第6話出会いは魔術師 (2)
ミホ①
不意に金髪の男が私の腕を掴んできた。
「いいだろ!逃げるんじゃない!」
「やめて!やめて!」
私は抵抗した。必死にあがいた。こんな人たちに会いたくて歩いてきたわけじゃない。運命の人と会いたいのに。
「バチッ!」
乾いた音がした。
私は涙目になりながら、男の顔を叩いていた。
「触らないでください。後、早く離してください。」
酷く冷めた声。体も心も冷えていく。全てが嫌いになっていく。
チャラ男たちは一瞬たじろいだ。しかし、次の瞬間私を突き飛ばした。
「キャッ!」
受け身が取れず、横に転がった。痛い。全てが痛くて嫌いだ。
「チッ。このアマ、よくもやってくれたな。」
上から乗ってくる男。抵抗なんてできない。男の方が力は強い。抗うすべなどない。
いや、実際は違う。この『力』を使うことをためらっているんだ。
怖いんだ、きっと。自分が変わることが。
助けて、誰か。心の中で叫んだ。しかし、声にならない。
誰でもいい。いや、できるなら運命の人に私を助けてほしい。
「あの~、大丈夫ですか。」
誰かの声が聞こえた。声の主の方を私とチャラ男たちは見た。
夕日のせいかまぶしくてなかなか直視できなかったので、目を細め凝視した。
目に入ってきたのは、少しやつれている、黒い服に覆われた、長髪の男の人だった。
細い体で、お世辞にも喧嘩が強そうとは言えない人。
しかし、私は感じた。この人だ。この人が運命の人だと感じた。
彼を見ていると、人とは違うオーラを感じた。それを見て思わず私は息をのんだ。
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