第4話 手術が終わっても……
それは、麻酔から覚ます仕事だ。
考えてみれば、麻酔科医は飛行機のパイロットに似ている部分があるように思う。
パイロットは、飛行機を離陸させるだけではなく、飛行を維持し、そして着陸まで担当する。
すべて行って1つのフライトとなる。
麻酔科医にとっての離陸は、麻酔をかけること。
麻酔科医にとっての飛行は、手術中の麻酔深度や循環把握、疼痛等。
麻酔科医にとっての着陸は、患者さんを麻酔から覚ますこと。
さて、手術は終わってはいるが、患者さんの声帯にはまだ空気を通すチューブが通っている。
その状態でしゃべらせてはいけない。
麻酔をかけるときは会話をして確認をしたけれども、
麻酔から覚めるときは患者さんにしゃべらせるわけにはいかない。
なので、
「私の手を握ってください……はい、ではゆるめてください」
と指示を出す。
患者さんが私の声を聞いて理解していることを確認し、私は気道に入っている管を抜いた。
これ、ちょっと痛いんだよね……
管を抜いてから数日間は、喉が痛かったり、声がかれたりすることも多いけれども、患者さんはこれでやっとしゃべれるようになる。
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