺ、ペースが速い!

むしろ前の3人が遅かったくらい?

これ本当に数分で終わるぞ!

俺たちはもっと見たいけどヤマトのためだ! 仕方ない。



「三条ヶ原さんにとって僕は男の子ですか? 女の子ですか?」

『私の答えはどっちでもない! だね』



お、新しい答え。

私もそっちは!

ようやくこの意見の人が現れてくれた!



「その理由は?」

『単純に男の子か女の子かで見るのもったいなくない?』

「もったいない?」

『そう、せっかくどっちかわからないんだから、男の子としてみても面白いし、女の子としてみても面白い。だから私にとってヤマトはどっちでもない、だね』

「なるほど」



まともだ、

あの楓さんがまともなこと言ってる……。

絶対本音じゃない

……失礼すぎるけど否定できない。



コメ欄が失礼すぎる!

まぁ僕もそう思ってるけど。


「本音は?」

『だって、どっちかで争うリスナー見てたら外野から見た方が面白いもん』

「ありがとうございます」



やっぱり!

楓はこういうやつだ!

普通の回答をするはずがない!



『ご主人様たち、うるさいぞ~』

「では次の質問です。もし、今後コラボするとしたら何がしたいですか?」

『そうだな~、……一緒に声優してみたいっていうのがある』

「僕とですか?」

『おう!』



マジトーン

これはガチだ!

この人声優のことになるとガチだから~

そこが楓のいいところでもある



『ヤマトの声ってプロの私が聞いても、どうして声優の道に進まなかった? って思ってしまうほどの声だもん』

「現役の人にそういってもらえるなんて、『嬉しいです!』」

『私の声でガチで嬉しそうな声出すな! 自分の声だと思うと気持ち悪!』

「『ひどいです。私、本当にうれしかったのに』」

『分かったから! その低い声止めて!』



あの楓が遊ばれてる……

やるなヤマト!

これはプロ。

この声優知らないけど、ヤマト様との絡み見てるとすぐに好きになってしまう



「それじゃあ、パンツ何色ですか?」

『おい、なんで私の時は恥ずかしがらないんだ?』

「いやー、話しているとなんだかもう簡単に聞ける間柄なような気がしてしまって。すみません」

『いや、そういってもらえると嬉しいんだけど』



またデレた。

ヤマトに弱すぎない?

落ちたか?



『落ちてませーん! それでパンツ色だったよな?』

「はい、最高の期待してますよ」

『履いてないから何色と聞かれてもな』

「はい?」

『だから、履いてないから何色かと聞かれても困る』



は?

まじ?

ノーパン……

ま、マジか!



『ご主人様たち。勘違いしないでくれよ。風呂にいるから履いてないだけだ』

「あ、そっち安心しました。まぁお風呂中にかけるのも変な話ですけど」

『正確には風呂から上がって服着るのが面倒くさくなったから風呂場で電話かけた』

「服を着てください。バカ」


この人マジか!

あまり人の生活に悪口言いたくないけど、ずぼら過ぎない?



ヤマト様がバカと……。

ヤマトにそこまで言わせるとか相当だぞ!

ヤマト様と全裸で通話なんてふしだらすぎる!

ヤマト様が汚れる!

ヤマト信者が暴走し始めた!



「それじゃあ最後に何か宣伝とかありますか?」

『宣伝……特にない。というよりも寒くなってきた』

「それじゃあ切りますので早く服着てくださいね~」

『ああ、じゃあまたな、今度私の家に来いよ~。絶対にコラボさせるからな!』

「は~い」


ようやく通話が切れる。

正直最後が一番気楽だった。


「最後にヤバい人来たけど、無事に終わって良かったです」



無事か?

何か大切なものなくしてない?

大丈夫ですか?

まぁ0人じゃないだけましか。



「4人も来てくれたおかげで大切なことを報告し忘れてました終わりそうでしたし」



え、なになに?

大切な報告?

大型コラボか?



「えーっと、僕もVtuberを初めてもうすぐで1か月たちます。最近やってみてそろそろ増やしていいかなと思いまして、次の週から木曜日の動画投稿日を配信日にすることにしました!」



おお!

これはヤマトが有名になってきた証拠!

やっぱり配信の方を見たいからな!

つまり動画は火曜日のみか。



「詳しいことはトリッターにて報告しますけど、配信日が増えるのは確実ですのでぜひ見に来てください」

『本日は僕と楽しい時間を過ごしていただきありがとうございます。それでは、行ってらっしゃいませ、ご主人様』



行ってきまーす!

凸0人回避おめでとー

行ってきまーす!

すぐ帰ってくるねー!


***

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