第42話 第2章 開戦 9
「お前は魔ミミズと戦えるのか?」
「モグ『はい。通常は魔物同士で戦闘することはありませんが、召喚された魔物は召喚主の命で戦うことができます。魔物も召喚された者は敵だと認識するので襲ってきます。』」
こいつと念話していると、まるでラーテイと話しているような感覚になってくるな。俺がそのように捉えているからなのかもしれない。
「魔ミミズと戦って勝てるのか?」
「モグ『我々の体毛は酸耐性があるので無傷で倒せます。」
「戦闘の際に命令をしないと戦えないか?」
「モグ『それは命令次第です。敵を見つけたら攻撃と命じられればそうします。敵を個別に倒す命令ならば、倒した後は次の命令があるまで待機します。』」
「敵を見つけ次第攻撃する命令を出して、自由行動を許せばどうする?」
「モグ『送還されるまでこの階層を周りながら、敵を見つけ次第倒します。』」
話していると、魔ミミズがこちらに向かっているのが見えた。
「あいつを攻撃しろ。」
「モグ『了解しました。』」
モグラは魔ミミズの方に向かって行き、鉤爪で頭部を一閃すると頭部が弾け、微小魔石が魔石ポケットに吸い込まれていった。酸がモグラの体にかかっているが、モグラの言う通りに耐酸性があるおかげなのか平気そうにしている。
「お前は自分のステータスは分かるのか?」
「モグ『ステータスの意味は分かりせんが、自分の体調のことなら分かります。」」
「自分の体調が悪くなったと思ったら、自分の意志で送還できるのか?」
「モグ『自分の意志では帰れません。送還命令があるまで命令に従います。』」
HPが分からないのは厳しいな。折角召喚したのだから、死なないようにしたいのだがな。HPが減ってるとして、どうやって回復させるのだろう。回復ポーションで良いのだろうか。何とかしてこいつのHPを見ることが出来ないだろうか‥‥‥
「モグ『私に名前を与えていただければ、私を専属の魔物として扱っていただけます。』モグ『専属になると、私を名前で呼べばいつでも召喚できます。』」
「名前を与えずに送還した場合、次に同じ魔物が召喚されることはあるのか?」
「モグ『魔物召喚は不規則で、どのような魔物が現れるかは分かりません。』」
「お前は最初に召喚した魔物で、色々教えてくれたから、名前を付けてあげたいと思うが、いいか?」
「モグ『ありがたく、名前を頂戴します。』」
「では、お前の名前はグラにする。」
名前を与えた瞬間、精神的なつながりを感じた。ステータスウィンドウを確認すると、魔物召喚の横にあった『魔土竜 消費*2 1/6』が『グラ消費*4 1/6』に変わり、親密度は70に上がり、1/1は変わらなかった。 さらに、グラの名前の下にはステータスが表示されていた。
名前 グラ 親密度70 消費*4 1/6
年齢0 召喚中 1/6
召喚者 ユグ・ドラシル
種族
体力(HP)5/5
魔力(MP) 0
技力(SP)5/5
筋力(STR) 2
器用(DEX) 3
持久(VIT)2
敏捷(AGI)2
知力(INT)2
精神(MND) 2
幸運(LUK)2
所持スキル
強爪
特性 耐酸 耐毒
俺よりステータスが高くないことに安堵すると同時に、俺の半分しかないことに落胆する、という複雑な感情が胸にうず巻いた。しかし、耐酸と耐毒の特性があるのは心強いな。
「とりあえず、魔ミミズが近づいてきたら自分の意志で倒してくれ。」
「モグ『承知いたしました。周囲を警戒します。』」
「グラさんと仲良くなれたようですね。」
「専属契約を結んだんだ。話していると色々なことを教えてくれるし、最初に召喚した魔物がグラで良かったよ。消費する魔石が倍にはなったが、付き合いが長くなれば安いものだと思えばいいんだ。」
「召喚魔法に関する詳しい知識は教団にもないので、私も勉強させていただきます。」
「そう言えば、俺とパーティーを組めばグラとも話ができるのに、パーティーを組まないのは何故だ?」
「今回の私の任務はユグ様の生活サポートですので、戦闘を目的にしたパーティーを組むには別途教団の許可が必要なのです。昨日も申しましたが、戦闘のサポートもできません。」
「それは仕方ないな。俺とグラの会話を聞いて疑問が湧いたら遠慮なく俺に聞いてくれてもいいぞ。先ほどは遠慮して黙ってたようだが、気にはなっていたんだろ?」
「はい、おっしゃるとおりです。お言葉に甘えさせていただきます。」
ラーテイと会話している間も、グラは魔ミミズを見つけては倒しに行っている。倒す度に微小な魔石が魔石ポーチに吸い込まれていく様子がとてもシュールだ。この調子だと、もう少し奥に行っても大丈夫だろう。 俺たちはゆっくりと奥に向かって歩を進めた。
グラを召喚して10匹目の魔ミミズを倒したとき、グラの体が一瞬淡く光ったように見えた。ステータスウィンドウで確認すると、グラのレベルが2に上がり、HPとSPが1ずつ上がっていたが、その他の変化は見られなかった。
レベルが上がるときには淡く発光するのかもしれない。俺もレベルが上がったときには光っていたのだろうか。自分では光ったのに気づかず、レベルが上がった感覚もなかった。
「レベルが上がったのをどうやって判断するんだ?」
「体が発光して、体に熱を感じるので、慣れれば分かるようになりますよ。」
「あの時は杖波を当てて興奮していたので、熱や発光に気づかなかったのかもしれないな。今度俺がレベルアップしたときには教えてほしい。」
「その時はお教えします。」
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