第10話 次なる出会い
周囲を警戒しつつ、
その生々しさに
そして、一通り観察した後右手を顎にやる。
「あぁ、なるほどな? 死ぬとあの厨二のペンダントは回収か? それとも消えるのか? どこにもねぇな?」
言われてようやく保季の遺体に純汰が視線をやれば、景梧が胸元を開けたのだろう。確かに胸元にペンダントがなかった。
だが、血の海に沈む保季の遺体に視線をやるとやはり耐えられず純汰が再び嗚咽する。それを気にする様子もなく、景梧は次の行動指針を考える。
(つまり、死体から情報を得るのは難しいわけか。ってなると、情報は
横目で純汰を見やると、未だに悶えており話を聞けそうにはなかった。
「ちっ、おい……!? 誰だ」
純汰からそう遠くない距離に別の気配を感じて、その位置を素早く把握すると景梧が睨みつける。
そこに現れたのは……茶髪に黒眼の眼鏡をかけた青年だった。紫色の甲冑に身を包んだ青年は、鋭い目つきで景梧を睨み返すと静かに口を開いた。
「随分と無礼な男だな。ご遺体を雑に扱うとは感心せんな」
「いきなり難癖かよ? そういうお前こそ、こんなところでなにしてる? 奇襲するつもりなら気配消すよな? 目立ちたがり屋か? それともかまってちゃんか?」
挑発的な景梧の言葉にも、青年は呆れた声を出すだけだ。
「はぁ、知能指数の低い人間と話すのは疲れるから困る。私はただ、戦いの痕跡からなにか得られないかと思ってきただけだ」
「……ほう? 知能指数の低い人間と同レベルの考えで来たわけだ。で? 成果はどうだった?」
嫌味を含んだ景梧の物言いに、青年の眉がピクリと動く。彼は苛立ちげに咳払いをすると、再び口を開いた。
「……ふん。まぁ間抜け面が二人拝めただけでも収穫だったな」
「そいつは、なんの成果にもならなくて残念だったな。それで? だらだらと話をしているだけか? ……来るなら来いよ」
その言葉で、青年の目つきが変わる。より鋭く……そして剣を、
「断る。私は二対一の分の悪い賭けはしない主義でね? それでは失礼する」
そう言い残すと彼はあっという間にこの場から去って行ってしまった。
「ひよったか? ちっ。情報も、なんもねぇな……」
景梧は青年が去った方角を見ることなく、保季の遺体に視線を戻す。
(しかし、中々にエグイなこの斬り方。そりゃあガキは吐くわな……イカれてるぜ、これを主催してる奴は)
冷静に分析すると、景梧は今度こそこの場から離れることにし、純汰を連れて歩き出した。先を歩く景梧の目つきは鋭く、どこか悲しそうだったがそれに純汰が気づくことはなかった。
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