第8話 叛乱の芽

 10時00分

 東京の在日本人民中国大使館と札幌・新潟・名古屋・大阪・福岡・長崎・沖縄の人民中国領事館前で反中デモ

 国会議事堂と首相官邸前で反戦デモが行われ、このうち国会議事堂前では戦争支持派と反戦派が衝突し複数人の怪我人が発生した。


 外務省は開戦以降も粘り強く人民中国政府とコンタクトを取り続けていた。

 その一方で、EU欧州連合各国やASEAN東南アジア諸国連合諸国などにも対人民中国への各種の制裁などを働きかけていたが、2015年当時世界最大の市場となりつつあった人民中国市場からの締め出しを恐れてか各国の動きは鈍かった


 しかし人民中国もある種の危機に直面していた。

 虎の子の機動艦隊を対日戦線に出撃させた上、「宮古島航空戦」や「石垣島の戦い」などで一線級の航空機やベテランパイロットを多数喪失した上に渡洋可能な輸送機も大打撃を被っていた。

 更に、投入した空挺部隊も与那国・多良間に降下した部隊を除き事実上全滅。

 そのため緊急時の展開能力に支障が生じていた。

 それらに加え、一部とはいえ部隊を対日戦線に送り込んだことや、それに起因する部隊の移動などで、兵力が手薄になった地域で叛乱はんらんの気配が燻っていた。

 事実、前年の2014年に「雨傘革命あまがさかくめい」の発生した「香港ホンコン」や、人民中国政府が大規模な武力弾圧を行った「新疆シンキョウウイグル自治区」「東トルキスタン」で新たな叛乱の芽が芽生え始めていた。

 更には「2013年カシミール危機」で関係の悪化した「インド」

 元々関係の悪い「ベトナム」もこの気に乗じるような気配を見せていたため、おいそれと部隊の移動ができず、戦力の逐次投入とはならなかった。


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