第4話青年は魔術師 (4)

 マレット①


 今、俺は頭を抱えている。

俺にとったらたったの5万年だが、この星にとったら違う。

時系列に並べてみると、

 3万年前…魔王討伐

 1万年前…魔王復活

 5千年前…『人間』による文明誕生

 千年前…魔術師対『人間』の大戦が起こり、『人間』勝利

という感じで、今の世界は『人間』がこの星を支配している。残念ながら5千年以前は神話上の話となっている。


 どっから言えばいいのか分からない。

まず俺が今いる国は、『大日本帝国』と言うらしい。『天皇』という王を中心として、『日本人』が主に住んでいる国である。ここら辺の話はまたいつか調べてみる。

今回は、『人間』と魔術師のことを調べてみた。

 まず魔術師と『人間』の違いだが、魔力を使えるか使えないかということが挙げられる。

 人間は魔力を持っているが、少量で使い方も知らない。代わりに、彼らは魔力耐性がある。普通の中級魔法までだったら、かすり傷にしかならない。

 そして、魔術師と人間の関係だが、はっきり言うと……仲が悪い。いや、悪いと言うレベルではない。時系列でもわかるように、大戦も行われた。だがこれは魔術師、そして俺自身も悪い。5万年前の時点で、俺ら魔術師は『ホモサピエンス』や『ネアンデルタール』、『クロマニョン』などの生物たちを狩ったり、奴隷にしたりしていた(俺はしていない)。そしていくつかの種は滅んだ。しかし、生き残った奴らによって文明ができ、わずか4千年で魔術師に勝てる力をつけた。

 魔術師は、人間のことを下等生物として見下し、人間は魔術師を先祖の仇として敵視している。魔術師と人間の大戦後、人間側が勝ったため、人間社会で過ごしていた魔術師粛清の『魔女狩り』が行われた。

 ちなみに呼び方だが、どちらも自分たちを『人』という種族に分けている。

紛らわしいので俺は勝手に、魔術師を『師』と書いて「ひと、にん」と読み、人間を『人』と書いて同じ読み方をする事にした。

 書き方を変えただけだが、どちらも正当性があるので、『日本語』の『漢字』だけ頭の中で変えた。罪悪感から、魔術師ではなく人間を『人』と表した。

 

 そんなこんなで時間が過ぎ、女性2人…いや、『ギャル』2人に教えてもらった図書館の閉館時間になった。1日では読みきれない。

特殊魔法『倍速』という全ての運動が2倍になる魔法を使ったが、それでもこの世界を知るには時間が必要だった。


 外に出てみると少し暗くなっており、太陽が地平線に沈もうとしていた。

しかし、この服装はどうしようか。今更ながら後悔する。 

この世界の常識など皆無であるが、とりあえずそこら辺をふらふら歩くことにした。

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