第11話 二度目の対峙
しばらく無言で歩いていると、
「あの……。眼鏡の人はなんで攻撃してこなかったんでしょうか……?」
「さぁな? 俺達が組んでると踏んで、出直したみてぇだが……」
(それがどういう意味でなのかで判断が変わるな。奴の能力に起因して撤退した? それとも
思考を巡らせながら警戒していると、気配を感じた。この気配には覚えがある。
「おう? 自称ナンバーワンホストさんが待ち伏せとは、粘着タイプか? モテないテンプレートだな」
螺旋階段のところで奇襲してきた青年が、目前にいた。剣を構えながら立つ彼を睨みつけながら、
「おーやる気だねぇ。まぁでも、ぼくは中々良いポジションをもらってね? 自信、あるのさ! それも……この日光が降り注ぐここではね!」
今彼らがいるのは、建物から少し離れた広場みたいなところだった。言われてみれば確かに日光が周囲を照らしている。
「さぁ殺し合おうか! グリテン!」
『サーガウェイン、承りました。ガラティン、解放します』
彼の魔女であろうグリテンがペンダントから武器へと変わっていく。白く輝くその剣を握ると、
その速度は素早く、景梧がギリギリでかわせる速度であったため……彼の剣を景梧が受け止めると同時に純汰をまたしても蹴り飛ばした。
「うぐぁっ……」
間抜けな声をあげて、地面を転がって行く。それに視線をやることなく
「ねぇ、死んだ魚の目をしてるアンタさぁ、円卓の誰なのかなー? 教えて、よっと!」
猛攻を仕掛けながら、話しかけてくる彼に対し景梧は返事をするよりも、思考を優先させることにした。
(コイツ……奇襲してきた時よりも動きが速くなってやがる! どういうからくりだ? 思い出せ! 奴が言った言葉の数々を!)
両腕を動かし、なんとかガウェインの速度について行く。だが……。
「くっ!」
「あはは! アンタも焦る顔とかすんのねー? いいじゃん、そっちの方が受けよさそうだよ?」
彼の速度も、攻撃の重さもどんどん上がって行く。明らかに異常だ。
(ちっ、ついて行くのも辛くなってきやがった。どんなからくり……あぁなるほどな?)
何かを理解したらしい、景梧がわざと彼の攻撃を
「どこに避けてるのー? それじゃあ建物に近づいちゃうよー?」
ガウェインの指摘にも、景梧は返事をすることなく大振りで避けて後退していく。その違和感の正体に彼が気づいたのは、景梧の策にハマった後だった。
「太陽の位置が!? やっべぇ! これじゃあ……くそっ!」
そう。建物に日光が遮られ、日陰に入ってしまったのだ。それに気づいた彼は日光を求めて距離を取る。
「死んだ魚さん、頭回るねぇ~? じゃあ、あっちに切り替えよっと~っておや?」
彼が気づいた時には、純汰の姿が見当たらなかった。その間も景梧は日陰の中だ。
「これは、深追いは禁物ってやつかなぁ~? ま、いいや。切り替え、切り替え~! じゃあね~お二人さん?」
そう言い残すと、
「おい、そろそろ出て来い。考え無しにしては悪くない判断したな? 本能って奴かねぇ? まぁいい、行くぞ」
顔を青くした純汰が身を震わせながら景梧の近くまで来たのを確認すると、二人は近くの円柱状の建物の中に入ってみることにした。
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